2025年1月19日、シャティン競馬場で行われたセンテナリースプリントカップ(G1)は、圧倒的な強さでカーインライジングが優勝しました。ザック・パートン騎手を背に、スタートから先頭に立つと、そのまま後続を突き放し、2着のヘリオスエクスプレスに3馬身1/4差をつける圧勝劇を演じました。今回の勝利で、カーインライジングはG1レース2連勝、通算9連勝を達成。さらに、自身の持つシャティン競馬場1200mのトラックレコードを更新する1分07秒20を記録しました。レース後、パートン騎手は「彼は私が今まで乗った中で最高の短距離馬だ」と絶賛 し、調教師のデビッド・ヘイズ氏も「ブラックキャビアと似た資質を持っている」 と、その能力の高さを称えました。
レース概要
センテナリースプリントカップは、香港を代表するスプリントG1レースです。1984年に香港ジョッキークラブの100周年を記念して創設され、当初はセンテナリーカップという名称で、1000mで行われていました。2015/16シーズンから現在の1200mに変更され、2017年には国際G2に、そして2018年には国際G1に昇格しました。
項目 | 内容 |
---|---|
開催日 | 2025年1月19日 |
競馬場 | シャティン競馬場 |
距離 | 1200m |
馬場状態 | 良 |
天候 | 晴 |
出走頭数 | 8頭 |
優勝馬 | カーインライジング(4歳牡馬) |
騎手 | ザック・パートン |
調教師 | デビッド・ヘイズ |
タイム | 1分07秒20 |
着差 | 1着 – 2着 3馬身1/4、2着 – 3着 1/2馬身 |
賞金 | HK$10,000,000 |
オッズ
馬番 | 馬名 | 単勝オッズ |
---|---|---|
1 | カーインライジング | $1.14 |
2 | ヴィクターザウィナー | $35 |
3 | ヘリオスエクスプレス | $6.00 |
4 | ハウディープイズユアラヴ | $19 |
5 | インヴィンシブルセージ | $71 |
6 | ラッキーウィズユー | $71 |
7 | ビューティウェイヴス | $51 |
8 | マジックコントロール | $26 |
レース結果
馬番 | 馬名 | 騎手 | 斤量 | 着差 | 単勝倍率 | セクショナルタイム |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | カーインライジング | Z・パートン | 126ポンド(57.1キロ) | – | 1.1 | 23.30 21.54 22.36 |
3 | ヘリオスエクスプレス | H・ボウマン | 126ポンド(57.1キロ) | 3.25 | 6.5 | 23.78 21.62 23.09 |
4 | ハウディープイズユアラヴ | J・マクドナルド | 126ポンド(57.1キロ) | 0.5 | 18.0 | – |
5 | インヴィンシブルセージ | B・アヴデュラ | 126ポンド(57.1キロ) | クビ | 72.0 | – |
6 | ラッキーウィズユー | A・アゼニ | 126ポンド(57.1キロ) | 0.75 | 91.0 | – |
8 | マジックコントロール | C・ウィリアムズ | 126ポンド(57.1キロ) | 2.75 | 15.0 | – |
7 | ビューティウェイヴス | B・シン | 126ポンド(57.1キロ) | 0.5 | 35.0 | – |
2 | ヴィクターザウィナー | K・リョン | 126ポンド(57.1キロ) | 3.75 | 34.0 | 23.54 21.82 23.71 |
レース分析
レース展開
スタートで8番枠から飛び出したカーインライジングが、そのまま先頭に立ちます。ヘリオスエクスプレスがそれを追いかける展開となりました。前年の覇者ヴィクターザウィナーは、スタートで出遅れてしまい、後方からの競馬を余儀なくされました。 最初のコーナーをカーインライジングが先頭で通過し、レースを引っ張ります。直線に入ってもカーインライジングの勢いは止まらず、後続との差を広げていきます。最後はザック・パートン騎手が手綱を抑える余裕を見せながら、1着でゴールイン。2着にはヘリオスエクスプレス、3着にはハウディープイズユアラヴが入りました。
各馬の走り
1着 カーインライジング
圧倒的なスピードとスタミナで、レースを完全に支配しました。スタートからゴールまで、一度も先頭を譲ることなく、レコードタイムで圧勝。ザック・パートン騎手との相性も抜群で、まさに人馬一体の走りでした。
2着 ヘリオスエクスプレス
後方からレースを進め、直線で追い上げましたが、カーインライジングには届かず。それでも、安定した走りで2着を確保しました。
3着 ハウディープイズユアラヴ
中団から徐々にポジションを上げ、直線で鋭く伸びて3着に入りました。先行馬有利の展開の中、力強い走りを見せました。
4着 インヴィンシブルセージ
中団を追走し、直線で粘りを見せましたが、上位3頭には及ばず4着となりました。
5着 ラッキーウィズユー
中団後方を追走しましたが、直線で伸び切れず5着に終わりました。
6着 マジックコントロール
スタートで不利を受け 、その後も流れに乗ることができませんでした。
7着 ビューティウェイヴス
後方を追走しましたが、直線で伸びを欠き7着となりました。
8着 ヴィクターザウィナー
前年の覇者ヴィクターザウィナーは、スタートで出遅れてしまい 、見せ場を作れませんでした。
勝因・敗因分析
カーインライジングの勝因
- 圧倒的なスピードとスタミナ:カーインライジングは、G1香港スプリントに続き、今回も圧倒的なスピードを見せつけました。 これは、血統、調教、そして馬自身の能力が合わさった結果と言えるでしょう。
- ザック・パートン騎手の好騎乗:パートン騎手は、カーインライジングの能力を最大限に引き出す騎乗を見せました。スタートから積極的に先頭に立ち、レースを支配。 騎手の的確な判断と、馬との信頼関係が勝利に繋がったと言えるでしょう。
