2025年12月中旬に開催される中央競馬の注目6レースにおける有力馬の徹底分析と予想のポイントを、多角的な視点から解説します。

1. トラックバイアスと馬場傾向分析
阪神競馬場
- 芝コースは開催が進むにつれて路盤が痛み、時計のかかるタフなコンディションへと移行。瞬発力に加え、スタミナと持続力が要求されます。
- 血統的には、欧州型のノーザンダンサー系やパワーに優れたロベルト系の血を持つ馬が有利になる傾向があります。
- ダートコースは、基本的には先行力が有利。特に1800m戦(ベテルギウスS)や1200m戦(タンザナイトS)では、4コーナーでの位置取りが重要となります。
中山競馬場
- 冬開催特有の「パワーを要する馬場」が顕著です。
- 芝コースはエアレーション作業の影響もあり、外からの差しが決まるケースも見られますが、基本的には内枠の先行馬が粘り込むシーンも多いです。
- 小回りコース(芝1800mなど)では、コーナーでの機動力(器用さ)が問われ、小回りを苦にしないピッチ走法の馬や、インを突ける操縦性の高い馬が有利です。
中京競馬場
- 左回りの長い直線と急坂が特徴です。
- 芝1200m(クリスマスローズS)では、3コーナーから4コーナーにかけての下り坂(スパイラルカーブ)を利用した差し馬の台頭が警戒されます。
- ダート1400m(コールドムーンS)は、スタート直後が芝コースのため、ここでの加速力がポジション取りに直結します。芝スタートを得意とする米国産馬や、ダート短距離血統の馬が優位に立ちやすい構造です。
2. ポインセチアステークス(2歳オープン・ダート1800m・阪神)
2歳ダート路線の出世レースであり、将来のダートグレード競走を見据える若駒が集結します。
有力馬分析
◎ ウェイニースー
(外・栗東・中内田厩舎)
- **調教・状態:** 米国産馬らしい雄大な馬体。12月10日の栗東CW追い切りでラスト1F 11.2秒をマーク。馬体の張り、毛艶ともに良化しており、態勢は万全。
- **血統・適性:** 父Into Mischiefは北米リーディングサイアーで、産駒に圧倒的なダート適性を伝えます。前走新馬戦(阪神ダート1800m)で独走圧勝しており、同コースでの再現性が高い。
○ ケンタッキーホーム
(栗東・松下厩舎)
- **調教・状態:** ゴールドドリーム産駒。12月10日の栗東坂路でパワフルな動き。休養明けを感じさせない。
- **前走・成長度:** 前走2歳未勝利戦で不利を克服し勝利。粗削りながら非凡な勝負根性があり、スムーズならパフォーマンスアップが見込める。
▲ ジャスティンルマン
(栗東・杉山晴厩舎)
- **調教・状態:** スワーヴリチャード産駒。中間の坂路調教で素軽さを見せ、12月11日に好時計を記録。前走からの上積みは大きい。
- **レースセンス・展開:** 前走未勝利戦で早めに抜け出し押し切る強い内容。持久力に長けており、自分の形に持ち込めれば粘り強い。
その他の注目馬
- **テイエムサンレーヴ(栗東・河嶋厩舎):** 新種牡馬ルヴァンスレーヴ産駒。CW追い切りでラスト1F 11.4秒の切れ味。阪神の急坂も苦にしないパワーを秘める。
- **ワンダーディーン(栗東・高柳大厩舎):** 坂路で古馬オープン馬に先着する驚異的な動き。能力の高さは疑いようがなく、精神面の強さも武器。
- **ダンツシタン(栗東・本田厩舎):** パイロ産駒。前走不利がありながら2着。スムーズなら勝ち負けの内容で、末脚の破壊力はメンバー屈指。
予想のポイント
ウェイニースーの圧倒的なポテンシャルに対し、他馬がどこまで食い下がれるかが焦点。逆転候補はケンタッキーホーム、ワンダーディーン。先行争いが激化すれば、ダンツシタンの台頭も警戒。
3. クリスマスローズステークス(2歳オープン・芝1200m・中京)
中京芝1200mは、長い直線とスパイラルカーブ、そして直線の急坂が特徴で、スピードとスタミナの両方が問われます。
有力馬分析
◎ フォーゲル
(栗東・斉藤崇厩舎)
- **調教・状態:** アルアイン産駒。坂路中心の入念な乗り込みで好時計をマーク。体調の良さを裏付けている。
- **レース適性・馬具効果:** 前走さざんか賞でチークピーシズ着用効果を発揮し差し切り勝ち。気性面の成長と集中力アップが噛み合えば主役。
○ タマモイカロス
(栗東・藤岡健厩舎)
