ヴィクトリアマイル2025展望:春の女王決定戦を徹底分析!

ヴィクトリアマイルは、4歳以上の牝馬たちが春の女王の座をかけて覇を競う、中央競馬における最高峰のG1レースの一つです。2006年に古馬牝馬の目標となるレースとして設立されて以来 、競馬界における牝馬の価値向上と競走体系の充実に大きく貢献してきました。かつては優秀な牝馬は早期に引退させ、繁殖入りさせることが一般的と考えられていましたが、エリザベス女王杯の古馬開放(1996年)以降、牝馬重賞競走の増設やローテーションの整備が進み、牝馬が競走馬として長く活躍できる土壌が整えられてきました 。ヴィクトリアマイルは、まさにそうした時代の流れを象徴する一戦と言えるでしょう。  

本記事では、2025年のヴィクトリアマイルを徹底的に分析し、過去のレース傾向、コース特性、血統、ローテーション、追い切り情報、そして最新の予想オッズといった多角的な視点から、的中に向けた予想のポイントを詳しく解説していきます。ソダシ、グランアレグリア、アーモンドアイ、ウオッカ、ブエナビスタといった歴代の名牝たちがその名を刻んできたこのレース 。彼女たちに続く新たな女王の誕生を見届けるためにも、データに基づいた深い洞察が不可欠です。  

レース概要と東京芝1600mコース徹底解説

ヴィクトリアマイルは、東京競馬場の芝1600mを舞台に行われる4歳以上の牝馬限定のG1競走で、斤量は定量と定められています 。競走名の「ヴィクトリア(Victoria)」は、ローマ神話に登場する「勝利の女神」を意味し、まさに春の女王決定戦にふさわしい名称です 。  

東京競馬場 芝1600m 詳細

このレースの舞台となる東京競馬場芝1600mは、数々の名勝負を生んできた日本を代表するマイルコースです。その特徴を詳しく見ていきましょう。

  • スタート地点と序盤: スタートは2コーナー奥のポケット地点。スタート直後は緩やかな下り坂になっており、各馬スムーズにスピードに乗りやすい設計です 。  
  • 3コーナーまで: 約540mから542mと長い直線が続きます 。この長い直線のため、枠順による有利不利は比較的少ないとされています 。  
  • 道中: バックストレッチ後半には緩やかな起伏があり、これを越えると3コーナーに入ります。3コーナーから4コーナーにかけてはカーブが緩やかで、ペースが落ちにくいのが特徴です 。  
  • 最後の直線: JRAの競馬場の中でも新潟外回りに次ぐ長さを誇る525.9mの直線が待ち構えています 。直線の前半、残り約460m地点から約300m地点にかけては高低差2.7m(では2.7m、では2mと記載があるが、より詳細なを採用)のタフな上り坂が設置されています。この坂を上り切ってからゴールまでは約300m。ここで最後の瞬発力が問われます 。  

求められる能力とコースの鍵

このコースは、平均的に速いペースで流れることが多く、道中の持続的なスピードに加え、最後の直線では鋭い切れ味(瞬発力)と坂を克服するパワー、そして長い直線を走り切るスタミナが総合的に要求されます 。まさに「マイラーとしての総合力を試されるコース」と言えるでしょう 。  

東京芝1600mは、その広さと直線の長さから「紛れ」が少なく、実力馬が力を発揮しやすいコースとも言えます。特にG1レースでは、各馬が万全の態勢で臨むため、真の能力が問われる舞台となります。このコースの特性を理解することが、ヴィクトリアマイル攻略の第一歩です。

特徴詳細出典
スタート地点2コーナー奥ポケット
3コーナーまでの距離約540m~542m
最終直線長525.9m
直線の上り坂高低差2.7m (残り約460m~300m地点)
主な要求能力スピード持続力、瞬発力、パワー、スタミナ

