開催概要と追い切り評価の重要性
第60回デイリー杯2歳ステークス(GII)は、2025年11月15日(土)に京都競馬場(芝・右 外回り 1600m、Bコース)で開催される2歳マイル路線の重要なレースです。キャリアの浅い2歳重賞では、馬券的中の鍵となるのが「追い切り(調教)」であり、各馬の成長度と現在のコンディションを客観的に判断する上で、調教時計と専門家による評価コメントが不可欠です。本記事は、公式データに基づき、出走予定馬全8頭の追い切り内容を徹底分析・評価します。
最重要評価:アドマイヤクワッズ(S評価)
- 評価: S評価、「追い切りピカイチ」に選定。状態は「↗」(上昇)。
- 調教内容:
- 1週前追い切り (11月5日 栗東CW 良馬場): 坂井瑠騎手騎乗。6F 97.0秒、終い11.2秒。強めに追われ、古馬1勝クラスのジュンライデンを内から1.1秒追走し0.6秒先着。「推進力ある走り」と評価。
- 最終追い切り (11月12日 栗東坂路 良馬場): 助手騎乗。4F 55.3秒、終い12.5秒。馬なり余力。「推進力ある走り」と評価。
- 分析: 1週前に主戦騎手が騎乗し、終い11.2秒という時計で古馬1勝クラスを圧倒。最終追い切りでは、1週前の強い負荷を受けて息を整えつつも、馬自身の「推進力」とバランスを確認する友道厩舎の王道パターン。一貫して「推進力ある走り」と評価され、状態が「↗」であることは、前走の新馬戦で見せた非凡な「決め手」がGIIの舞台でさらに研ぎ澄まされる可能性を示唆しています。前走の勝利も「まだ全力を出し切っていない状態」であったことが示唆されており、陣営は「ますます快調」「重賞でも結構やれそう」と見ています。
全8頭の最終追い切り評価サマリー
| 馬名 | 最終追い切り短評 | 状態 |
|---|---|---|
| アイガーリー | 太め感ないが | → |
| アドマイヤクワッズ | 推進力ある走り | ↗ |
| エイシンディード | 実戦で変わる馬 | → |
| カヴァレリッツォ | 動き軽快 | → |
| ガリレア | 実戦並み併走で良 | → |
| キャンディード | 久々も好気配 | ↗ |
| グッドピース | 小気味いい走り | → |
| マイケルバローズ | 終いの伸び良 | → |
状態が「↗」(上昇)を示しているのは、アドマイヤクワッズとキャンディードの2頭のみであり、前走からの上積みが大きいと判断されています。
全頭分析:追い切り評価と前走分析
1. アイガーリー(騎手:武豊)
- 追い切り評価 (B): 状態「→」(横ばい)
- 最終追い (11/12 栗CW 良): 助手騎乗。半哩から54.3秒、終い11.5秒。テイエムパイロット(古馬1勝)を内から1.5秒追走し0.2秒遅れ。「一杯に追う」内容で遅れた点は評価が低い。
- 前走分析 (新馬戦 1着): 性格は素直だが、テンションが高め。仕掛けてハナを奪いマイペースで逃げ切り。重賞で楽な逃げが見込めない場合、前走以上のパフォーマンスは難しい。
2. アドマイヤクワッズ(騎手:坂井瑠)
- 追い切り評価 (S): 状態「↗」(上昇)
- 分析: 上記「最重要評価」セクション参照。万全の体制と判断。
3. (地)エイシンディード(騎手:高杉吏)
- 追い切り評価 (C+): 状態「→」(横ばい)
- 最終追い (11/12 栗CW 良): 助手騎乗。6F 83.8秒、終い11.6秒。チカミリオン(古馬2勝)を内1.2秒追走し0.5秒遅れ。「一杯に追う」内容で動きを評価できず。短評「実戦で変わる馬」は、追い切りで動かない馬の証明。
- 前走分析 (函館2歳S GIII 1着): GIII勝ちの実績は上位だが、前走はイレ込み、単騎で楽な逃げ、外に膨れながらの押し切り。1200mから1600mへの距離延長、調教での「動かなさ」は不安材料。
