2025年鳴尾記念 (GIII) 徹底分析

秋のG1戦線を終えた強者たちが集う、来年の飛躍を占う重要な一戦。

レース概要と背景

第78回鳴尾記念は、2025年12月6日に阪神競馬場（芝1800m外回り）で開催される。秋のG1戦線を終えた馬や勢いに乗る上がり馬、路線変更を試みる実力馬が集結する、翌年の飛躍を占う重要な重賞競走である。

今年の最大の注目は、良血馬グランヴィノスの重賞初制覇の可能性。しかし、前走チャレンジカップ覇者のオールナット、高レイティング馬マテンロウレオ、ダートからの参戦となるドゥラエレーデなど、強敵が多数存在する。本レポートは、調教データ、陣営コメント、過去パフォーマンス、血統背景などを分析し、阪神芝1800m外回りコースの特性を踏まえた予想のポイントを解説する。

レース基本構造とデータ概観

• レース名: 第78回 鳴尾記念 (GIII)
• 開催日時: 2025年12月6日 (土) 阪神11R
• コース: 阪神 芝1800m (外回り)
• 出走頭数: 14頭

• 形式: 別定戦（一部馬に斤量課せられる）
• 主要前哨戦: チャレンジカップ (GIII)
• 注目データ: レイティングと調教の動きの相関関係。
• 最高レイティング: ドゥラエレーデ (69.8)

コース適性と展開の鍵

阪神芝1800m外回りは、スタートから最初のコーナーまでの距離が長く、ゆったりとした「ワンターン」形状のため、紛れが少なく能力が反映されやすいコースである。

ワンターンの優位性 🚀

グランヴィノスを管理する友道康夫調教師は、内回りコースよりワンターンの方が適しているとの見解を示している。これは、エンジンの掛かりが遅い大型馬や、ストライドの大きな馬にとって、減速なくスピードに乗れるメリットがあるため。

キタサンブラック産駒のグランヴィノスにとって、この条件替わりはプラス材料となる可能性が高い。

展開の鍵 🔑

先行勢のショウナンマグマとブラックシールドの動向がペースを左右する。この2頭がペースを作り、デビットバローズやニホンピロキーフらが追走する展開が予想される。

スローペースからの瞬発力勝負になるか、スタミナが問われる流れになるかで、後方待機勢の台頭余地が変わる。ラスト3ハロンの瞬発力勝負になりやすく、上がり33秒台の脚を使えるかが重要となる。

主役候補の徹底分析

グランヴィノス (No.13) 🌟

• 血統: 父キタサンブラック、母ハルワスウィート。G1馬3頭の兄姉を持つ超良血馬。
• レイティング: 64.4
• 調教: 12月3日栗東坂路で54.7 – 12.2、併せ馬に0.6秒先着。「強めに追う」「まずまず仕上がる」評価。
• 分析: 父キタサンブラック譲りの成長力に期待。友道調教師はここを目標に仕上げたことを明言。前走2着からの上積みと、歓迎する「ワンターン」への条件替わりが逆転への根拠。斤量57kg。

オールナット (No.14) 🏆

• 血統: 父ドゥラメンテ。
• レイティング: 67.4
• 調教: 12月3日栗東坂路で55.7 – 12.2を「馬なり余力」でマーク。「久々も動き軽快」評価。
• 分析: 前走チャレンジカップ優勝馬で、現在の充実ぶりはメンバー随一。高野調教師も「心身ともに充実、更に良くなっている」と強気。状態面の不安はない。斤量58kgで、グランヴィノスより1kg重くなる点がわずかな懸念。

両雄の比較

コース替わりと斤量差が、前走の着順を覆す可能性を示唆している。

逆転を狙う有力馬たち

デビットバローズ (No.10) ✨

• 血統: 父ロードカナロア。
• レイティング: 67.4
• 調教: 12月3日栗東CWで83.3 – 11.3を「馬なり余力」でマーク。ラスト1ハロン11.3秒の鋭い切れ味。
• 分析: 3走前の大阪城ステークスで勝利した阪神芝1800mは得意舞台。涼しくなった時期に調子を上げている。調子の良さは出走馬中トップクラス。斤量57kg。

マテンロウレオ (No.2) 💪

• 血統: 父ハーツクライ。
• レイティング: 67.4
• 調教: 12月3日栗東CWで82.0 – 11.3を「馬なり余力」でマーク。ラスト1ハロン11.3秒の切れ味。
• 分析: 一時期の不振を脱し、復調気配。昆助手は「パワーアップして戻ってきた」「阪神は得意」と自信。内枠（2番）を引いたことで、横山典弘騎手がロスなく立ち回る戦略が想定される。斤量57kg。

