2025年1月19日、シャティン競馬場 – 多くの競馬ファンが待ち焦がれていた香港のG1レース、スチュワーズカップ(G1)が開催されました。昨年12月の香港マイルを制し、今シーズンも絶好調のヴォイッジバブルが、ジェームズ・マクドナルド騎手との完璧なコンビネーションで、並み居る強豪馬たちを相手に2馬身差の圧勝!見事スチュワーズカップ連覇を達成し、2025年の初G1タイトルを獲得しました。
レース概要
スチュワーズカップは、香港ジョッキークラブが主催するG1競走で、毎年1月にシャティン競馬場の芝1600mで開催されます。3歳以上の馬が出走可能で、定量戦で行われます。総賞金は1300万香港ドル(約2億2750万円:1香港ドル=17.5円換算)で、香港の競馬シーズンにおけるハイライトの一つとなっています。
このレースは、香港トリプルクラウンの第1戦としても知られています。香港トリプルクラウンとは、スチュワーズカップ(1600m)、香港ゴールドカップ(2000m)、チャンピオンズマイル(1600m)の3つのG1レースを全て制覇することを指し、香港競馬における最高の栄誉と言えます。 過去の香港トリプルクラウン達成馬には、1994年のリヴァーヴァーダン、2005年のブルースなど、錚々たる名馬が名を連ねています。
スチュワーズカップの歴史を振り返ると、1951年に創設されました。当初は1800mで行われていましたが、1991年に現在の1600mに変更されました。2015年には国際G1に昇格し、世界中のトップホースが参戦するレースへと発展を遂げました。近年では、オーストラリアのジョン・サイズ調教師が7勝、トニー・クルーズ調教師が4勝を挙げるなど、活躍が目立っています。騎手では、ザック・パートン騎手、ダグラス・ホワイト騎手、ロビー・フラッド騎手、ベイジル・マーカス騎手、ジョアン・モレイラ騎手がそれぞれ3勝を挙げています。
歴代優勝馬
年 | 優勝馬 | 騎手 | 調教師 | タイム |
---|---|---|---|---|
2024 | ヴォイッジバブル | J・マクドナルド | P・イウ | 1:34.26 |
2023 | ロマンチックウォリアー | K・ティータン | C・ファウンズ | 1:33.86 |
2022 | ゴールデンシックスティ | C・ホー | K・W・ルイ | 1:33.12 |
2021 | ワイクク | J・モレイラ | ジョン・サイズ | 1:32.85 |
2020 | ビューティジェネレーション | Z・パートン | ジョン・ムーア | 1:33.51 |
出走馬紹介
今回のスチュワーズカップには、実力馬8頭が集結しました。中でも注目は以下の3頭です。
馬番 | 馬名 | 騎手 | 調教師 | 馬体重 | 単勝オッズ |
---|---|---|---|---|---|
1 | ヴォイッジバブル | J・マクドナルド | P・イウ | 57kg | 1.8 |
2 | カリフォルニアスパングル | B・アヴデュラ | A・S・クルーズ | 57kg | 30.0 |
3 | ビューティエターナル | Z・パートン | ジョン・サイズ | 57kg | 14.0 |
4 | ビューティジョイ | K・リョン | A・S・クルーズ | 57kg | 44.0 |
5 | ギャラクシーパッチ | B・シン | ピエール・ン | 57kg | 3.2 |
6 | チャンセングローリー | C・ホー | K・W・ルイ | 57kg | 23.0 |
7 | レッドライオン | H・ボウマン | ジョン・サイズ | 57kg | 87.0 |
8 | パッチオブシータ | K・ティータン | K・W・ルイ | 57kg | 6.0 |
注目馬
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- 昨年のスチュワーズカップ覇者であり、前走の香港マイル(G1)も制した、まさに香港競馬界の”マイル王”。
- 父はオーストラリアの快速馬ディープフィールド、母はラハイツという血統。
- 圧倒的な強さで、レース前から単勝1.8倍の1番人気に支持されていました。
- 鞍上は、オーストラリアの名手であり、昨年もコンビを組んでスチュワーズカップを制したジェームズ・マクドナルド騎手。
- 調教師は、香港のベテラン調教師であるピーター・イウ調教師。 イウ調教師は、ヴォイッジバブルについて「彼は本当にハッピーな馬で、いつも元気いっぱいです。状態も申し分なく、今回も良い結果を出してくれると確信しています。」と語っていました。
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ギャラクシーパッチ
- 前走の香港カップ(G1)で3着と好走し、G1での活躍が期待される実力馬。
- 単勝3.2倍の2番人気に支持されていました。
- 鞍上は、オーストラリア出身のブレイク・シン騎手。シン騎手は、「ギャラクシーパッチは、能力のある馬です。今回はヴォイッジバブルという強敵がいますが、彼を倒すために全力を尽くします。」と意気込みを語っていました。
- 調教師は、香港で活躍するピエール・ン調教師。
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パッチオブシータ
- 14戦6勝と安定した成績を残しており、前走のチャイニーズクラブチャレンジカップ(G3)を勝利。 香港国際セールで860万香港ドル(約1億5050万円)で落札された期待馬でもあります。
- 初のG1挑戦で注目を集めていました。
- 鞍上は、香港でリーディングジョッキー争いを繰り広げるカリス・ティータン騎手。ティータン騎手は、「パッチオブシータは、レースを重ねるごとに成長を感じます。彼はまだ底を見せていませんし、この大舞台でどんな走りを見せてくれるか楽しみです。」と期待を込めて語っていました。