ヴィクトリアマイル過去10年の傾向大解剖

過去10年間のレース結果を分析することで、ヴィクトリアマイル特有の傾向が見えてきます。これらの傾向を把握し、今年の予想に活かしましょう。

A. 人気別成績

人気成績 (勝-連-複-着外)勝率連対率複勝率特記事項出典
1番人気2-2-2-420.0%40.0%60.0%安定して馬券圏内には来るが、勝ち切れないケースも。
2番人気0-0-1-90.0%0.0%10.0%不振傾向。
3番人気0-2-0-80.0%20.0%20.0%勝ち星なし。
4番人気2-勝20.0%40-50%2勝を挙げ、好成績。
5番人気2-勝20.0%40-50%こちらも2勝。
6番人気以下4-3-2-多数6,7,8,14番人気が各1勝。10番人気以下は【1.3.2.76】。過去10年中8年で6番人気以下が1頭は激走。
特筆事項2015年は5→12→18番人気で3連単2070万馬券。3連単90万円以上が3回。

ヴィクトリアマイルは、1番人気が比較的安定して3着以内に来ていますが、勝率は20%と絶対的な信頼度には至っていません 。特筆すべきは2番人気と3番人気の不振で、過去10年で勝ち星がありません 。この事実は、上位人気だからといって安易に信頼することの危険性を示唆しています。むしろ、4番人気や5番人気がそれぞれ2勝を挙げるなど健闘しており、中位人気馬の台頭が目立ちます 。  

さらに、このレースは「荒れるG1」としても知られ、伏兵の激走が頻繁に見られます。過去10年中8年で6番人気以下の馬が馬券に絡んでおり、2024年には14番人気のテンハッピーローズが優勝しています 。2015年には5番人気→12番人気→18番人気の順で決着し、3連単2070万5810円という超高額配当も飛び出しました 。この傾向から、人気薄の馬でもコース適性や状態面、展開利などがあれば十分にチャンスがあり、人気だけにとらわれない予想が重要となります。特に2、3番人気馬の信頼度が低い点を考慮すると、馬券戦略上、これらの馬の評価をどうするかが鍵となりそうです。  

B. 年齢別成績

過去10年のデータでは、5歳馬が最も優秀な成績を収めています。

  • 5歳馬: 【4-3-5-56】 勝率5.9%、連対率10.3%、複勝率17.6%  

5歳馬は、4歳時の勢いに加え、古馬としての完成度も増してくる時期であり、このレースで中心的な役割を担っています。2023年の勝ち馬ソングラインも5歳でした 。もちろん、4歳馬や6歳以上の馬も活躍例はありますが(例:2022年ソダシは4歳、2024年テンハッピーローズは6歳、2016年ストレイトガールは7歳で優勝 )、中心は5歳馬と見てよいでしょう。  

C. 枠番・馬番別成績

東京芝1600mはスタートから最初のコーナーまで距離があるため、一般的には枠順の有利不利が少ないとされますが 、ヴィクトリアマイルの過去10年のデータを見ると、特定の枠に好走傾向が見られます。  

ヴィクトリアマイル過去10年 枠番別成績

枠番勝率連対率複勝率着別度数出典
1枠0.0%0.0%10.5%0-0-2-17
2枠10.0%15.0%25.0%2-1-2-15
3枠25.0%25.0%30.0%5-0-1-14
4枠0.0%10.5%21.1%0-2-2-15
5枠5.3%21.1%21.1%1-3-0-15
6枠5.0%10.0%10.0%1-1-0-18
7枠3.7%3.7%7.4%1-0-1-25
8枠0.0%10.7%17.9%0-3-2-23

※データはを基に構成。  

最も注目すべきは3枠で、勝率25.0%、複勝率30.0%と群を抜いています 。過去10年で5勝を挙げており、これは無視できないデータです。2枠も2勝を挙げており、内目の枠が比較的健闘していると言えます。一方で、1枠と8枠は勝ち星がなく、特に1枠は連対もありません 。7枠も1勝のみと苦戦傾向です。  

馬番別注目成績

馬番勝率複勝率着別度数 (一部)出典
4番20.0%20.0%2-0-0-8
5番30.0%3-0-0-7
6番20.0%2-0-2-6

馬番で見ると、4番が勝率20%(2勝)、5番が勝率30%(3勝)と非常に高い数値を記録しています 。6番も2勝を挙げています 。これらの馬番は3枠や隣接する枠に入ることが多く、3枠の好成績を裏付ける形となっています。  

