記事の要点
- 馬場傾向: 「前・内有利」が濃厚だが、先行争いの激化による「前崩れ」の展開にも注意が必要。
- 血統傾向: 福島芝2000mで好成績のハーツクライ、オルフェーヴル(ステイゴールド系)に注目。
- ◎評価馬: ニシノティアモは、追い切りでレース最速の上がりタイムを記録し、仕上がりは万全。
- 注目馬: 前走大敗のクリスマスパレードは明確な敗因があり、追い切り内容から一変の可能性を秘める。
2025年 福島記念 予想のポイント
コースと馬場傾向の分析
- 馬場状態 (2025年11月15日時点):
- クッション値: 9.1 (標準)
- 含水率: ゴール前 12.3%、4コーナー 13.1%
- 芝コースの状態: 「おおむね良好」だが、「3~4角にかけて内柵沿いに傷みが出始めた」。
- 馬場バイアス: 「前・内有利」の傾向が継続。
- 枠順傾向: 福島芝2000mでは、2枠 (勝率5.5%)、4枠 (勝率8.3%) が好成績。
- 展開の考慮:
- 「前・内有利」の馬場傾向は各陣営が認識しており、有利なポジション確保の意識が強まる。
- バビットのような逃げ・先行馬が含まれるため、先行争いが激化し「前崩れ」の展開になる可能性も否定できない。
- 当日のレース分析では、「前・内有利」を基本としつつも、ペースの引き上げによる差し・追込馬への利を考慮する必要がある。
血統的傾向
- 福島芝2000mでの好成績血統:
- ハーツクライ: 勝率 5.6%
- オルフェーヴル: 勝率 11.4%
- ハービンジャー: 勝率 6.2%
- 有力馬との合致:
- ハーツクライ産駒(母系):
- アラタ (○): 母サンシャインがハーツクライ産駒。
- イングランドアイズ (▲): 母ヌーヴォレコルトがハーツクライ産駒。
- オルフェーヴル系統:
- クリノメイ: オルフェーヴルの直仔。
- ステイゴールド系:
- コガネノソラ: 父ゴールドシップ(ステイゴールド系)であり、タフなコースへの適性が見込まれる。
- ハーツクライ産駒(母系):
有力馬 徹底分析:一週前追い切りと前走評価 (計10頭)
| 馬名 | 松永篤 印 | 日付 | コース | 6F/5F時計 | 終い1F | 追い切り短評 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ニシノティアモ | ◎ | 11/12(水) | 美W | 81.5 / 66.0 | 11.2 | 追走遅れ不安なし |
| アラタ | ○ | 11/12(水) | 美W | 80.6 / 65.3 | 12.2 | 意欲的な攻め内容 |
| イングランドアイズ | ▲ | 11/12(水) | 栗CW | 78.5 / 64.1 | 11.4 | 順調に乗る |
| エコロヴァルツ | △ | 11/13(木) | 栗坂 | 59.4 (4F) | 14.4 | 余裕ある動き |
| オニャンコポン | △ | 11/12(水) | 美W | 81.9 / 67.0 | 12.0 | 追走先着に好感 |
| コガネノソラ | △ | 11/12(水) | 美W | 81.5 / 65.8 | 11.6 | 躍動感出る |
| パレハ | △ | 11/12(水) | 栗CW | 85.1 / 69.4 | 12.0 | 順調に乗る |
| ミッキーゴージャス | △ | 11/13(木) | 栗坂 | 53.0 (4F) | 12.6 | 動きキビキビ |
| リカンカブール | △ | 11/12(水) | 栗CW | 97.5 / 81.2 | 11.7 | 余裕ある手応え |
| タイムトゥヘヴン | 注 | 11/12(水) | 美W | 79.4 / 64.1 | 11.8 | 年齢感じさせず |
| クリスマスパレード | – | 11/13(木) | 美W | 81.3 / 65.2 | 11.7 | この一追いで良化 |
ニシノティアモ (松永篤 ◎)
- 一週前追い切り: 11月12日、美浦ウッド(良)。津村明秀騎手騎乗。81.5-66.0-52.0-37.4-11.2。ライヒスアドラー(二歳1勝)を内から1.1秒追走し、強めに追われて0.4秒遅れ。短評は「追走遅れ不安なし」。
- 前走評価: 2025年10月19日 甲斐路S(3勝クラス) 1着。津村騎手は「成長を感じていた」「この勝ちっぷり」と高く評価。レース分析では「直線で鋭く反応…一気に抜け出し快勝。昇級緒戦だったが、力が一枚上だった」。