波乱の使者 – ドゥラエレーデと未知の要素

ドゥラエレーデ (No.11) 🌪️

• 血統: 父ドゥラメンテ。
• レイティング: 69.8 (メンバー中1位)
• 調教: 12月3日栗東坂路で54.7 – 13.0。
• 分析: ダートG1常連馬だが、芝レースを選択。能力値は最上位。今回初ブリンカー着用。集中力が増せば芝に対応できる可能性。池添学調教師は「ワンペースなので前、前で運びたい」とコメント。芝適性には疑問符が付くが、地力でねじ伏せるシナリオも。斤量57kg。

ウエストナウ (No.9) 📈

• 血統: 不明。
• レイティング: 63.4
• 調教: 12月3日栗東CWで80.5 – 11.4を一杯に追ってマーク。
• 分析: 前走アンドロメダS（京都芝2000m）を勝利し勢いに乗る4歳馬。佐々木晶三調教師は「きっかけを掴んだ」「重賞でも楽しみ」と期待。4歳馬らしい成長力があり、ここでの通用も十分考えられる。斤量57kg。

全出走馬の調教・状態詳細分析

関東馬

• オニャンコポン (No.1): 除外続きで間隔が開いたが「乗り込み入念」。12月3日美浦Wで58.8-13.1と軽めだが素軽さ十分。小島茂調教師は「1回使えばもっと良くなりそう」と慎重。距離短縮はプラス。斤量57kg。
• サンストックトン (No.5): 調教短評「バカつき不安」。12月3日美浦坂路で54.3-12.7で併せ馬に遅れ。状態面での推し材料に欠ける。斤量57kg。
• ラーグルフ (No.7): 12月3日美浦Wで84.0-11.8。「鋭さひと息」。丸田騎手が騎乗したが、少し重め残りの印象。斤量57kg。

その他の関西馬

• ニホンピロキーフ (No.12): 前走3着と好走。「復調した」とのコメント。12月3日栗東坂路で55.9-12.5と動き軽快。「直線平坦理想」だが、今の充実ぶりならこなせる可能性。斤量57kg。
• ナムラエイハブ (No.8): 「充実してきた」との評価。12月3日栗東坂路で54.1-11.9とラスト1ハロン11秒台をマークし推進力ある走り。相手なりに走れるタイプでヒモ穴として注意。斤量57kg。

データから導き出す「予想の結論」への道筋

1. コース適性と直線の瞬発力: 阪神芝1800m外回りはラスト3ハロンの瞬発力が鍵。
   • プラス評価: グランヴィノス（外回り・ワンターン向き）、デビットバローズ（同舞台実績、調教ラスト11.3秒）、マテンロウレオ（調教ラスト11.3秒）。
   • マイナス懸念: ニホンピロキーフ（平坦向き）、センツブラッド（調教で遅れ、良化途上）。
2. 斤量差のインパクト: オールナット (58kg) vs グランヴィノス (57kg) の1kg差とコース替わり（内回り→外回り）の組み合わせは逆転現象のトリガーとなり得る。
3. 調教データの「質」: 数字だけでなく、内容（馬なりか、一杯か）と併せ馬の結果が重要。
   • S評価: デビットバローズ、マテンロウレオ（共に馬なりでラスト11.3秒）。
   • A評価: ウエストナウ（一杯に追われ好時計）、グランヴィノス（坂路で加速）。
4. 不確定要素の排除と選択: ドゥラエレーデは能力最上位だが、芝適性と展開依存度が高くリスク伴う。オッズ妙味狙いなら鍵となるが、軸馬としてはグランヴィノスやデビットバローズの方が信頼度が高い。

総括

第78回鳴尾記念は、グランヴィノスの覚醒か、実績馬の意地かの興味深い一戦。データ分析の結果、最も勝利に近いのはコース適性向上と斤量恩恵を受けるグランヴィノス。

しかし、調教で抜群の動きを見せたデビットバローズとマテンロウレオもグランヴィノスを脅かすポテンシャルと状態にある。前走勝者のオールナットも軽視できない。

予想のポイントは、「阪神外回り1800mへの適性」、「57kg対58kgの斤量差」、「調教で見せたラスト1ハロンの鋭さ」の3点。

付録：主要馬データ一覧表

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