川崎競馬「猪突猛進賞」レース予想

2025年11月19日開催 (B2B3選定馬・距離900m)

概要

本記事は、2025年11月19日に川崎競馬場で開催される「猪突猛進賞」（B2B3選定馬・距離900m）のレース予想を提供するものです。特殊な川崎900mコースの特性分析、出走馬12頭の血統、調教、実績の多角的評価、そしてデータ分析と展開シミュレーションに基づき、最終的な予想印と買い目を提示します。

1. 川崎900mコースの競技特性と環境分析

川崎900mコースの構造的特異性

川崎競馬場の900m戦は、日本のダート競馬において最も特殊なコース設定の一つです。向正面ポケットからスタートし、約400mの直線を経て、急角度の「きついスパイラルカーブ」へと続きます。このコース特性は以下の要素に大きく影響します。

• 遠心力と枠順のバイアス: 急カーブでは外枠の馬が距離ロスを強いられやすく、統計的に内枠の逃げ・先行馬が圧倒的に有利です。外枠からの勝利には、それを凌駕するスタートダッシュが不可欠です。
• 無酸素運動の持続: 息を入れる区間がなく、スタートからゴールまでトップスピードの維持が求められ、心肺機能と筋持久力の限界が試されます。
• スタートの絶対性: 出遅れは致命的であり、ゲート離れの良さと二の脚の速さが他の距離以上に重要視されます。

B2B3混合戦のクラス構造

「猪突猛進賞」はB2B3クラスの混合戦であり、昇級馬、降級馬、同クラスの常連馬が混在します。特に、成長著しい3歳馬と歴戦の古馬との能力比較が焦点となります。斤量の恩恵や成長度合いが、実績上位の古馬を逆転する要因となり得るかが注目されます。

2. 全出走馬詳細分析：血統・調教・実績の統合評価

第1枠1番 モーモーブラック（牝7・村田順厩舎）

• 血統: 父カレンブラックヒル、母イッツアバウトシルヴァー。ダート短距離適性は高い。
• 近走: 4走前に同コースで逃げ切り勝ちの実績があるが、B3クラス昇級後は苦戦。クラスの壁が課題。
• 調教・状態: 状態維持に努めているが、大きな上積みは期待しにくい。
• 陣営コメント: 「揉まれないのが条件。枠順と同型との兼ね合いが鍵」と、最内枠での包まれる展開を懸念。

第2枠2番 ルールメイプル（牝5・山崎裕厩舎）

• 血統: 父エスポワールシチー、母ダノンスズラン。生粋のダート血統。
• 近走: 2走前の浦和800mで3着、前走同クラスでも僅差。短距離適性を示し、通用する力あり。
• 調教・状態: 一杯に追われ、負荷をかけられたことで状態の上昇が見込める。
• 陣営コメント: 「中団で終いの脚を生かす競馬をしたい」と、先行争いが激化した場合のインからの差し込みを狙う。

第3枠3番 テイクノート（牡4・佐々木仁厩舎）

• 血統: 父モーニン、母父メイショウボーラー。フェブラリーS勝ち馬を両親に持つ、ダート短距離特化型血統。
• 近走: 勝ちきれないレースが続くが、掲示板を外さない安定感。
• 調教・状態: 軽めの調整でコンディションは安定しているが、大きな変わり身は期待しにくい。
• 陣営コメント: 「地元に戻った分で変わってほしい」と、コース替わりでの前進に期待。

第4枠4番 ラヴォミ（牝3・林隆之厩舎）

• 血統: 父フリオーソ、母父カネヒキリ。地方競馬の雄同士の配合で、パワーと持続力に優れる。
• 近走: 現在の充実度はメンバー随一。前走は54.1秒という非常に優秀なタイムで圧勝。好位から抜け出すレース運びは信頼性が高い。
• 調教・状態: 馬なりで余裕のある動きを見せ、状態は高いレベルで安定。
• 陣営コメント: 「最近では一番いい仕上がり。連勝を期待したい」と、非常に強気な姿勢。
• 騎手相性: 岡村健騎手とのコンビは連対率100%。

第5枠5番 バッファローライズ（牡4・平田厩舎）

• 血統: 父マインドユアビスケッツ、母父サウスヴィグラス。スプリント血統。
• 近走: 5月には同コースで逃げ切り勝ち。前走は敗れたが、約3ヶ月の休養明け。
• 調教・状態: ラスト3ハロン36.2秒という破格の時計を記録。休養で立て直しに成功した可能性が高い。
• 陣営コメント: 「リフレッシュしていい状態で帰ってきた」と、前走の敗因は夏負けだったと示唆。

第5枠6番 エターナルセイバー（牝4・八木仁厩舎）

• 血統: 父ニシケンモノノフ、母父ファスリエフ。スピードの持続力に優れた配合。
• 近走: 前走の浦和800mで鋭い末脚で3着。展開が向けば浮上する力を持つ。
• 調教・状態: 順調に調整されており、変わりない状態。
• 陣営コメント: 「地元に戻るし展開ひとつ」と、展開が向くことを期待。

第6枠7番 クリスタライズ（牡4・高月賢厩舎）

• 血統: 父ミッキーアイル、母父キングカメハメハ。スピードと堅実さを兼ね備える。
• 近走: 2走前に同コースを54.6秒で勝利。能力は高い。今回は転厩初戦。
• 調教・状態: まずまずの仕上がりと評価。
• 陣営コメント: 「相性もいいコースだが、B2になったのが思っている以上に響きそう」と、昇級の壁を懸念。