- 分析的考察: 「上がり馬」の勢い。併せ馬での遅れは、強めに負荷をかける意図があったと推測され、11.2秒という最速の上がりタイムは充実した状態を証明。◎評価は妥当。
アラタ (松永篤 ○)
- 一週前追い切り: 11月12日、美浦ウッド(良)。助手が騎乗。80.6-65.3-51.4-37.8-12.2。[7]の位置で「一杯に追う」。短評は「意欲的な攻め内容」。
- 前走評価: 2025年8月17日 札幌記念(G2) 3着。8歳ながらG2で健在ぶりを示す。浜中騎手は「状態はいいと感じた」「馬場の適性もあると思って一発を狙っていた」。レース分析では「直線では勝ち馬のあとを追うようにグイグイ伸びて3着争いに競り勝つ…道悪を苦にしないからこそ」。
- 分析的考察: 8歳でもG2で3着はフロックではない。陣営の勝負気配を示す「意欲的な攻め内容」と時計。母父ハーツクライも血統傾向と合致。高いコンディションを維持。
(外)イングランドアイズ (松永篤 ▲)
- 一週前追い切り: 11月12日、栗東CW(良)。岡田祥騎手騎乗。78.5-64.1-50.5-36.6-11.4。ダノンデサイル(古オープン)を内から0.6秒追走し同入。「末強め」に追われ。短評は「順調に乗る」。
- 前走評価: 2025年9月13日 チャレンジC(G3) 5着。松若騎手は「斤量が重くなったことで反応が鈍かった」「4角で待った分」。レース分析は「4角で反応の鈍さがあり」としつつも、「坂から…盛り返していた。54キロのハンデでも崩れずに走っている」。
- 分析的考察: 前走の敗因は斤量や展開による一過性のものと判断。今回の追い切りは、6ハロン78.5秒、終い11.4秒と優秀で、オープン馬相手の同入は前走の「鈍さ」とは無縁のシャープな動きを証明。母父ハーツクライも魅力。
クリスマスパレード (松永篤 -)
- 一週前追い切り: 11月13日、美浦ウッド(良)。助手が騎乗。81.3-65.2-50.1-36.1-11.7。「一杯に追う」。スペイドアン(古馬3勝)を内から0.7秒追走し0.4秒先着。短評は「この一追いで良化」。外部分析でも「A評価」で「動きがだいぶ良くなってきてるんで今回は楽しみがある」。
- 前走評価: 2025年8月3日 クイーンS(G3) 9着。敗因はゲート内でのアクシデント、57kgの斤量、レースになっていなかったこと。横山武騎手は「ゲート内でずっとくしゃみをしていて…やりようがなかった」。レース分析も「外枠でボコンと出遅れてしまったのが痛恨…勝負どころでフワフワしていて反応が悪く」。
- 分析的考察: 前走の敗戦は完全に度外視可能。今回の追い切りは3勝クラス馬を相手に0.4秒先着と内容が格段に向上。「この一追いで良化」という短評と外部の「A評価」は、コンディション上昇カーブを示唆。巻き返しは必至。
エコロヴァルツ (松永篤 △)
- 一週前追い切り: 11月13日、栗東坂路(良)。助手が騎乗。59.4-43.9-29.0-14.4。「馬なり余力」。短評は「余裕ある動き」。
- 前走評価: 2025年11月2日 天皇賞(秋)(G1) 11着。三浦皇騎手は「ペースが落ち着いてしまったので…切れ味勝負になって分が悪かった」。
- 分析的考察: G1からのクラスダウン組。天皇賞(秋)での敗戦はG3では物差しにならない。G1後の調整として合理的な坂路追い切りで「馬なり余力」「余裕ある動き」は、疲労なくコンディション維持に主眼が置かれていることを示す。格上の存在として軽視できない。
オニャンコポン (松永篤 △)
- 一週前追い切り: 11月12日、美浦ウッド(良)。菅原明騎手騎乗。81.9-67.0-53.0-39.0-12.0。「馬なり余力」。トクシーカイザー(古馬3勝)を内から1.3秒追走し0.1秒先着。短評は「追走先着に好感」。
- 前走評価: 2025年9月13日 チャレンジC(G3) 6着。菅原騎手は「折り合って気分良く運べていました…外枠の分、最後止まってしまいました」。近走は「首を振っていて落ち着きがなく」、内容も伴っていない。
- 分析的考察: 近走のフォームは不安定だが、コース適性が高い。昨年の福島記念5着、福島民報杯4着の実績がある。「福島への適性は間違いなく高い」と結論付けられている。近走不振を覆すコース適性があり、追い切りもポジティブな内容。
コガネノソラ (松永篤 △)