一般的に東京芝1600mは「経済コースを走れるか、揉まれずにポジションを取れるかがポイント」とされ、内外の有利不利は少ないとされますが 、ヴィクトリアマイルという特定のレースにおいては、3枠や馬番4・5・6番といったやや内目の馬番に明確なアドバンテージが見られることは注目に値します。これは、G1特有のタイトな流れの中で、ロスなく立ち回りやすいポジションであることや、有力馬がこれらの枠に入った場合に実力を発揮しやすいことなどが影響しているのかもしれません。  

D. 脚質別成績

東京芝1600mは最後の直線が長く、瞬発力勝負になりやすいコースですが、ヴィクトリアマイルにおける脚質別の傾向はどうでしょうか。

ヴィクトリアマイル過去10年 脚質別成績  

脚質成績 (勝-連-複-着外)勝率複勝率
先行5-7-6-517.2%29.0%
差し13-9-8-1188.8%20.3%
追込0-2-3-920.0%5.4%

※逃げ馬のデータはには明確な集計がなかったため上記表からは除外。ただし、の東京芝1600m全体では逃げ馬の複勝率は37.0%と高い。  

過去10年のヴィクトリアマイルでは、「差し」馬が最多の13勝を挙げており、勝率でもトップです 。これは、東京コースの長い直線と最後の坂が、中団あたりで脚を溜めた馬の末脚を引き出すのに適していることを示しています。「上がり3ハロンのタイムが重要視されるコース」という特徴 とも合致する結果です。  

「先行」馬も5勝を挙げ、複勝率では差し馬を上回る29.0%を記録しており、安定して上位争いに加わっています 。ある程度のポジションを取れるスピードと、直線での粘り強さが求められるためでしょう。  

一方で、「追込」馬は過去10年で勝ち星がなく、複勝率も5.4%と非常に厳しい結果になっています 。いくら直線が長いとはいえ、G1レベルの強力なメンバー相手に後方一気で差し切るのは至難の業と言えそうです。  

したがって、基本的には中団あたりでレースを進め、直線で鋭い末脚を使える「差し」馬か、好位から粘り込める「先行」馬を中心に考えるのがセオリーとなりそうです。

E. キャリア別成績

近年、ヴィクトリアマイルではキャリアの浅い馬の活躍が目立っています。

  • キャリア15戦以内: 過去7年の3着以内馬延べ21頭中18頭が該当 。  
  • キャリア16戦以上: 過去7年の3着内率は7.0%と苦戦 。  
  • 近年の優勝馬: 過去4年の優勝馬はいずれも通算出走数が13戦以内でした 。  

2016年以前はキャリア豊富な馬の好走も見られましたが、近年の傾向を重視するならば、キャリアの浅い、まだ底を見せていない馬に注目すべきでしょう 。これは、春のG1シーズンに向けてフレッシュな状態で臨めることや、成長途上の勢いがこのレースで開花するケースが多いことを示唆しているのかもしれません。特に、才能豊かな4歳馬や、充実期を迎えたキャリア浅めの5歳馬は要チェックです。  