- **調教・状態:** デクラレーションオブウォー産駒。意欲的な追い切りを消化し、体調面の不安なし。
- **コース適性・血統:** 前走福島2歳Sで力でねじ伏せる横綱相撲で勝利。タフな中京コースは歓迎で、充実期にある。
▲ コラルリーフ
(栗東・佐藤悠厩舎)
- **調教・状態:** ビッグアーサー産駒。坂路やCWで軽快な動き。余力を残しながら鋭い切れ味を見せる。
- **末脚の破壊力:** 前走福島2歳Sで最後方から猛然と追い込み2着。展開次第で勝ち切る力があり、中京の長い直線は末脚を活かせる舞台。
その他の注目馬
- **ランドスター(美浦・柄崎厩舎):** 課題だったモタれが改善傾向。調教でも素軽さが出てきている。
- **ハッピーエンジェル(美浦・武市厩舎):** 前走アルテミスS(G3)で4着と健闘。マイル戦で先行して粘ったスタミナは距離短縮で武器になる。
予想のポイント
完成度とレースセンスで勝るフォーゲルが中心。相手はパワーと成長力を持つタマモイカロス、展開次第で破壊力のあるコラルリーフ。重賞善戦経験のあるハッピーエンジェルの変わり身にも注意。
4. タンザナイトステークス(3歳以上オープン・芝1200m・阪神)
阪神芝1200m(内回り)で行われるハンデ戦。スピード自慢のベテランと勢いのある新鋭が激突します。
有力馬分析
◎ カルロヴェローチェ
(栗東・須貝尚厩舎)
- **調教・状態:** シルバーステート産駒。坂路での猛時計がトレードマーク。脚力は現役屈指で、レース間隔は詰まっているが十分な仕上がり。
- **前走・コース適性:** 前走ラピスラズリSで2着。テンションが鍵だが、先行力が活きる阪神内回り1200mは能力全開なら押し切り濃厚。
○ アサカラキング
(美浦・斎藤誠厩舎)
- **調教・状態:** キズナ産駒。美浦坂路の「調教番長」。ブリンカー効果で集中して走れており、スピードの絶対値はトップクラス。
- **復調の兆し:** 前走武蔵野S(ダート1600m)は適性外。得意の芝スプリント戦に戻れば本来のスピードで圧倒する可能性が高い。
▲ バースクライ
(栗東・千田厩舎)
- **調教・状態:** ハーツクライ産駒。坂路でコンスタントに好時計をマークし、活気十分。充実期にある。
- **展開利・ハンデ:** 前走2着と地力は高く、ハンデ54kgと恵まれた。先行馬が競り合う展開になれば、差し脚が届くシーンは十分想定できる。
その他の注目馬
- **アスクワンタイム(栗東・梅田智厩舎):** ゲートに課題はあるが、末脚の威力は侮れない。調教時計も良く、状態は良好。
- **ミルトクレイモー(栗東・中村厩舎):** 近走は振るわないが、快速馬としての素質は健在。スムーズに先行できれば残り目がある。
- **ヤブサメ(栗東・石橋厩舎):** 前走後方から差し切り。昇級戦でも決め手は脅威。
予想のポイント
カルロヴェローチェとアサカラキングの先行馬の兼ね合いが焦点。両馬が競り合ってペースが上がれば、バースクライやヤブサメの差し脚が台頭する余地が生まれる。展開重視の予想が有効。
5. ディセンバーステークス(3歳以上オープン・芝1800m・中山)
中山芝1800mはコーナー4回の小回りコースで、器用さと立ち回りの巧さ、そして直線の急坂をこなすパワーが求められます。
有力馬分析
◎ コントラポスト
(美浦・菊沢厩舎)
- **調教・状態:** ルーラーシップ産駒。美浦Wコースで順調な仕上がり。万全の状態で臨める。
- **コース適性・安定感:** 前走京成杯オータムHで3着。好位からしぶとく粘り込む競馬は中山1800mで武器となり、相手なりに走れる安定感はメンバー随一。
○ グランディア
(栗東・中内田厩舎)
- **調教・状態:** ハービンジャー産駒。栗東CWでの切れ味鋭い動きが目立つ。ラスト1F 11.0秒を叩き出し、状態の良さは疑いようがない。
- **洋芝適性・パワー:** タフな馬場を得意とし、中山の急坂も苦にしないパワーを秘める。休養明けの巻き返しが期待できる。
▲ ショウナンマグマ
(美浦・尾関厩舎)
- **調教・状態:** ザファクター産駒。活気十分の動きで、6歳となっても衰えは見られない。
- **展開の鍵を握る逃げ馬:** 得意の中山1800mで自分のペースに持ち込めれば、粘り込みを図る。
その他の注目馬
- **ゴンバデカーブース(美浦・堀厩舎):** 2歳時に重賞制覇の素質馬。近走不振だが、チークピーシズ効果で集中力が戻れば能力的にあっさり勝つ可能性も。
