2025年チャンピオンズカップに出走する有力馬について、各陣営の調教師や騎手が共同会見で語ったコメントを特集。前哨戦の振り返りから現在の状態、レース戦略まで、各馬が勝負にかける意気込みを詳しく解説します。
この記事の要点
- 2025年チャンピオンズカップは、実績馬と新星が入り混じる多彩なメンバー構成。
- 各陣営は、中京ダート1800mのコース特性を意識し「自分のリズムで走ること」を重視。
- 馬の状態は各馬とも良好で、当日のペースや枠順などの展開が勝敗を分ける鍵となる。
- アウトレンジ、ウィルソンテソーロ、ナルカミなど、注目馬の最新情報と戦略を網羅。
目次
主要有力馬の陣営コメント
2025年チャンピオンズカップに出走する有力馬たちの陣営(調教師・騎手)は、レースへの意気込みや現在の状態、そして理想のレース展開について、共同会見で詳細なコメントを寄せました。
アウトレンジ (Out Range)
アウトレンジの陣営は、前走の宮古ステークスを非常に厳しいレースだったと振り返っています。大久保龍志調教師は、前走は速い時計で引っ張られた上にババ状態も厳しく、アウトレンジにとっては「1800mでも短いかなっていうようなイメージ」があるため、きつかったと述べています(理想は2000mくらい)。
状態と強み
順調に成長しており、走ることや持久力に対して非常に真面目な性格をしています。最終追い切りは、前走でダメージが少なかったこともあり、非常に良い調教となったと感じています。松山弘平騎手は、この馬の強みとして、自在性があり、しっかりポジションを取って追い込める点を挙げています。
レース戦略
大久保調教師は、ペースに惑わされず「自分のリズムの走り」をして、最後の持ち味を出せる乗り方をしてほしいと要望しています。松山騎手は、中央のダート1800mコースに対しては「不得意ではない」と考えており、理想は「しっかりスタートを決めて、流れに乗れるところで、足をためられれば」と語っています。
ウィルソンテソーロ (Wilson Tesoro)
昨年の2着馬であるウィルソンテソーロは、雪辱を期してこのレースに臨みます。
状態と強み
高木登調教師によると、前走のJBCクラシック(5着)は敗因が掴みきれない残念な結果でしたが、その後の反動をケアし、調整的には良い状態に仕上がっていると評価しています。川田将雅騎手は、この馬を「常に一生懸命な馬」と表現し、多くの戦いを経て「精神的に落ち着きもすごく出てきており、よりメリハリが出るようになっている」と成長を実感しています。
レース戦略とコース適性
川田騎手は、中央のダート1800mは直線の坂を二度上がるため体力が必要な構造だと指摘しつつも、フェアなコースだと認識しています。調教師は、2年連続2着という実績からコース適性は十分にあると考えており、当日は多少時計の早いババ(良馬場)の方が力を出せると見ています。川田騎手は「その(2年連続2着の)一番上に手が届くように」と意気込みを語っています。
ダブルハートボンド (Double Heart Bond)
宮古ステークスをレコード勝ちで制し、G1初挑戦となる牝馬です。
状態と強み
大久保龍志調教師は、宮古ステークスの勝利は軽いババが合っていた側面もあると認めつつ、前走のパフォーマンスから「牡馬と一緒に戦っても全く遜色がない」と感じています。この馬の強みは「ダート馬っぽくないスピード」と「走る気持ち」の強さです。また、最近は「自分の体の使い方を分かってきた」ことで、以前ほど弱い部分をケアしなくても動けるようになったという成長が見られます。
レース戦略とコース適性
坂井瑠星騎手は、牝馬でG1に挑む立場をチャレンジャーとしつつも期待感を持っており、中央の1800mでは「後ろから外回す競馬だと厳しい」ため、ロスなく走れるよう枠順やババ状態次第でポジションを決めたい考えです。調教師は、左回りの方が足の姿勢から合っているとし、「あんまりちょっと過ぎない枠が理想」と内寄りの枠を望んでいます。