予想の重要ポイント①:血統分析

東京芝1600mという特殊な舞台設定は、特定の血統の馬が輝きを放つ傾向があります。ヴィクトリアマイルにおいても、血統背景は重要な予想ファクターです。

東京芝1600mとヴィクトリアマイルで注目の血統

  • サンデーサイレンス系: 東京芝1600m全般で強さを発揮する大系統。ヴィクトリアマイル過去10年でも最多勝利数を誇り、特に母父サンデーサイレンス系は複勝率が高い傾向にあります 。代表的な種牡馬としては、父ディープインパクト、ステイゴールド、ハーツクライなどが挙げられます。母父としてはサンデーサイレンス自身やアグネスタキオン、マンハッタンカフェなどが注目されます 。 ただし、母父サンデーサイレンス系に関しては興味深いデータもあります。過去10年のヴィクトリアマイルで母父サンデーサイレンス系の馬が馬券に絡んだのは、圧倒的1番人気だったアーモンドアイ(2020年1着)やマスクトディーヴァ(2023年3着、1番人気)など、ごく一部の実力馬に限られるという指摘があります 。これは、一般的な東京コースでの好成績とは裏腹に、ヴィクトリアマイルにおいては、よほどの実力がないと母父サンデー系の恩恵を受けにくい可能性を示唆しており、人気薄の馬にとってはむしろ割引材料となるかもしれません。この点は慎重な見極めが必要です。  
  • キングマンボ系: サンデーサイレンス系に次ぐ好成績。特に母父キングマンボ系は単勝回収率が高い傾向が見られます 。父としてはキングカメハメハ、母父としてはKingmambo自身などが代表的です 。スピードとパワーを兼ね備えた産駒が多く、瞬発力勝負に強いのが特徴です。  
  • ロードカナロア産駒: 現役時代に安田記念を制するなど東京芝1600mを得意としたロードカナロアの産駒は、このコースで非常に高い適性を示しています。勝率、連対率、複勝率のいずれも他のコースを上回る数値を記録しており 、ヴィクトリアマイルでも要注目の血統です。  
  • その他の注目種牡馬 (東京芝1600m): モーリス、ドゥラメンテ、キズナ、エピファネイアといった種牡馬も、東京芝1600mで産駒が好成績を収めています 。  
  • 短距離実績のある血統・スピード指向: ヴィクトリアマイルは高速決着になることが多く、芝1400m以下で勝利経験のある馬が高い回収率を叩き出しています 。これは、マイル戦であってもスプリント的なスピード能力が活きることを示しています。連覇したストレイトガール(父フジキセキ)や2024年優勝のテンハッピーローズ(父エピファネイア、母父キングカメハメハ)は、1400m以下での実績が豊富でした 。この傾向は、血統的にもスピードに優れた種牡馬や、母系に短距離色の濃い血を持つ馬に注目すべきであることを示唆します。  
  • クロフネ産駒・母父クロフネ: 過去のヴィクトリアマイルでは、クロフネの血を持つ馬がリピート好走する傾向が見られます。2012年のホエールキャプチャ(父クロフネ)や2022年のソダシ(父クロフネ)は、翌年も2着に好走しています 。  

血統を評価する際は、父系だけでなく母系や近親の成績も考慮に入れると、より的確な判断が可能になります。特に、高速決着に対応できるスピードの裏付けと、東京コース特有の長い直線で伸びる瞬発力を伝えられる血統構成が理想的と言えるでしょう。

ヴィクトリアマイル注目血統 (過去10年)

血統系統主要種牡馬 (父・母父の例)傾向・特徴出典
サンデーサイレンス系父: ディープインパクト, ハーツクライ 母父: サンデーサイレンス最多勝利。母父サンデー系は実力馬に限られる傾向も
キングマンボ系父: キングカメハメハ 母父: Kingmamboサンデー系に次ぐ。母父キングマンボ系は高回収率。
ロードカナロア父: ロードカナロア東京芝1600m適性高し。
短距離実績血統(該当馬の父・母父)芝1400m以下勝利馬の好走目立つ。スピードの重要性。
クロフネ父: クロフネ 母父: クロフネリピート好走傾向あり。

予想の重要ポイント②:ローテーション(前走ステップ)

ヴィクトリアマイルの予想において、各馬がどのようなレースを経てここに駒を進めてきたか、いわゆる「ローテーション」の分析は欠かせません。過去の傾向から、有利なステップレースや前走の着順について探ります。

主要な前哨戦とその成績 (過去10年)  

前走レース成績 (勝-連-複-着外)勝率複勝率注目ポイント
阪神牝馬S (G2)4-3-5-577.0%17.4%最多出走・最多勝利。3着以内馬12頭中11頭が前走6着以内。
中山牝馬S (G3)1-2-0-1010.0%23.1%19年ノームコアが勝利。複勝率は高い。
福島牝馬S (G3)0-1-1-180.0%10.0%勝ち星なし。馬券に絡んだ2頭はいずれも11番人気以下の人気薄。
その他G3(愛知杯、京都牝馬Sなど)データは上記3レースに比べ少ないが、調整の一環として使われる。