- 先行馬有利の展開:当日のシャティン競馬場は、先行馬が有利な馬場状態でした。 カーインライジングは、スタートから先頭に立ち、この利を最大限に活かすことができました。
他の馬の敗因
- 各馬とも、カーインライジングのスピードに圧倒されたことが敗因と言えるでしょう。特に、ヘリオスエクスプレスは、直線で追い上げを見せましたが、カーインライジングのスピードには及ばず、2着に終わりました。 ヴィクターザウィナーは、スタートで出遅れたことが大きく響き、本来の力を発揮することができませんでした。
レース後のコメント
ザック・パートン騎手(カーインライジング)
「彼は本当に素晴らしい馬です。スタートからゴールまで、すべてが完璧でした。彼は私が今まで乗った中で最高の短距離馬です。」
デビッド・ヘイズ調教師(カーインライジング)
「彼は怪物です。今日の最後の100mはザックがエンジンを切ったようなもので、彼が更新した2つのトラックレコードでは、実際には最後の100mか80mでペースを落としています。彼はただ負けないんです。未熟だった頃に2回負けたことは知っていますが、今は成熟して、勝つ能力を身につけました。彼は驚くべき巡航速度を持っていて、そこから加速することができます。これは、対抗するのが非常に難しいです。ブラックキャビアと対戦したことがありますが、彼女もそうでした。彼は彼女の特性を持っていると思います。彼がブラックキャビアだとは言いませんが、対戦相手には彼女がしたのと似たようなことをしています。」
ヒュー・ボウマン騎手(ヘリオスエクスプレス)
「カーインライジングは、あのセクションを楽に走って、そこからキックすることができます。馬がそんなことができるのは珍しいことですが、彼はできます。しかし、ペースが遅すぎると、他の馬に少しチャンスを与えてしまいます。」
専門家の見解
競馬評論家たちは、カーインライジングの勝利を高く評価しています。ある評論家は、「カーインライジングは、スピード、スタミナ、そして精神力のすべてを兼ね備えた、まさに完璧な短距離馬だ。今回の勝利で、その地位を不動のものとしたと言えるだろう」とコメントし、別の評論家は「カーインライジングは、今後、世界の競馬界を牽引していく存在になるだろう。彼の活躍から目が離せない」と述べています。
レースの背景
センテナリースプリントカップは、香港ジョッキークラブの100周年を記念して1984年に創設された歴史あるレースです。 当初はセンテナリーカップという名称で、11月に開催され、1000mで行われていましたが、2015/16シーズンから1月に開催され、1200mに変更されました。 2017年には国際G2に昇格し、2018年には国際G1に昇格しました。 歴代優勝馬には、サイレントウィットネス、セイクレッドキングダム、エアロヴェロシティ、ビートザクロックなど、香港を代表する名スプリンターが名を連ねています。
センテナリースプリントカップは、香港スピードシリーズの初戦としても重要な位置づけにあります。香港スピードシリーズは、センテナリースプリントカップ(1200m)、クイーンズシルバージュビリーカップ(1400m)、チェアマンズスプリントプライズ(1200m)の3レースで構成されるシリーズ戦で、香港のスプリント王決定戦として注目を集めています。
また、同日には、センテナリースプリントカップ以外にも、スチュワードカップ(G1・1600m) をはじめ、ビートザクロックハンデキャップ(1200m)、ペニアフォビアハンデキャップ (1200m)、ヘレンパラゴンハンデキャップ (1600m)、ワイククハンデキャップ (1400m)、シーズンズブルームハンデキャップ (1400m)、サウンドプリントハンデキャップ (1400m)、ミスターヴァイタリティハンデキャップ (1400m) など、多くのレースが開催されました。
過去の優勝馬
年 | 馬名 | 騎手 | 調教師 |
---|---|---|---|
2024 | ヴィクターザウィナー | K・リョン | C・S・シャム |
2023 | ラッキー スウェインス | Z・パートン | K・L・マン |
2022 | ストロンガー | C・Y・ホー | D・J・ホワイト |
2021 | ホットキングプロン | J・モレイラ | J・サイズ |
2020 | ビートザクロック | J・モレイラ | J・サイズ |
2019 | ビートザクロック | J・モレイラ | J・サイズ |
2018 | D B ピン | O・ドレーズ | J・サイズ |
2017 | ペニアフォビア | N・カラン | A・S・クルーズ |
2016 | エアロヴェロシティ | Z・パートン | P・オサリバン |
2015 | ペニアフォビア | D・ホワイト | A・S・クルーズ |
レース後コメント
レース前に、騎手や調教師からは様々なコメントが出されました。
ザック・パートン騎手は、カーインライジングの8枠という外枠について懸念を示していました。少頭数とはいえ、外枠からスムーズな競馬ができるかどうかが、勝利への鍵となると語っていました。
一方、マジックコントロールに騎乗するクレイグ・ウィリアムズ騎手は、カーインライジングの強さを認めつつも、「マジックコントロールはオーストラリアで1200mのレースを勝っている経験があり、その点は期待できる」とコメント。調教師のコーディ・モー氏も好調であることを挙げ、マジックコントロールの走りに自信を見せていました。
まとめ
2025年のセンテナリースプリントカップは、カーインライジングが圧勝し、その強さを世界に示しました。1分07秒20という驚愕のレコードタイムは、香港競馬史に残る偉業と言えるでしょう。この勝利により、カーインライジングは香港スピードシリーズの緒戦を制し、シリーズ制覇に向けて大きく前進しました。 今後の活躍にも期待が高まります。