2025年1月11日、ニュージーランドのトレンサム競馬場で行われたソーンドンマイル(G1、芝1600m)は、S・スプラット騎乗のプロヴァンス(Provence)が、激しい競り合いを制して優勝しました。2着にはクビ差でカリアルファラシャ(Qali Al Farrasha)、3着にはさらにクビ差でタウンクライヤー(Town Cryer)が入りました。プロヴァンスは、中団から力強い末脚を繰り出し、並み居る強豪を退けて栄冠を手にしました。
レース概要
ソーンドンマイルは、ニュージーランドの競馬シーズンにおける主要なレースの一つであり、毎年多くの有力馬が出走します。今年は15頭が出走し、その中にはG1馬や重賞勝ち馬など、実力馬が揃いました。レース当日は好天に恵まれ、馬場状態は良好で、関係者からは「完璧なコンディション」と評されていました。
ソーンドンマイルは、1984年から1988年まで「ジャルダンマイルハンデ」、1989年から2年間は「ジャルダンモルガンマイルハンデ」の名称で施行され、1991年からは現在のレース名に改称されました。 これまでのレース記録は1分33秒81で、2008年にアラモサ(Alamosa)号によって樹立されました。
賞金
総額は25万NZドルで、内訳は以下の通りです。
- 1着:15万NZドル
- 2着:5万NZドル
- 3着:2万5千NZドル
- 4着:1万2千5百NZドル
- 5着:6千2百5十NZドル
レース前の予想
レース前は、前年の優勝馬プントゥーラ(Puntura)とシャープンスマート(Sharp ‘N’ Smart)が人気を二分していました。プントゥーラは、昨年のソーンドンマイルを制した実績に加え、近走の成績も安定しており、多くのファンから支持を集めていました。一方、シャープンスマートは、ニュージーランドダービーなどG1レースで2勝を挙げている実力馬で、プントゥーラの強力なライバルと目されていました。
その他の馬では、マロティリモリー(Marotiri Molly) やケリーコー(Kelly Coe) なども、上位進出が期待されていました。
レース展開
レースは、ハイヨーサスボム(Hi Yo Sass Bomb)がハナを奪い、ライトニングジャック(Lightning Jack)、シャープンスマートがそれに続く展開となりました。プロヴァンスは中団に位置し、カリアルファラシャ(Qali Al Farrasha)は後方からレースを進めました。
各馬が牽制し合う中、レースは前半1000mを58秒台で通過するスローペースとなりました。
最後の直線に入ると、ハイヨーサスボムが先頭を譲り、シャープンスマートが抜け出しました。しかし、外からプロヴァンスが鋭く伸びてきて、シャープンスマートを残り200m付近でかわして先頭に立ちます。カリアルファラシャも追い込んできましたが、プロヴァンスがクビ差で振り切り、優勝しました。
レース分析
プロヴァンスは、スローペースの展開を利して、中団から一気に差し切るという理想的なレース運びを見せました。スプラット騎手の冷静な判断と、馬の瞬発力がこの勝利に繋がったと言えるでしょう。
シャープンスマートは、直線で一旦は先頭に立ちましたが、プロヴァンスの末脚に屈してしまいました。展開が向かなかったことも敗因の一つと言えるかもしれません。
カリアルファラシャは、後方から追い込んで2着と健闘しました。勝ち馬との差はわずかで、力のあるところを見せてくれました。
各馬の分析
1着:プロヴァンス
中団から力強く伸びて、見事な勝利を収めました。スプラット騎手とのコンビネーションも抜群で、直線での追い出しは見事でした。プロヴァンスは、今回の勝利でG1初制覇となりました。今後の活躍が期待され、更なる飛躍が期待されます。
2着:カリアルファラシャ
後方からの追い込み届かず2着。勝ち馬との差はわずかで、力のあるところを見せてくれました。M & S Walker & Bergerson厩舎に所属し、騎手はW・ピンでした。父は凱旋門賞馬アルマンゾール(Almanzor)という良血馬です。
3着:タウンクライヤー
先行集団から粘り強く走り、3着を確保しました。騎手はL・カリーでした。
4着:エーゴン
