記事概要
2025年12月27日に開催される障害競走の最高峰「第148回中山大障害（J・G1）」の展望記事。 本稿は「追い切り評価」を主軸に、有力馬のエコロデュエル、ジューンベロシティ、ネビーイームらの直近調教データ、血統背景、関係者コメントを分析し、レース当日のパフォーマンスを予測します。
要点のまとめ
エコロデュエル
- 追い切り評価【S】で最高潮の仕上がり。
- キタサンブラック産駒のスタミナを武器に連覇を狙う。
ジューンベロシティ
- 週末の猛時計で調整万全。
- 課題の中山コース克服が鍵。
ネビーイーム
- 坂路で入念な乗り込み。
- 消耗戦になれば台頭必至。
その他注目馬
フェーレンベルク、ピーターサイトなどの伏兵も注目されます。
コース特性と求められる適性
中山芝4100m
JRAで最も過酷な条件の一つ。
- 障害: 高さ1.6m、幅2m超の「大竹柵」と「大生垣（赤レンガ）」を飛越。 絶対的な勇気、技術、集中力が必要。
- コース形状: 「バンケット」と呼ばれる谷状の起伏が複数あり、体力を削ぐ。
- 求められる能力: 平地力やスピードだけでなく、血統的な底力（スタミナ）、 長丁場を走り抜く精神的タフネスが不可欠。
「追い切り評価」の重要性
4100mを走り切る心肺機能、巨大障害に向かう闘争心の充実度を判断する上で、 最終追い切りの動きは極めて重要です。🐎💨
有力馬徹底分析
エコロデュエル (牡6歳)
美浦・岩戸孝樹厩舎血統背景
- 父：キタサンブラック（スタミナ、成長力、持続力）
- 母：クラリネット（母の父：Giant’s Causeway – 折れない心、パワー）
- クロス分析：Lyphardの5×5（長距離戦での持久力向上に寄与）
中間の調整過程と追い切り評価
- 1週前追い切り (12月17日・水): 美浦ウッドチップ(W) 良馬場。6F 81.5秒、ラスト1F 12.1秒。僚馬を強めに追って同入。破格のスピードで心肺機能の高さを示す。
- 週末の調整 (12月21日・日): 美浦ウッドチップ(W) 重馬場。5F 85.0秒、ラスト1F 12.2秒。重馬場でも負荷を掛けられ、体調の良さを示す。
- 最終追い切り (12月24日・水): 美浦ウッドチップ(W) 良馬場。6F 83.4秒、ラスト1F 12.1秒。騎乗者：草野太郎騎手。僚馬を追走し、直線でスムーズに並びかけ、手応え優勢のまま併入。「馬なり余力」ながら鋭い切れ味。
評価: 【S】
関係者コメントからの洞察
- 岩戸調教師コメント：「見た目も感触も良く、状態は申し分ない。言い訳できないね。」
- 草野太郎騎手コメント：「スタミナは絶対に負けません。」
陣営は「スタミナ勝負」に絶対の自信を持ち、精神的な成長によるレース運用の幅広さも示唆。
ジューンベロシティ (牡7歳)
栗東・武英智厩舎血統背景
- 父：ロードカナロア（スピードの持続力）
- 母：アドマイヤサブリナ（母の父：シンボリクリスエス – 中山巧者、スタミナ、パワー）
中間の調整過程と追い切り評価
- 1週前追い切り (12月17日・水): 栗東CW 良馬場。6F 87.7秒、ラスト1F 12.0秒。前走からの好調子をキープ。
- 週末の調整 (12月20日・土): 栗東CW 稍重。7F 98.7秒、ラスト1F 11.6秒。事実上の「本追い切り」。心肺機能がマックスまで高められた。
- 最終追い切り (12月24日・水): 栗東CW 重馬場。6F 86.3秒、ラスト1F 12.6秒。騎乗者：高田潤騎手。単走で馬なり。重馬場を苦にせず軽快なフットワーク。
評価: 【A】
関係者コメントからの洞察
- 高田騎手コメント：「先週にしっかりやっているので、今週は余裕残し。仕上がりに関しては申し分ない。」
鞍上は中山コースへの苦手意識克服のため、作戦を練っていることを示唆。能力は随一。
ネビーイーム (牡7歳)
栗東・佐々木晶三厩舎血統背景
- 父：キズナ（瞬発力、パワー）
- 母：ヴェルヴェットクイーン（母の父：Singspiel – 欧州の重厚なスタミナ）
- 異名：「スタミナお化け」
中間の調整過程と追い切り評価