4. カヴァレリッツォ(騎手:Cデムー)
- 追い切り評価 (B+): 状態「→」(横ばい)
- 最終追い (11/12 栗坂 良): 助手騎乗。4F 56.8秒、終い13.6秒。馬なり余力。
- 1週前 (11/8 栗CW): 古馬1勝クラスに2.5秒追走し0.2秒先着。
- 11月5日 (栗坂): C.デムーロ騎手騎乗、「久々も好気配」。
- 分析: 順調に乗り込まれており、最終短評「動き軽快」は、新馬戦で見せた非凡な「決め手」が健在であることを示唆。
5. ガリレア(騎手:杉原誠)
- 追い切り評価 (B+): 状態「→」(横ばい)
- 最終追い (11/12 美P 良): 助手騎乗。5F 64.9秒、終い11.8秒。G前仕掛け。クラディスティーナ(二歳1勝)と併入。
- 分析: 1週前、最終とポリトラック(P)コースで実戦的な併走を重ね、短評「実戦並み併走で良」へと良化。前走GIII・2着時の課題(反応の遅れ)に対し、最終追い切りで意図的に「G前仕掛け」「実戦並み併走」を行い、瞬時に反応する訓練を施した。状態矢印「→」以上の意図を持った「良化」と評価。
6. キャンディード(騎手:北村友)
- 追い切り評価 (A+): 状態「↗」(上昇)
- 最終追い (11/12 栗坂 良): 中村将騎手。4F 55.1秒、終い12.1秒。馬なり余力。
- 1週前 (11/5 栗CW): 北村友騎手騎乗。6F 79.8秒、終い11.9秒。好時計で併走馬に0.5秒先着。
- 分析: アドマイヤクワッズと並び唯一の「↗」評価馬。万全の仕上がり。「久々も好気配」の通り。前走OP・1着の内容、騎手コメントから1600mへの距離延長はプラス。状態が明確に「↗」であることから、逆転候補筆頭。
7. (外)グッドピース(騎手:西村淳)
- 追い切り評価 (B): 状態「→」(横ばい)
- 最終追い (11/12 栗坂 良): 西村淳騎手騎乗。4F 56.7秒、終い12.6秒。2回 馬なり余力。
- 分析: 一貫して坂路で調整され、最終も騎手自らが感触を確かめ「小気味いい走り」との評価。時計は平凡だが、動きの質は維持。状態「→」の通り、前走の能力をそのまま発揮できる状態。
8. マイケルバローズ(騎手:岩田望)
- 追い切り評価 (A): 状態「→」(横ばい)
- 最終追い (11/12 栗坂 良): 岩田望騎手騎乗。4F 51.9秒、終い11.9秒。強めに追う。ガロンヌ(古オープン)を0.4秒追走同入。
- 分析: 時計だけ見れば今回No.1の猛時計をマーク。しかし、1週前の短評は「本調子には今一息」で、新馬相手に0.5秒遅れていた。最終追い切りで「強め」に追われ、オープン馬と併せる「荒療治」で「終いの伸び良」の状態まで「戻してきた」と解釈するのが妥当。状態は「→」だが、最終の動きの迫力はA評価に値する。
結論:追い切り評価に基づく最終見解
- S評価:アドマイヤクワッズ
- 「追い切りピカイチ」に選定、状態「↗」。万全の仕上げで最有力候補。
- A+評価:キャンディード
- アドマイヤクワッズと同じく状態「↗」。前走からの上積みと距離延長がプラス。逆転候補筆頭。
- A評価:マイケルバローズ
- 状態「→」ながら、最終追い切りで猛時計をマーク。急仕上げで立て直してきた点は評価できる。
- B+評価:ガリレア
- GIII・2着の実績馬。前走の課題克服に向けた意図的な調教内容に好感が持てる。
- B+評価:カヴァレリッツォ
- 新馬戦で見せた「いい決め手」が「動き軽快」に表れている。
本記事の追い切り評価はコンディションのバロメーターであり、最終的な予想は枠順、馬場状態、レース展開などを加味して決定されます。