徹底分析レポート
概要と開催情報
レース名
第61回中日新聞杯(GⅢ)
開催日
2025年12月13日
開催場所
中京競馬場
距離と特徴
芝2000m (ハンデ重賞、スタミナとパワーが問われるタフなコース)
コース・血統傾向分析:中京芝2000mの「黄金律」
コース特性:タフネスと持続力の要求
中京芝2000mは、スタート直後とゴール前の二度の急坂を攻略するために、スピード、スタミナ、パワーの全てが求められるコースです。
- 前半のポジショニング: スタート直後の急坂によりペースが上がりにくく、ある程度の先行力が有利に働く傾向があります。
- 3〜4コーナーの下り: 向こう正面から緩やかに下るためペースアップしやすく、長く良い脚を使う持続力が問われます。
- 直線の攻防: 412.5mの長い直線とゴール前の急坂が特徴で、坂を苦にしないパワーと最後までバテないスタミナが必須です。
血統トレンド:ハーツクライとトニービンの支配力
過去のデータから、以下の血統が優位性を示しています。
- ハーツクライ系(トニービン内包): ハーツクライ産駒およびその後継種牡馬は、母父トニービンの影響で左回りの広いコースで長く良い脚を使う傾向があり、このコースで特筆すべき成績を残しています。
- ロベルト(Roberto)系: 時計のかかる冬場の馬場では、パワーとスタミナに優れたRobertoの血を持つ馬が台頭します(例: シンボリクリスエス、エピファネイア)。
- キングカメハメハ系(特にルーラーシップ・レイデオロ): 上記の好走血統であるトニービンやロベルトの血を内包しているケースが多く、このコースを得意としています。
有力馬徹底分析:追い切りと血統の融合
シンハナーダ:覚醒したレイデオロの傑作
父: レイデオロ (Roberto系内包) / 母父: ウォーエンブレム
調教評価: S評価
- 最終追い切り(12/10 美浦W): 66.2 – 50.9 – 37.2 – 12.1(馬なり)。スムーズで質の高い動きを見せ、心身ともに本格化した印象。「本格化している」との陣営コメントも頷ける内容。
- 1週前追い切り(12/3 美浦W): 64.7 – 49.7 – 35.7 – 11.5(G前仕掛け)。6ハロン64秒台の猛時計をマークし、ラストも鋭く伸び、充実ぶりをアピール。
- 血統分析: 父レイデオロ、母系にウォーエンブレム、祖母父Singspiel(Sadler’s Wells系)という配合は、パワー・持続力・底力を兼ね備え、タフな中京コースへの適性が非常に高い。
メリオーレム:良血開花の時、ハーツクライ系の正統派
父: シュヴァルグラン (ハーツクライ産駒) / 母父: Starspangledbanner
調教評価: A評価
- 最終追い切り(12/10 栗東坂路): 53.9 – 38.9 – 24.9 – 12.3(馬なり)。ラスト2ハロンを加速ラップでまとめ、リズム重視の好内容。
- 1週前追い切り(12/5 栗東坂路): 52.7 – 38.5 – 25.3 – 12.4(一杯)。負荷をかけられ、長く良い脚を使うタイプで中京の長い直線は合いそう。
- 血統分析: 父シュヴァルグランのスタミナ・持続力に母系のスピードが加わり、Haloのクロスもあり、古馬になってからの本格化が期待される。
シェイクユアハート:安定感抜群、中京巧者の資質
父: ハーツクライ (トニービン内包) / 母父: Sri Pekan (Roberto系)
調教評価: A評価
- 最終追い切り(12/10 栗東坂路): 54.0 – 39.6 – 25.6 – 12.3(馬なり)。ゆったりした入りからラスト1ハロンで鋭く伸び、安定した走りができており、デキ落ちはない。
- 血統分析: 父ハーツクライ×母父Sri Pekanという配合は、中京2000mで最も信頼できるパターンの一つ。持続力と底力を兼ね備え、消耗戦で強さを発揮する。
ヴィンセンシオ:ダートで培ったパワー、芝での覚醒
父: リアルスティール / 母父: キングカメハメハ
調教評価: B+評価
- 最終追い切り(12/10 美浦坂路): 53.0 – 39.1 – 25.8 – 12.8(G前仕掛け)。1週前のWコースでの追いきりの効果で反応が良化。水準以上の時計で仕上がりは良好。
- 血統分析: 祖母はシーザリオ。ダートで培ったパワーと、父リアルスティールから受け継いだスピード・持続力を、タフな中京の芝コースで活かせれば一変の可能性。