前走の着順が鍵を握る

ヴィクトリアマイルの大きな特徴の一つとして、前走1着だった馬が意外にも苦戦している点が挙げられます。

  • 前走1着馬: 【0-3-1-33】 勝率0.0%、複勝率10.8%  
  • 前走2着馬: 【1-3-3-23】 勝率3.3%、複勝率23.3%  
  • 前走3着馬: 【1-2-2-9】 勝率7.1%、複勝率35.7%  
  • 前走2着~5着馬: 過去10年の3着以内馬延べ30頭中18頭が該当 。  
  • 前走6着以下馬: なんと【6-1-2-64】と6勝を挙げており、過半数の勝ち馬がここから出ている 。2020年のアーモンドアイ(前走有馬記念9着)などが代表例です。  

このデータは非常に興味深く、前走で勝ち切った馬よりも、むしろ惜敗した馬や、大敗を喫した馬の巻き返しが多いことを示しています。これは、前哨戦をあくまでステップと捉え、本番のヴィクトリアマイルに最高の状態で臨む陣営の戦略や、前走で力を出し切れなかった馬の変わり身などが影響していると考えられます。

前走の人気も重要なファクター  

  • 前走1番人気馬: 【3-4-3-20】と最多の3勝を挙げ、複勝率も33.3%と安定。
  • 前走1番人気で6着以下だった馬: 【3-1-1-4】で複勝率55.6%と非常に優秀。3勝を挙げており、2015年のストレイトガールなどがこのパターンで勝利。これは「隠れた実力馬」を見つけ出す上で非常に重要なデータです。人気を裏切る形になったものの、元々の期待値が高かった馬が、本番で一変するケースが少なくありません。
  • 前走6番人気以下で5着以内だった馬: 【0-3-3-15】で複勝率28.6%。これらの馬は本番でも7番人気以下で好走するケースが多く、穴馬候補として注目できます。

ヴィクトリアマイル 前走着順・人気別 特殊傾向 (過去10年)

条件成績 (勝-連-複-着外)勝率複勝率特記事項出典
前走1着馬0-3-1-330.0%10.8%勝ち星なし。
前走6着以下馬6-1-2-648.2%12.3%6勝を挙げる。
前走1番人気 且つ 前走6着以下3-1-1-437.5%62.5%複勝率55.6% と非常に高い。3勝。
前走6番人気以下 且つ 前走5着以内0-3-3-150.0%28.6%馬券に絡んだ6頭はいずれも本番7番人気以下。穴馬の宝庫。

これらのローテーションの傾向から、前走の結果だけにとらわれず、その内容や人気とのバランスを考慮することが重要です。特に「前走1番人気で凡走した馬」や「前走人気薄で好走した馬」は、ヴィクトリアマイルで波乱を演出する可能性を秘めていると言えるでしょう。

