マルシュロレーヌはなぜ年度代表馬になれなかったのか?ラヴズオンリーユー、フォーエバーヤングとの評価の違いを検証
2021年のJRA賞選定において、ブリーダーズカップディスタフ(BCディスタフ)を制したマルシュロレーヌが年度代表馬はもちろん、特別賞すら獲得できなかった経緯は、競馬ファン間で大きな議論を呼びました。特に、同年にG1を3勝したラヴズオンリーユーや、その後のフォーエバーヤングの評価との整合性について、投票基準の疑問が投げかけられています。本記事では、この評価の差が生じた背景を、当時の議論や実績に基づいて詳細に検証します。
この記事の要点
- マルシュロレーヌが年度代表馬に選ばれなかった最大の理由は、比較対象であるラヴズオンリーユーのG1・3勝という圧倒的な実績差です。
- BCディスタフは牝馬限定のダート最高峰レースですが、日本の競馬記者の中にはエリザベス女王杯と同格と見なす意見も見られました。
- 国内での成績が不安定で(例:帝王賞9着)、BCディスタフの勝利が「フロック(偶然の勝利)」と見なされたことが評価を下げた主要因の一つです。
- 2021年最優秀古馬牝馬の投票では、マルシュロレーヌはラヴズオンリーユーに大差をつけられ、わずか2票にとどまりました。
- この議論は、JRA賞の選定基準、特に記者投票制度のあり方に対する批判へとつながっています。
マルシュロレーヌのJRA賞選定を巡る議論の背景
2021年にマルシュロレーヌがブリーダーズカップ・ディスタフ(BCディスタフ)を制したことは、日本調教馬初の米ダートG1制覇という歴史的な快挙でした。しかし、その偉業にもかかわらず、年度代表馬はもちろん、最優秀古馬牝馬の部門賞や特別賞の選定からもれたことが、多くの競馬ファンの間で「評価の整合性が取れない」として議論を呼びました。特に、後年のフォーエバーヤングが年度代表馬に推される状況とマルシュロレーヌの無冠が比較対象となっています。
BCディスタフ制覇の偉業と「牝馬限定」という評価の壁
BCディスタフは牝馬ダート戦の最高峰に位置しますが、競馬記者の投票においては「牝馬限定戦であること」が評価を限定する要因として挙げられました。 国内G1のエリザベス女王杯(エリ女)と同格と見なし、「エリ女1発で年度代表馬は無理」とする見解も一部で見られています。 さらに、マルシュロレーヌは国内のダート重賞(例:帝王賞9番人気8着)で惨敗を喫していたため、その勝利が「展開に恵まれたラキ珍勝利」「フロック」と見なされる一因となりました。
矢作調教師ら関係者の見解
管理する矢作芳人調教師は、インタビューでマルシュロレーヌが年度代表馬でも良かったという見解を示していました。 これは、日本馬が長年勝てないと言われてきた牝馬ダート最高峰レースでの勝利という、偉業の重みを強調するものと考えられます。一方で、過去に日本調教馬初の海外G1勝利を挙げたシーキングザパールも部門賞や特別賞がなかった事例が引き合いに出され、海外遠征馬の評価基準が難しいことが示されています。
圧倒的な実績差。ラヴズオンリーユーとの比較検証
マルシュロレーヌが最優秀古馬牝馬部門の受賞を逃した最大の理由は、同年にG1を3勝したラヴズオンリーユーの存在です。 ラヴズオンリーユーはQE2世C、BC F&Mターフ、香港カップと、複数の国際G1を制覇しており、実績面で圧倒していました。
2021年最優秀古馬牝馬の投票結果と実績の比較
2021年JRA賞の最優秀古馬牝馬部門における投票結果は、両馬の評価の決定的な差を明確に示しています。マルシュロレーヌは僅差で勝ったアカイイト(エリ女勝ち)を上回る結果でしたが、上位陣には遠く及びませんでした。
| 馬名 | 主要G1勝利(2021年) | 獲得票数 |
|---|---|---|
| ラヴズオンリーユー | QE2世C、BC F&Mターフ、香港C(G1計3勝) | 251票 |