第6枠8番 ディーズメイト（牝5・高月賢厩舎）

• 血統: 父コパノリッキー、母父Forest Wildcat。ダートG1級11勝のレジェンドを父に持つ。
• 近走: 長期休養明けの移籍初戦。川崎コースへの適性は示しているが、実戦から遠ざかっている点が懸念。
• 調教・状態: 乗り込まれており、好気配を保っている。
• 陣営コメント: 「船橋時代の走りからするとB級に上がってどうか」と、クラス慣れが必要との見解。

第7枠9番 トニープリンス（牡5・田邊厩舎）

• 血統: 父ネロ。短距離のスピード勝負に強い血統。
• 近走: 2走前の勝ち時計54.2秒は、ラヴォミの最速タイムに迫る好記録。
• 調教・状態: 時計は優秀だが、鼻出血による休養明けで、馬体重が重い可能性が懸念される。
• 陣営コメント: 「馬体が絞れていれば理想だが」と、状態面に不安を残すコメント。

第7枠10番 ピンクタオルチャン（牝3・山田質厩舎）

• 血統: 父トビーズコーナー、母父クロフネ。パワーとスピードを兼ね備えた配合。
• 近走: 2走前にラヴォミの2着に好走し、0.3秒差の接戦を演じている。能力は確か。
• 調教・状態: 攻めでは動くタイプで、状態は維持できている。
• 陣営コメント: 「短距離向きのスピードもあるので、ここも楽しみ」と距離短縮を歓迎。

第8枠11番 アカザ（牝6・山田質厩舎）

• 血統: 父ミッキーアイル、母父ブライアンズタイム。スピードと底力を兼ね備え、逃げ・先行力に定評。
• 近走: 大きく崩れてはいないが、勝ちきるにはもうワンパンチ足りない印象。
• 調教・状態: スタートダッシュの鋭さを見せる調教内容で、状態は順調。
• 陣営コメント: 「中間も順調にきている」と状態の良さをアピール。

第8枠12番 シゲルマッハ（牡5・鈴木義厩舎）

• 血統: 父シゲルカガ（パイロ産駒）、母父クロフネ。ダート短距離に特化した血統構成。
• 近走: 徐々に着順を上げており、前走は初の900m戦で大外枠から4着と健闘。
• 調教・状態: 大外を回って好時計をマークしており、絶好の動きを見せている。
• 陣営コメント: 「位置取り次第でチャンスはある」と、コース2戦目での前進に期待。

3. データ分析と展開シミュレーション

タイム比較：絶対能力の序列

近走の川崎900mにおける持ち時計を比較すると、ラヴォミ（54.1秒）とトニープリンス（54.2秒）が54秒台前半で抜けており、これにピンクタオルチャン（54.4秒）が続きます。54秒台前半の時計がなければ勝ち負けは難しいと判断されます。

調教タイム分析：現時点での瞬発力

直近の調教におけるラスト3ハロンの時計からは、各馬の状態が読み取れます。

展開シミュレーション：ハナを奪うのは誰か？

激しい先行争いが予想されます。内枠のモーモーブラックがハナを主張しますが、外からアカザやバッファローライズも加わる可能性があります。本命のラヴォミは先行集団を見る3〜4番手の好位を確保し、これまでの勝ちパターンに持ち込むでしょう。ハイペースで先行勢が苦しくなる4コーナーで進出し、直線で抜け出す展開が最も有力です。後方からはシゲルマッハやエターナルセイバーが追い込んできますが、前の粘り込み次第となりそうです。

4. 総合評価と予想の結論

現在の川崎900mにおいては、「現行の調子」と「スピードの絶対値」が勝敗を分ける最大の要因です。その点において、3歳馬ラヴォミの勢いと完成度は、古馬勢を凌駕していると判断します。

予想印

◎

本命：4 ラヴォミ

• 能力、状態、騎手相性ともに最上位。軸として信頼。
• 前走の勝ち時計54.1秒はメンバー中最速で能力証明済み。陣営コメントは強気で、鞍上との相性も抜群。3歳馬の成長力と斤量の恩恵を考慮すると、死角は少ない。

○

対抗：5 バッファローライズ

• 調教の動きが抜群。スピード能力で本命を脅かす存在。
• 調教でのラスト3F 36.2秒が示す通り、夏負けから完全に立ち直った。血統的にもスプリント能力は高く、ラヴォミを脅かす一番手。

▲

単穴：10 ピンクタオルチャン

• 本命に肉薄した実績あり。自在性も魅力。
• ラヴォミに0.3秒差まで迫った実績と、前走でスタミナも証明。展開がもつれた際に、自在性を活かして浮上する可能性。

△

連下：12 シゲルマッハ

• 調教の動きが良く、コース2度目の慣れに期待。
• 大外を回って好時計をマークしており、絶好の動き。コース2戦目の慣れに期待。

△

連下：9 トニープリンス

• 能力は高いが、状態面に不安あり。当日の気配次第。
• 2走前の勝ち時計54.2秒は優秀だが、鼻出血による休養明けで馬体重増の可能性が懸念される。当日の気配次第で評価が変わる。

注

注：6 エターナルセイバー

• 展開が向けば一発の可能性を秘める末脚が魅力。
• 前走の浦和800mで鋭い末脚を見せており、展開が向けば一発の可能性を秘める。

次のアクション

予想の最終結論と買い目については、以下のnetkeiba.comの公認プロ予想家プロフィールページを参照してください。netkeiba.com プロフィールを見る