予想の重要ポイント③:コース適性

ヴィクトリアマイルが開催される東京芝1600mは、その独特なコース形態から、高いコース適性が求められます。過去の好走馬の多くが、このコースを得意としていました。

  • 東京芝1600mのG1実績: 過去4年のヴィクトリアマイル優勝馬4頭は、いずれもJRAの芝1600メートルのG1を勝った経験がある馬でした 。これは非常に強力なデータであり、同コースのG1(NHKマイルカップや安田記念など)での勝利経験は、大きなアドバンテージとなります。  
  • リピーターの活躍: ヴィクトリアマイルは「リピーター」の好走が多いレースでもあります 。ストレイトガールは5歳時から3着→1着→1着と3年連続で好走。他にもソダシ、ノームコア、ジュールポレールがそれぞれ2回ずつ馬券に絡んでいます 。一度このコースで好走した馬は、翌年以降も注目が必要です。これは、コースへの適性が一過性のものではなく、持続的な強みであることを示しています。  
  • 東京芝1600m重賞勝ち馬: 過去10年のヴィクトリアマイルで「東京芝1600m重賞の勝ち馬」は【4-3-1-15】で複勝率34.8%、複勝回収率137%と好成績です 。同コースでの重賞勝利実績は素直に評価すべきでしょう。 興味深いのは、これらの馬のうち「前走3着以下だった馬」が【4-3-1-8】複勝回収率198%と、「前走2着以内だった馬」の【0-0-0-7】を大きく上回っている点です 。これは前述の「前走1着馬不振」の傾向ともリンクしており、直近で敗れていてもコース実績のある馬の巻き返しには注意が必要です。  
  • 芝1400m以下での勝利経験: 高速決着になりやすいヴィクトリアマイルでは、スプリント寄りのスピードも重要です。過去10年で「芝1400m以下で勝ったことがある馬」は【5-2-3-55】で複勝率は15.4%ですが、複勝回収率は194%と妙味があります 。一方、「ない馬」は【5-8-7-87】で複勝率18.7%ながら複勝回収率は76%に留まります 。 さらに、「芝1400m以下で勝ったことがあり、かつ前走でマイル以上のレースに出走していた馬」は【3-2-2-31】で複勝率18.4%、複勝回収率は305%と、さらに高い数値を示します 。短距離適性がありつつ、マイル戦にしっかり対応してきた馬は、大きな狙い目となります。  
  • 上がり3ハロンの重要性: 東京芝1600mは最後の直線が長く、鋭い末脚が求められます 。上がり3ハロンで速いタイムを出せる馬は常に有利です。  

これらの要素を総合的に判断し、東京芝1600mという舞台で能力を最大限に発揮できる馬を見つけ出すことが、ヴィクトリアマイル攻略の鍵となります。

ヴィクトリアマイル コース巧者データ (過去傾向より)

条件・実績過去データ例 (複勝率/回収率など)注目ポイント出典
東京芝1600m G1勝利馬過去4年連続で該当馬が優勝最重要実績の一つ
東京芝1600m 重賞勝利馬【4-3-1-15】複勝率34.8%, 複回収率137% (特に前走3着以下から巻き返し)高い好走率。前走着順との組み合わせに妙味。
芝1400m以下での勝利経験複勝回収率194% (前走マイル以上なら305%)スピード能力の証明。マイルへの再適応でさらに期待値アップ。
リピーター (過去のヴィクトリアM好走馬)ストレイトガール、ソダシなど多数コース適性の高さを証明。

予想の重要ポイント④:追い切り情報

各馬の最終調整である「追い切り」は、現在の状態を見極める上で非常に重要な手がかりとなります。ここでは、有力馬を中心にYouTubeの追い切り評価をまとめました。(情報は5月17日時点のものを参考にしています)