| グランアレグリア | ヴィクトリアマイル、マイルCS(G1計2勝) | 31票 |
| クロノジェネシス | 宝塚記念(G1計1勝) | 11票 |
| マルシュロレーヌ | BCディスタフ(G1計1勝) | 2票 |
| アカイイト | エリザベス女王杯(G1計1勝) | 1票 |
BCクラシックとBCディスタフのレース格の違い
年度代表馬や最優秀ダートホース選定において、BCディスタフ(牝馬限定)とBCクラシック(牡馬混合)を同価値と見なすかどうかも論点となりました。 一般的に、ダートは牡馬混合戦(クラシック)を勝たないと最高評価は難しいという意見があります。 実際にラヴズオンリーユーはエクリプス賞の芝の古馬牝馬部門を受賞していますが、マルシュロレーヌはダート部門で何も受賞していません。
BCディスタフの勝利が「フロック」と見なされた理由
マルシュロレーヌの勝利を「完全なフロック」「ラッキーパンチ」と評価する声は、掲示板の議論でも多く見られました。 この背景には、国内実績の不安定さに加え、レース自体の認知度の低さがありました。BCディスタフを勝つまで、国内の競馬ファンが同馬の出走やレースの存在を深く認知していなかった点も影響し、「偉業」として捉える記者が少なかったと推測されます。
ディープインパクト産駒と他の血統馬の評価
マルシュロレーヌやウシュバテソーロ(ディープ産駒ではない)の評価と、フォーエバーヤング(ディープ産駒ではないが)への期待が対比される中で、競馬界の評価基準に血統(ディープインパクト産駒かどうか)が影響しているのではないか、という指摘もありました。 ただし、これは一部のファンの意見であり、実際の投票結果には実績が大きく反映されています。
特別賞すら与えられなかった評価の理由
年度代表馬は難しくても特別賞は与えるべきだったという意見は多く、フロックであろうとレースの格や偉業を評価すべきという声もありました。 しかし、結果的に特別賞も見送られたのは、総合的な成績、特に国内での不安定さと「フロック視」されたことが、票の獲得に至らなかった最大の理由と考えられます。
JRA賞の記者投票制度に対するファンの批判
マルシュロレーヌの低評価や、その後のフォーエバーヤング選出を巡る議論は、JRA賞選定における記者投票制度への不信感と批判につながっています。 ファンからは「記者の見識に問題がある」「投票をやめてほしい」といった厳しい意見が出ており、評価の客観性や整合性を求める声が強まっています。
まとめと今後の展望
マルシュロレーヌのBCディスタフ制覇は偉業である一方、JRA賞の選定では「ライバルの実績(ラヴズオンリーユーG1・3勝)」と「レースの格/国内成績」の評価が低く作用しました。この事例は、海外での単発の快挙を国内でどう評価すべきかという課題を明確に残しており、今後のJRA賞の選定に影響を与え、特別賞の扱いについて反省が活かされる可能性も指摘されています。
よくある質問(FAQ)
- Q: マルシュロレーヌはなぜ特別賞すら獲得できなかったのでしょうか?
- A: 国内での成績が不安定で(帝王賞8着など)、BCディスタフの勝利が「展開に恵まれたフロック」と見なされたこと、およびレースの知名度が低かったことが影響した可能性が指摘されています。
- Q: ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌのG1勝利の「格」の違いは何ですか?
- A: ラヴズオンリーユーがBC F&Mターフを含むG1を3勝しているのに対し、マルシュロレーヌのBCディスタフは牝馬限定のダート最高峰とはいえ勝利数が少なく、総合評価で差がつきました。また、ラヴズオンリーユーは芝の古馬牝馬としてエクリプス賞を受賞しており、現地での評価も高かったです。