好位からレースを進めましたが、最後は伸び切れず4着。Andrew Forsman厩舎に所属し、騎手はV・コルガンでした。父Sacred Falls、母Toss Upという血統で、これまで30戦6勝3着6回という成績を残しています。
5着:マルトタイム
中団から脚を伸ばしましたが、勝ち馬には届かず5着。騎手はL・スザーランドでした。
6着:マロティリモリー
中団から徐々にポジションを上げて、6着入線。Matthew Dixon厩舎に所属し、騎手はK・ハーコックでした。父Per Incanto、母Marotiri Missという血統で、これまで13戦6勝2着2回という成績を残しています。
7着:マリストン
後方から追い上げましたが、上位争いには加われず7着。D & B Weatherley厩舎に所属し、騎手はS・ウェザーレイでした。父El Roca、母Lovisteという血統で、これまで26戦5勝3着6回という成績を残しています。
8着:ケリーコー
中団からレースを進めましたが、最後は失速して8着。L & A O’sullivan & Scott厩舎に所属し、騎手は橋詰大央でした。父Proisir、母Floriditaという血統で、これまで38戦7勝3着6回という成績を残しています。
9着:ヒーズアドージー
後方から追い上げましたが、9着に終わりました。騎手はK・マイヤーズでした。[18]
10着:パールオブアルサス
中団からレースを進めましたが、最後は伸び切れず10着。S & C Ritchie & Murray厩舎に所属し、騎手はM・マクナブでした。父Tavistock、母Irionという血統で、これまで18戦7勝2着2回という成績を残しています。
11着:ワンボールドキャット
先行集団にいましたが、最後は失速して11着。Robbie Patterson厩舎に所属し、騎手はJ・ドイルでした。父The Bold One、母Floozie Catという血統です。
12着:プントゥーラ
中団からレースを進めましたが、最後は伸び切れず12着。前年の覇者でしたが、今年は力を発揮することができませんでした。Robbie Patterson厩舎に所属し、騎手はC・グリルズでした。
13着:シャープンスマート
一時先頭に立ちましたが、最後はプロヴァンスに交わされて13着。G&D.ロジャーソン厩舎に所属し、騎手はR・エリオットでした。父Redwood、母Queen Margaretという血統で、これまで23戦6勝という成績を残しています。
14着:ハイヨーサスボム
ハナを切ってレースを作りましたが、最後は失速して14着。騎手はC・バーンズでした。[52]
15着:ライトニングジャック
先行集団にいましたが、最後は失速して15着。騎手はH・グレースでした。馬主は楠木 光です。
騎手のコメント
優勝したプロヴァンスに騎乗したS・スプラット騎手は、レース後に「今日はプロヴァンスの状態が本当に良かった。道中はリラックスして走らせることができ、直線では素晴らしい脚を使ってくれた。G1を勝つことができて本当に嬉しい」と喜びを語りました。
調教師のコメント
プロヴァンスを管理する調教師は、レース後に「プロヴァンスは素晴らしい馬だ。今日の勝利は、馬自身の能力と、スプラット騎手の好騎乗、そしてスタッフ全員の努力の賜物だ。これからも、プロヴァンスと共に大きなレースに挑戦していきたい」とコメントしました。
今後の展望
プロヴァンスは、この勝利でG1馬の仲間入りを果たしました。今後の活躍が期待され、更なる飛躍が期待されます。関係者からは、オーストラリアのG1レースへの挑戦も視野に入れているとの話も出ています。
注目の血統
今回のソーンドンマイルでは、注目すべき血統を持つ馬が多数出走しました。
例えば、カリアルファラシャは、父が凱旋門賞馬アルマンゾール(Almanzor)という良血馬です。アルマンゾール産駒は、近年世界中で活躍しており、カリアルファラシャもその期待に応えるべく、今後の活躍が注目されます。
まとめ
ソーンドンマイル2025は、プロヴァンスが制し、新たなG1馬が誕生しました。レースは、各馬が持てる力を出し切った、見応えのあるものでした。今後の競馬界を担うであろう若駒たちの活躍に、今後も注目していきたいと思います。