主要出走予定馬 追い切り評価サマリー

  • アスコリピチェーノ: ウッドチップコースで6ハロン79.1秒、ラスト11.2秒(馬なり)といった好時計をマーク。動きも良く、鋭いフィニッシュを見せておりA評価 。海外帰りでも問題なさそうで、仕上がりは良好との見方が多いです 。1週前もウッドで好時計、最終は坂路でまずまずの内容との評価も 。  
  • ステレンボッシュ: ウッドチップコースで7ハロンから追われ、ラスト11.3秒(馬なり)。前走時よりも全身を使って前向きさが出ており、動きは良化しているとの評価 。国枝厩舎としては本数は多くないものの、内容は濃いとの見方も 。  
  • ボンドガール: 美浦坂路で4ハロン53.7秒、ラスト12.7秒(馬なり)。前走東京新聞杯(2着)時の追い切りよりも時計は速く、スピード感のある動き。1週前の動きも申し分ないとの評価 。  
  • クイーンズウォーク: 1週前のCWコースでの追い切りでラスト11.1秒の鋭い動きを見せ、調教評価Sとするチャンネルも 。最終追い切りも好調をキープしているとの評価 。ただし、金鯱賞時も良かったため、大きな上積みまではどうかという見方も 。  
  • アルジーヌ: 1週前の追い切り評価はB+で、4ハロン53.1秒、ラスト12.2秒 。最終は栗東ウッドで強めに追われA評価とする情報 と、坂路で軽めの調整で判断材料に乏しいとする情報 があり、評価が分かれる可能性があります。  
  • アドマイヤマツリ: 福島牝馬Sから中3週でもウッドと坂路でしっかり乗り込まれ、最終は美浦ウッドで併せ馬同入、馬なりでA+評価と状態の上昇を伝える情報あり 。AI予想ではトップ評価も 。  
  • クリスマスパレード: 美浦坂路で4ハロン54.0秒、ラスト12.2秒。力強さと素軽さがあり、最終追い切り1位評価とするチャンネルも 。1週前もウッドで好内容 。  
  • サフィラ: 栗東坂路で4ハロン55.1秒、ラスト12.6秒(馬なり)。1週前にCWで好時計を出しており、最終は調整程度だが仕上がりは良いとの評価 。  
  • シランケド: 栗東坂路で4ハロン54.6秒、ラスト12.5秒。活気のある動きで、まさに充実期という評価 。ウッドと坂路で乗り込まれ、状態はA+と上向き 。  
  • ソーダズリング: 栗東坂路で調整。元々追い切りでは動くタイプで、今回も1週前に坂路でしまい11秒台の鋭い動きを見せており好調キープ 。ようやく厩舎本来の調教パターンで臨め、一変の可能性も示唆されています 。  
  • ラヴェル: CWコースでの追い切りでは、終い10秒台のラップも記録するなど鋭い脚色を見せており、状態は悪くないとの評価 。大阪杯の当該週より活気があり、本来の動きに近づきつつあるとの見方も 。1週前はウッドで好時計 。  
  • その他注目馬の追い切り情報:
    • アリスヴェリテ: 坂路主体で乗り込まれ、動きは悪くないが、まだ奥がありそうとの評価 。  
    • シングザットソング: 坂路で追われたが、好調時と比べるとやや物足りない印象との評価も 。  
    • シンリョクカ: ダートコースでキャンター調整。毛ヅヤ良くリズミカル。力を出せる状態との厩舎コメント 。追い切り評価はB 。  
    • ビヨンドザヴァレー: 1週前にCWで好時計。最終は坂路で調整程度もしまい11秒台 。皮膚の薄さが目立ち好印象とのコメントも 。  
    • マサノカナリア: 坂路で調整。1週前に強く追われた効果で重たさは解消傾向も、フォームのバラつきが気がかりとの評価 。  
    • ワイドラトゥール: 芝コースで調整。テンションを考慮した内容。1週前は活発な動きで調子は悪くないとの評価 。CWで好時計も出していたが、今回は間隔が詰まっているため軽め 。  

追い切り評価は、各馬の状態を測る上で重要な指標ですが、あくまで一つの判断材料です。時計の出やすい馬場コンディションや、併せ馬の相手関係なども考慮し、総合的に判断することが求められます。

ヴィクトリアマイル2025 予想オッズ分析

ヴィクトリアマイル2025の予想オッズを複数の主要競馬情報サイトから集計し、平均値を算出しました。これにより、現時点での市場の評価、人気上位馬や注目穴馬の傾向を把握することができます。(オッズは5月17日~18日早朝時点のものを参考に平均化)

ヴィクトリアマイル2025 主要馬予想オッズ (平均)

馬番馬名平均予想オッズ (単勝)構成サイト例想定人気
17アスコリピチェーノ約3.4倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab1番人気
10ボンドガール約5.8倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab2番人気
2ステレンボッシュ約8.0倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab3番人気
3アルジーヌ約8.2倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab4番人気
16クイーンズウォーク約8.5倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab5番人気
12シランケド約14.2倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab6番人気
1クリスマスパレード約15.4倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab7番人気
9アドマイヤマツリ約18.6倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab8番人気
4サフィラ約18.3倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab9番人気
5ラヴェル約21.4倍netkeiba, スポーツナビ, Keibalab10番人気
15ソーダズリング約31.1倍netkeiba , Sports Navi 11番人気
13ビヨンドザヴァレー約26.6倍netkeiba , Sports Navi 12番人気