- 1週前追い切り (12月18日・木): 栗東坂路 良馬場。4F 53.6秒、ラスト1F 12.4秒。一杯に追われ、最後まで脚を使えており体調の良さを示す。
- 最終追い切り (12月24日・水): 栗東坂路 重馬場。4F 53.6秒、ラスト1F 13.0秒。騎乗者：小牧加矢太騎手。稍一杯に追われ、集中して登坂。豊富な運動量でスタミナの底上げ。
評価: 【A】
関係者コメントからの洞察
- 佐々木調教師コメント：「距離は長ければ長い方がいい。」
消耗戦への自信と意図が明確。
その他注目馬の動向と血統分析
フェーレンベルク (5歳馬)
- 母の父マツリダゴッホで中山適性が高いと推測。
- 最終追い切りでメンバー中トップクラスの切れ味（ラスト1F 11.5秒）を披露。
- 底知れぬポテンシャル。
ピーターサイト (逃げ馬候補)
- 母父ブライアンズタイムでスタミナ血統、障害適性も高い。
- 長めから追われスタミナ強化を図る。
- 気配良好。
プラチナドリーム (実戦派)
- 父ホッコータルマエ、母父シンボリクリスエスでパワーとスタミナ十分。
- 最終追い切りは遅れたが、「実戦タイプ」であり時計だけで評価を下げるのは危険。
タマモエース
- 母父サウスヴィグラスで4100mのスタミナ戦には不安が残る血統。
- 父ワールドエースのスピードを活かせるかが鍵。
総合調教データ比較表
| 馬名 | 実施日 | コース | 馬場 | タイム (6F-5F-4F-3F-1F) | 脚色 | 併せ馬状況 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| エコロデュエル | 12/24 | 美W | 良 | 83.4-67.5-52.7-38.4-12.1 | 馬なり | 同入 | S |
| (1週前) | 12/17 | 美W | 良 | 81.5-66.0-51.4-37.7-12.1 | 強め | 同入 | – |
| ジューンベロシティ | 12/24 | 栗CW | 重 | 86.3-71.2-56.1-40.3-12.6 | 馬なり | 単走 | A |
| (週末) | 12/20 | 栗CW | 稍 | 82.1-67.1-52.3-37.7-11.6 | 一杯 | – | – |
| ネビーイーム | 12/24 | 栗坂 | 重 | 53.6-39.5-25.7-13.0 (4F) | 稍一杯 | 単走 | A |
| (1週前) | 12/18 | 栗坂 | 良 | 53.6-38.8-25.0-12.4 (4F) | 一杯 | – | – |
| フェーレンベルク | 12/24 | 美W | 良 | 83.8-67.6-52.7-38.1-11.5 | 強め | 単走 | A |
| ピーターサイト | 12/24 | 美W | 良 | 99.6-83.1-69.1-54.5-12.0 | 強め | 単走 | B+ |
| タンジェントアーク | 12/24 | 美W | 良 | 66.5-51.4-37.1-11.6 (5F) | 馬なり | 0.2秒遅れ | B |
結論
王者エコロデュエルの盤石さと、逆転候補の条件
展開シミュレーション
ピーターサイトがハナを切り、淀みのないペース。ジューンベロシティが好位、エコロデュエルは中団。 ネビーイームは後方から。勝負は2周目向こう正面から3コーナーでスタミナのない馬が脱落し、 真の実力馬が最終障害へ。
最終評価
- 最有力候補: エコロデュエル
春のレコード勝ちに血統的裏付けがあり、中間調整での上積みも明確。死角は少ない。 - 逆転候補:
- ネビーイーム: 消耗戦になれば強襲の可能性。
- ジューンベロシティ: 能力は随一だが、中山4100mへの適性が課題。騎手の秘策次第。
- フェーレンベルク: ラストの切れ味を活かせば上位食い込みも。ダークホースとして魅力的。
本レポートは追い切りと血統に基づいた客観的評価。最終的な予想印や買い目については、 別途公開される詳細情報を参照してください。
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