- **マイネルメモリー(栗東・宮厩舎):** 前走で復調気配。スタミナ勝負になれば浮上する可能性あり。
予想のポイント
中山巧者コントラポストの安定感を信頼。相手は調教抜群のグランディアと、展開利が見込めるショウナンマグマ。ゴンバデカーブースの復活にも警戒が必要。
6. ベテルギウスステークス(3歳以上オープン・ダート1800m・阪神)
ダート中距離の実力馬が揃うリステッド競走。阪神ダート1800mは、位置取りとスタミナ・パワーの総合力が問われるタフなコースです。
有力馬分析
◎ ハピ
(栗東・大久龍厩舎)
- **調教・状態:** キズナ産駒。CWと坂路を併用し好仕上がり。「好気配保つ」との評価。
- **実績・斤量の克服:** 前走太秦S勝利でダートグレード級の能力を示した。決め手はメンバー随一。斤量59kgを背負うが、格の違いでねじ伏せる可能性が高い。
○ ジンセイ
(栗東・庄野厩舎)
- **調教・状態:** ジャスタウェイ産駒。坂路で意欲的な追い切り。「手応え十分」で状態面での上積みは大きい。
- **成長力・逆転の可能性:** 前走は万全でない中でハピの3着と好走。叩いて状態が上向いている今回は、斤量差を活かして逆転を狙う。
▲ タガノバビロン
(栗東・西園翔厩舎)
- **調教・状態:** ヘニーヒューズ産駒の3歳馬。坂路で力強い動き。古馬相手でも引けを取らないパワーを備える。
- **勢い・適性:** 前走快勝してオープン入り。底を見せていない魅力があり、先行力と粘り強さは阪神1800mにフィットする。
その他の注目馬
- **ミスティックロア(栗東・矢作厩舎):** 父アロゲート。ポテンシャルは計り知れない。気性面に課題はあるが、能力全開なら突き抜けるシーンもあり得る。
- **ハギノサステナブル(栗東・高野厩舎):** 前走で見せた末脚は、展開がハマれば脅威となる。
予想のポイント
実績断然のハピが中心。相手筆頭は上積みの大きいジンセイと、勢いのある3歳馬タガノバビロン。展開が乱れれば、ミスティックロアやハギノサステナブルの一発にも警戒が必要。
7. コールドムーンステークス(3歳以上オープン・ダート1400m・中京)
中京ダート1400mは、芝スタートから前半ペースが速くなりがちだが、直線の急坂があるため差し馬の台頭も十分にあり得るコースです。
有力馬分析
◎ ロジアデレード
(美浦・稲垣厩舎)
- **調教・状態:** ドレフォン産駒。坂路で順調に乗り込まれ、「ますます快調」。デキ落ちは皆無。
- **昇級戦でのメド・適性:** 前走霜月Sで3着。昇級初戦からメドを立てた。芝スタートの中京ダート1400mは適性が高い条件。
○ スターターン
(栗東・坂口智厩舎)
- **調教・状態:** グレーターロンドン産駒。CWと坂路で素晴らしい動き。「目下最高のデキ」との最大級の評価。
- **コース適性・巻き返し:** 前走は不利がありながら3着と盛り返した。スムーズならさらに上位を狙えた内容で、能力上位は明らか。
▲ ダノンフィーゴ
(栗東・友道厩舎)
- **調教・状態:** Into Mischief産駒の3歳馬。坂路とCWで負荷をかけられ、態勢は整っている。
- **ポテンシャル・将来性:** 前走を圧勝した逸材。昇級戦となるが、スピードとパワーは即通用する可能性が高い。
その他の注目馬
- **シークレットヴァウ(美浦・武藤厩舎):** 休み明けでも「動きキビキビ」と評され、動ける態勢。
- **サトノフェニックス(栗東・西園正厩舎):** 先行力は健在で、展開ひとつで粘り込みが期待できる。
予想のポイント
安定感と調子の良さでロジアデレードを本命。デキ絶好のスターターンと、底知れぬ魅力を持つ3歳馬ダノンフィーゴが相手本線。この3頭の争いが濃厚だが、展開次第ではシークレットヴァウなどの食い込みにも注意が必要。
8. 総合結論と馬券戦略:2025年冬競馬を勝ち抜くために
今週の特別戦は、来年の飛躍を期す実力馬と、勢いのある3歳・2歳馬の激突が大きなテーマです。各レース、当日のパドック気配や直前のトラックバイアスを考慮しつつ、上記の有力馬を中心に馬券を組み立てることが推奨されます。特に冬場は、調教の動きが良くても寒さで体が硬くなっている馬もいるため、返し馬でのフットワーク確認も重要となります。netkeiba.comで詳細な予想を確認 →