※上記オッズはnetkeiba , スポーツナビ , Keibalab (日刊スポーツ系) の情報を基に平均値を算出。ミアネーロは取消。  

オッズからの考察

現時点では、アスコリピチェーノが頭一つ抜けた1番人気に支持されています。G1実績と安定感が評価されている形です。続いてボンドガール、そして桜花賞馬ステレンボッシュアルジーヌクイーンズウォークあたりが僅差で2番人気グループを形成しています。

過去10年の傾向で見たように、ヴィクトリアマイルでは1番人気は複勝率こそ高いものの、2番人気、3番人気の勝ち星がありません 。もしこの傾向が今年も続くのであれば、現在2番人気、3番人気に推されているボンドガールやステレンボッシュの取捨が大きなポイントとなりそうです。  

一方で、4番人気、5番人気は過去10年でそれぞれ2勝を挙げており 、アルジーヌやクイーンズウォークといった馬には妙味があるかもしれません。  

6番人気以下では、シランケド、クリスマスパレード、アドマイヤマツリなどが中穴として注目されます。これらの馬が、過去のデータ分析(血統、ローテーション、コース適性、追い切り)で強調できるポイントがあれば、積極的に狙ってみる価値は十分にあります。特に、ヴィクトリアマイルは伏兵の台頭が多いレースであり 、オッズと実力のギャップを見抜くことが高配当的中の鍵となるでしょう。  

ヴィクトリアマイル2025 注目馬ピックアップ

これまでの分析を踏まえ、ヴィクトリアマイル2025で特に注目したい馬を何頭かピックアップします。

  • アスコリピチェーノ: G1実績(阪神JF勝ち、桜花賞2着)はメンバー中屈指。東京芝1600mのG1実績こそないものの、マイルでの高い能力は証明済み。キャリア13戦以内という近年の好走傾向にも合致 。追い切りも良好で、海外帰りでも力を出せる状態にありそうです 。1番人気濃厚ですが、逆らう理由は少ないかもしれません。  
  • クイーンズウォーク: 東京芝1600mのクイーンC勝ち馬であり、コース適性は証明済み 。5歳馬という点も好データに合致します 。前走G1大阪杯は牡馬相手に敗れましたが、牝馬限定のここなら巻き返し可能。追い切りもS評価が出るなど状態面も良さそうで 、4、5番人気あたりなら妙味がありそうです。  
  • アドマイヤマツリ: 前走福島牝馬Sを制し勢いに乗る4歳馬。キャリア8戦とまだ浅く、伸びしろも十分 。追い切り評価も高く 、人気上位馬に割って入る可能性を秘めています。前走1番人気で6着以下からの巻き返しパターン には該当しませんが、勢いは魅力です。  
  • シランケド: 前走中山牝馬Sを勝利。中山牝馬S組は過去10年でノームコアが勝利しており、軽視はできません 。5歳馬で、追い切りも上々の動きを見せています 。中穴として面白い存在です。  
  • ソーダズリング: 芝1400m以下での勝利経験があり(京都牝馬S勝ち)、高速決着への対応力に期待。母マジックキャッスルはこのレース3着、兄姉も重賞勝ちと良血の背景も魅力 。追い切りも厩舎本来のパターンで臨め、一変の気配も 。人気薄なら積極的に狙いたい一頭です。  

これらの馬以外にも、過去の傾向や当日の状態次第で浮上してくる馬はいるでしょう。最終的な判断は、馬体重やパドック気配なども加味して行うことが重要です。

最終結論はこちらで!

本記事では、ヴィクトリアマイル2025の予想に向けて、過去の傾向、コース適性、血統、ローテーション、追い切り、予想オッズといった多角的なデータ分析を行ってきました。

これらの詳細な分析を踏まえた最終的な結論、印、そして具体的な買い目につきましては、以下のリンク先で公開いたします。レース当日の馬場状態や最新情報も加味した最終的な見解となりますので、ぜひご確認ください。

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春の女王の座をかけた華麗なる戦い、ヴィクトリアマイル。的中の喜びを共に分かち合えることを楽しみにしています。

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