全出走登録馬 追い切り・状態ジャッジ一覧
| 評価 | 馬名 | 最終追い切り(12/10) | 分析コメント |
|---|---|---|---|
| S | シンハナーダ | (詳細上記) | 本格化、心身ともに充実 |
| A | ピースワンデュック | 美浦W 84.9-12.2 (馬なり) | 前走以上の動き。叩き2戦目で上積み大。 |
| A- | ファミリータイム | 栗東坂 53.6-12.4 (強め) | 久々も好気配。休み明けを感じさせない活気。 |
| A- | レッドバリエンテ | 栗東CW 85.3-11.5 (馬なり) | ひと叩きで素軽さが出る。ラストの切れ味は魅力。 |
| B+ | グーデンドラーク | 栗東坂 52.5-12.3 (一杯) | 脚取り確か。坂路で好時計をマークし意欲的。 |
| B+ | リフレーミング | 栗東CW 85.1-11.7 (馬なり) | 素軽さ出る。7歳でも衰えは見られない。 |
| B | ショウナンアデイブ | 栗東坂 56.3-12.7 (馬なり) | 動きまずまず。順調に使われ状態は安定。 |
| B | ダンディズム | 栗東坂 53.7-12.5 (馬なり) | 変わりないデキ。年齢を感じさせない動き。 |
| B | マイネルケレリウス | 美浦W 70.8-12.2 (馬なり) | 上がりに重点。前走の勢いは維持。 |
| B | ウインエーデル | 栗東CW 98.2-11.4 (強め) | 攻めは動くタイプ。実戦でどうか。 |
| B | ジューンテイク | 栗東CW 67.4-12.0 (末強め) | 一息入れ立て直す。まだ良化の余地あり。 |
| C+ | マイネルモーント | 美浦W 83.2-12.5 (強め) | 追われて案外。併せ馬で遅れ、上積みは疑問。 |
| C | オニャンコポン | 美浦W 58.8-13.1 (馬なり) | 時計が目立たず、ピーク時の迫力に欠ける。 |
| C | カネフラ | 栗東坂 54.7-12.3 (馬なり) | 立て直すもひと息。復調途上の感が否めない。 |
| C | ホウオウプロサンゲ | 栗東坂 55.0-12.8 (馬なり) | 動きが平凡で、変わり身には疑問符。 |
穴馬発掘:データが示す激走候補
グーデンドラーク:坂路の鬼、復調の兆し
父: ハーツクライ / 母父: シンボリクリスエス (Roberto系)
12月10日の栗東坂路でマークした52.5秒はメンバー中でもトップクラス。父ハーツクライ×母父シンボリクリスエスという配合も中京2000mの成功方程式に合致。勝負気配が漂い、見限るのは早計。
ピースワンデュック:叩き2戦目で真価発揮
父: グレーターロンドン / 母父: ジャングルポケット (Tony Bin系)
最終追い切りで「前走以上の動き」と評され、一度使った上積みは明らか。母父ジャングルポケットはトニービン系であり、父のディープインパクト系との配合で左回り2000mへの適性は高いと見られる。
結論:中日新聞杯2025の展望
調教・血統の両面から見て、シンハナーダの充実ぶりが頭一つ抜けている印象。本格化した今、タフな中京コースで能力を全開にする可能性が高い。対抗には、コース適性の高いハーツクライ産駒のメリオーレムとシェイクユアハートを挙げる。穴馬としては、坂路で猛時計を記録したグーデンドラーク、叩き良化型のレッドバリエンテ、ピースワンデュックに注意が必要。
付録:出走予定馬 血統・調教データ詳細
| 馬名 | 父 | 母父 | 主要クロス | 中京適性ランク |
|---|---|---|---|---|
| シンハナーダ | レイデオロ | ウォーエンブレム | Mr. Prospector 4×4×5 | S |
| メリオーレム | シュヴァルグラン | Starspangledbanner | Halo 4×5, Northern Dancer 5×5 | A |
| シェイクユアハート | ハーツクライ | Sri Pekan | Halo 3×4, Tony Bin内包 | A |
| グーデンドラーク | ハーツクライ | シンボリクリスエス | Hail to Reason 4×5 | B+ |
| ヴィンセンシオ | リアルスティール | キングカメハメハ | Special 3×4, Kingmambo 4×3 | B+ |