- 調教師は、フランシス・ルイ調教師。 ルイ調教師は、「パッチオブシータは、まだ若い馬ですが、大きなポテンシャルを秘めています。今回のスチュワーズカップが、彼の真価を問われるレースになるでしょう。」とコメントしていました。
レース展開
レースは、カリフォルニアスパングルがハナを切る展開となりました。ヴォイッジバブルは中団に位置を取り、ギャラクシーパッチは後方からレースを進めます。パッチオブシータは、やや掛かり気味に先行集団を追走します。
道中は、カリフォルニアスパングルがマイペースでレースを引っ張り、各馬が牽制し合う静かな流れ。しかし、残り600mを過ぎたあたりから、徐々にペースが上がり始めます。
残り400mの地点で、マクドナルド騎手騎乗のヴォイッジバブルが、満を持して進出を開始!力強い走りで、あっという間に先頭に躍り出ます。ギャラクシーパッチも、直線で外から追い上げてきますが、ヴォイッジバブルの勢いは止まりません。
最後は、ヴォイッジバブルが2馬身差をつけてゴールイン! 2着にはギャラクシーパッチ、3着にはレッドライオンが入りました。
レース結果
着順
着順 | 馬番 | 馬名 | 騎手 | 着差 | タイム | 単勝配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ヴォイッジバブル | J・マクドナルド | 1:33.58 | 18ドル | |
2 | 5 | ギャラクシーパッチ | B・シン | 2馬身 | 1:33.91 | 該当なし |
3 | 7 | レッドライオン | H・ボウマン | 3馬身 | 1:34.05 | 該当なし |
4 | 4 | ビューティジョイ | K・リョン | 4馬身 | 1:34.20 | 該当なし |
5 | 3 | ビューティエターナル | Z・パートン | 短頭 | 該当なし | 該当なし |
6 | 6 | チャンセングローリー | C・ホー | クビ | 該当なし | 該当なし |
7 | 8 | パッチオブシータ | K・ティータン | 0.5馬身 | 該当なし | 該当なし |
8 | 2 | カリフォルニアスパングル | B・アヴデュラ | 大差 | 該当なし | 該当なし |
払戻金
- 単勝:1番 18ドル
- 複勝:1番 10.5ドル, 5番 11.5ドル, 7番 102.5ドル
- 枠連:1-2 35ドル
- 馬連:1-5 25.5ドル
- 馬単:1-5 35ドル
- ワイド:1-5 15ドル, 1-7 168.5ドル, 5-7 217.5ドル
- 3連複:1-5-7 760ドル
- 3連単:1-5-7 5589ドル
賞金内訳
- 1着: 7,420,000香港ドル
- 2着: 2,900,000香港ドル
- 3着: 1,450,000香港ドル
- 4着: 725,000香港ドル
- 5着: 360,000香港ドル
レース後のコメント
優勝騎手 ジェームズ・マクドナルド騎手
「ヴォイッジバブルは本当に素晴らしい馬です。今日も完璧なレースをしてくれました。スタートも良く、道中はリラックスして走っていました。直線では、私の合図にすぐに反応してくれましたし、最後まで力強く伸びてくれました。彼と一緒にスチュワーズカップを勝つことができて、とても嬉しいです。」
優勝調教師 リッキー・イウ調教師
「ヴォイッジバブルは、香港マイルに続いてのスチュワーズカップ制覇です。彼は本当に強い馬に成長しました。今日の勝利は、馬主、厩舎スタッフ、そしてジョッキーのおかげです。皆に感謝したいと思います。ヴォイッジバブルは、これから香港ゴールドカップ、チャンピオンズマイルと、香港のビッグレースに挑戦していきます。これからも応援よろしくお願いします。」
2着騎手 ブレイク・シン騎手
「ギャラクシーパッチはよく頑張ってくれました。今日は勝った馬が強すぎました。それでも、最後まで諦めずに走り抜いてくれたことに感謝しています。次走に向けて、またしっかりと調整していきたいと思います。」
敗戦調教師 ジョン・サイズ調教師 (ビューティエターナル、レッドライオン)
「ビューティエターナルは、今日は少し力んで走っていたように見えました。レッドライオンは、最後までよく頑張ってくれましたが、上位2頭には届きませんでした。2頭とも、この経験を活かして、次走で巻き返せるように頑張ります。」
関連情報
- ニュース記事
- ヴォイッジバブルがスチュワーズカップ防衛に成功!
- シン騎手、ギャラクシーパッチでG1制覇に挑む
- サイズ調教師、スチュワーズカップとセンテナリースプリントカップの両G1制覇を目指す
- ブログ記事
- スチュワーズカップハンデキャップの傾向と分析
- スチュワーズスプリントハンデキャップのプレビュー、傾向、分析
- SNS
- ヴォイッジバブルのスチュワーズカップ連覇を祝うツイート多数
- レースのリプレイ動画がYouTubeやTikTokで拡散
まとめ
ヴォイッジバブルが、見事な走りでスチュワーズカップを連覇しました。マクドナルド騎手とのコンビネーションも抜群で、まさに”人馬一体”となった圧勝劇でした。
この勝利により、ヴォイッジバブルは香港トリプルクラウン達成へ向け、大きく前進しました。次走は2月の香港ゴールドカップ(G1)が予定されており、2000mという距離への対応が課題となりますが、ここをクリアすれば、香港競馬史に名を刻む偉業達成も夢ではありません。
一方、2着のギャラクシーパッチ、3着のレッドライオンも力強い走りを見せ、今後の活躍が期待されます。
2025年の香港競馬シーズンは、まだまだ始まったばかりです。ヴォイッジバブルのトリプルクラウン挑戦、そして他の実力馬たちの戦いから、今後も目が離せません!