ナルカミ (Narukami)
ジャパンダートクラシックを勝利し、現在4連勝中の3歳馬です。
状態と強み
田中博康調教師は、この馬の課題はメンタル面であるとしつつ、成長によって「ボリュームが出てきて少しダート馬らしい体つきになってきた」と述べています。戸崎圭太騎手は、2走目以降から馬がガラリと変わり、パワーアップし頼りなさがなくなったと感じています。ナルカミは「フットワークの良さ、鋭さ、力」を兼ね備えており、特に「飛びがとにかく大きくて心肺機能が高い」という高いポテンシャルを持っています。
レース戦略とコース適性
戸崎騎手は、この馬が過去に唯一敗れた舞台(中央1800m)について、「2戦目負けた時とはまた違ったナルカミになっている」として不安はないとしています。ただし、この馬はもまれたことがないため、ゲートの並びでどうなるか、できるだけハナを主張したい意向があります。田中調教師は、メンタルの課題があるため、ストレスをかけずに「この子のリズムのよく走れるところ」がどこになるかを重視しており、ハナにこだわる必要はないとも語っています。
メイショウハリオ (Meisho Hario)
8歳となったベテランですが、陣営は衰えを感じていません。
状態と強み
岡田稲男調教師は、メイショウハリオが8歳になっても「闘志」が凄まじく、「競馬に向けていい状態に戻っていく」と、ひとたびレースへ向かうと状態がグッと上がってくる特性を強調しています。初コンビとなる武豊騎手も、調教で初めて騎乗しましたが、聞いていたよりも反応が良かったと好感触を得ています。
レース戦略とコース適性
以前は左回りを苦手とする面もあったようですが、最近はそれを克服しています。岡田調教師の理想のレース運びは、中央の外で中断につけ、ためて、しまいの足を発揮するというものです。武豊騎手は、負傷した浜中騎手の思いを胸に臨むとし、「こういう有力馬に乗せてもらうことになって、きっちりとレースを作って勝ちたい」と意気込みを述べています。
シックスペンス (Sixpence)
芝からの転向初戦だった南部杯で2着に入り、ダート適性を示しました。
国枝栄調教師は、この馬が芝で雰囲気がないと感じたためダートへの適性を探ったところ、南部杯で好走した経緯があります。母がアメリカのダートG1馬という血統背景も持っています。
状態とコース適性
調教師は「体は締まって身が詰まっている感じ」で状態は良いと述べています。コース適性に関しては、左回りも経験しており、乗り難しい馬ではないため、中央のダート1800mは「全く問題ない」と考えています。国枝調教師にとっては初のJRAダートG1挑戦であり、「いい結果を取りたい」と力を込めています。
テンカジョウ (Tenkajo)
牝馬として強い牡馬に挑むテンカジョウの最大の課題は、ゲートです。岡田稲男調教師は、ゲートさえ「5分、4分で出てくれたら」力を発揮できる可能性があると期待を寄せています。
総括:各馬の戦略とレースの鍵
今年のチャンピオンズカップは、実績馬ウィルソンテソーロ、ベテランのメイショウハリオ、牡馬相手に遜色ないダブルハートボンド、そして急成長を遂げたナルカミといった多士済々のメンバーが集結しました。 各陣営とも、中央ダート1800mの特性を考慮し、いかに自分のリズムで走らせ、最後の末脚を活かすかという点を最大のテーマとしています。 どの馬も万全の状態で本番に臨む中、ゲートや並びといった細かい展開要素が、勝敗を左右する重要なカギとなりそうです。
(これは、多くの専門的なパーツ(エンジン、シャシー、タイヤなど)が最高の状態に調整されたF1カーが、特定のサーキットの特性(カーブの多さ、路面の状況)に合わせて、スタートやピット戦略を練って勝負に挑む様子に似ています。馬の能力、騎手の技術、そして展開という要素が絡み合い、最高のパフォーマンスを目指します。)