- 一週前追い切り: 11月12日、美浦ウッド(良)。丹内祐騎手騎乗。81.5-65.8-51.3-36.7-11.6。「馬なり余力」。ダノンザボルケーノ(古オープン)を内から0.9秒追走し0.3秒先着。短評は「躍動感出る」。
- 前走評価: 2025年1月25日 小倉牝馬S(G3) 3着。横山武騎手は「コーナリングでエンジンがかからず、スイッチも入りませんでした」とズブさを指摘しつつも、「最後はいい脚を使ってくれました」。
- 分析的考察: 前走の敗因は「コーナリングでの反応の悪さ」。今回の追い切り「躍動感出る」は、その課題克服の可能性を示唆。馬なりでオープン馬を先着し、終い11.6秒の好時計は最高のコンディション。オルフェーヴル(ステイゴールド)系でコース適性も見込める。
ミッキーゴージャス (松永篤 △)
- 一週前追い切り: 11月13日、栗東坂路(良)。助手が騎乗。53.0-38.7-25.2-12.6。「馬なり余力」。短評は「動きキビキビ」。
- 前走評価: 2025年9月28日 ポートアイランドS(L) 3着。浜中騎手は「長く休んでいた馬で、57キロの斤量を背負うなか、よく走ってくれている」。レース分析は「長欠明けで地力の高さを示す3着」とした一方、「ラスト100メートルは上位と決め手の差が出た」。
- 分析的考察: 「叩き2走目」の上積みが見込める。前走は長欠明けで57kgを背負い3着。終いの甘さは実戦感覚不足。今回の追い切り「動きキビキビ」は、一度使われた上積みを示唆。終いの鋭さが加われば勝ち負け期待。
リカンカブール (松永篤 △)
- 一週前追い切り: 11月12日、栗東CW(良)。北村友騎手騎乗。7ハロンから追われ、97.5-81.2-67.0-53.2-38.6-11.7。「馬なり余力」。アレーティア(古馬1勝)を内から1.2秒追走し同入。短評は「余裕ある手応え」。
- 前走評価: 2025年9月21日 オールカマー(G2) 6着。吉田隼騎手は「ペースが落ち着いたところで動かれてしまい、イメージよりも少しポジションが下がってしまいました」。
- 分析的考察: 高いフィジカル能力とメンタルの脆さ。追い切りはG2級の能力を示唆。しかし、昨年の福島記念15着では「力んだのが敗因」、前走オールカマーでも他馬に「動かれてしまい…ポジションが下がってしまった」と、プレッシャーに弱い面が改善されていない。他馬からのプレッシャーに耐えられるかが焦点。
パレハ (松永篤 △)
- 一週前追い切り: 11月12日、栗東CW(良)。助手が騎乗。85.1-69.4-54.2-38.5-12.0。「馬なり余力」。短評は「順調に乗る」。
- 前走評価: 2025年8月3日 クイーンS(G3) 5着。鮫島駿騎手は「インでロスなく…勝ち馬についていって力を出してくれました」。レース分析は「最内枠から道中はロスなく追走…立ち回りのうまさを生かせた」。
- 分析的考察: 「堅実さ」が持ち味。前走G3・5着は力負けではない。追い切りも派手さはないが堅実にまとめ、「順調に乗る」通り前走時のコンディションを維持。福島「前・内有利」の馬場傾向で「立ち回りのうまさ」が生きる可能性が高い。
総括:一週前追い切り 注目馬ピックアップ
上がりタイム(終い1F)優秀馬
- ニシノティアモ (◎): 11.2秒 – 併せ馬で遅れながらもレース最速。高い負荷への反応は抜群。
- (外)イングランドアイズ (▲): 11.4秒 – 前走の「反応の鈍さ」を払拭する鋭い動き。オープン馬相手の同入も価値が高い。
- コガネノソラ (△): 11.6秒 – 「馬なり余力」でオープン馬を先着。「躍動感」の短評通り、前走課題を克服した動き。
調教内容(短評)優秀馬
- アラタ (○): 「意欲的な攻め内容」 – 8歳馬への「意欲的」な評価は勝負気配の表れ。G2・3着のデキを維持。
- クリスマスパレード: 「この一追いで良化」 – 前走の明確な敗因を持ち、追い切りで「良化」。外部「A評価」含め、上昇度は随一の可能性。
- ミッキーゴージャス (△): 「動きキビキビ」 – 「長欠明け」を一度使われた上積みが「キビキビ」という短評に表れている。順当な良化カーブ。
結論
ニシノティアモ、アラタ、イングランドアイズは、一週前追い切りの客観的データからも高いレベルで仕上がっている。一方で、クリスマスパレードの「良化」とコガネノソラの「躍動感」は、前走を大きく上回るパフォーマンスを示唆しており、上位評価馬を脅かす存在として最大限の警戒が必要である。