2025年11月21日 / 2025年11月21日
2025年11月22日開催のシトリンステークスは、今後のダート重賞戦線を占う重要な一戦です。本記事では、舞台となる京都ダート1900mのコース特性やトラックバイアスを徹底分析。前走圧巻のムルソーや底知れぬミッキークレストなど、有力馬の調教、血統、適性を多角的にプロファイリングし、馬券検討の核心に迫る予想のポイントを解説します。
シトリンステークスを攻略する上で、舞台となる京都ダート1900mの構造的特徴と、現在進行形のトラックバイアスを理解することは不可欠な前提条件です。このコースは、一般的なダート1800m戦とは一線を画す独自の力学が支配しています。
京都ダート1900mは、スタンド前直線の入り口付近、1800mのスタート地点からさらに約100m後方に下がった地点から発走します。この「プラス100m」の余地が、レース展開に劇的な変化をもたらします。スタートから最初のコーナーまでの距離が十分に確保されるため、先行争いが激化しても隊列がスムーズに決まりやすく、外枠の馬が無理に脚を使ってポジションを取りに行く必要性が薄れます。統計データに基づくと、このコースにおける枠順の極端な有利不利は、他の距離設定と比較して緩和されている傾向にあります。理想的なのは、スムーズに好位を確保できる中枠から外目の偶数枠、あるいは先行力のある馬が内枠を引いたケースと言えるでしょう。
このコースにおける最大の戦略的ポイントは、「逃げ・先行馬の圧倒的優位性」にあります。京都競馬場のダートコースは、3コーナーから4コーナーにかけての下り坂を利用してスピードに乗ることができるため、前に行った馬が勢いを維持したまま直線に向くことが可能です。さらに、最後の直線が平坦であるため、バテた先行馬が止まらず、後方待機勢が物理的に届かないケースが頻発します。過去のデータを紐解くと、4コーナーを10番手以下で通過した馬が差し切って勝利した事例は極めて稀です。したがって、シトリンSの予想においても、直線入り口で好位(概ね5番手以内)を確保できる先行力を持つ馬を評価の中心に据えることが、的中への最短ルートとなります。
出走各馬の能力を、調教、血統、過去の実績から詳細に分析します。ここでは、特に注目度の高い馬を中心に、その強みと不安材料を客観的に評価します。
本レースで最も熱い視線を集めているのがムルソー(牡4、栗東・池江寿厩舎)です。前走の完勝劇はこのクラスにおける能力上位を如実に物語っており、ここでも中心視されるのは必然と言えるでしょう。
調教から読み解く充実度:中間はCWコースで猛時計をマークし、11月19日の栗東坂路での追い切りでは52.2秒の好タイムを馬なりで記録。併走馬を楽に突き放す「余力」は、現在の充実ぶりを象徴しています。担当者からも「皮膚が薄く光沢のいい馬体」とのコメントがあり、代謝機能がピークにあることが窺えます。
血統と適性:父レイデオロ、母父エンパイアメーカーという血統背景は、米国的なスピードとパワーを伝え、京都の高速ダートへの適性を補完しています。先行して押し切るスタイルは京都ダート1900mの傾向と完全に合致しており、連勝の可能性は極めて高いと分析されます。
4歳世代のもう一頭の雄、ミッキークレスト(牡4、栗東・大久保龍厩舎)も、このレースの鍵を握る存在です。これまでの戦績は7戦4勝、馬券圏内を一度も外していない安定感が光ります。父ジャスタウェイ産駒特有の成長力で、キャリアを重ねるごとにパフォーマンスを上げており、本格化を証明する舞台となります。
斤量のアドバンテージ:今回は57kgでの出走となり、ライバルのムルソー(58kg)に対し1kg、実績馬メイショウフンジン(62kg)には5kgもの斤量差があります。長丁場の1900m戦において、この差は無視できないアドバンテージです。鞍上の坂井瑠星騎手による積極的な騎乗で、斤量を活かした競馬が期待されます。
メンバー中トップのレーティングを誇るメイショウフンジン(牡7、栗東・西園正厩舎)。実績は疑いようがなく、地力は最上位です。しかし、その実績が故に課せられた62kgという酷量が大きな懸念材料となります。過度な重量は、スタート、勝負所での反応、そして最後の粘りに影響を及ぼすリスクがあります。ホッコータルマエ産駒らしいスタミナでどこまでカバーできるか、展開の助けが不可欠となるでしょう。
古馬勢で不気味な存在がミッキーヌチバナ(牡7、栗東・高橋亮厩舎)です。1週前の追い切りで猛時計を叩き出し、最終追い切りでもラスト1ハロン11.2秒という鋭い切れ味を見せており、完全復調をアピールしています。短期免許で来日中の名手、J.レーン騎手への乗り替わりも大きなプラス材料。本来の力を発揮できれば、上位争いに割って入ることは十分に可能です。
人気上位馬以外にも、馬券的な妙味を含んだ伏兵が存在します。ここでは、条件好転や変身の要素を持つ馬をピックアップします。
ジューンアヲニヨシ(牡5、栗東・松下厩舎)は、今回初めてブリンカーを装着します。馬具の変更が集中力を高め、元々の安定感に加えてパフォーマンスが向上すれば、一変する可能性を秘めています。レーティングもメンバー上位であり、オッズ的にも妙味のある存在です。
サーマルソアリング(牝5、栗東・藤原英厩舎)は、前走敗れていますが、調教では力強い伸び脚を見せており、状態は上向きです。牡馬相手のタフな条件ですが、55kgの軽斤量を活かしてスムーズに流れに乗れれば、波乱を演出する資格は十分にあります。
クールミラボー(牡5、栗東・寺島厩舎)は、京都コースに適性を見せている巧者です。レーティングも上位層と遜色なく、展開が縺れた際の差し込み候補としてマークが必要です。
京都ダート1900mの特性と各馬の脚質を照らし合わせ、レースの展開を予測します。
明確な逃げ馬が不在の中、斤量を考慮しつつメイショウフンジンがハナか2番手を確保する展開が予想されます。それを直後でマークするのがムルソーで、ルメール騎手は好位からレースを進めるでしょう。ハギノサステナブルやジューンアヲニヨシも先行集団に加わり、隊列は比較的早めに落ち着くと見られます。
前半はミドルペースで推移し、3コーナーの下り坂からペースが上がるロンスパート合戦となる公算が高いです。ここで鍵を握るのがムルソーの仕掛け。斤量的に優位なムルソーが早めにメイショウフンジンを捉え、後続に脚を使わせる強気の競馬を展開するでしょう。中団待機勢は、自力でポジションを押し上げる騎手の判断力が問われます。
以上の分析を総合し、シトリンステークスの最終的な結論を導き出します。
本命:◎ ムルソー
調教の動き、馬体の充実度、先行有利なコースへの適性、全てが高いレベルで噛み合っています。前走の勝利は本格化の証であり、ライバルとの斤量差も有利に働きます。連勝の公算が大と判断します。
対抗:○ ミッキークレスト
底を見せていないキャリアと57kgの斤量を高く評価。ジャスタウェイ産駒らしい成長力と坂井瑠星騎手の手腕で、ムルソーを逆転できる可能性を秘めた存在です。
単穴:▲ ミッキーヌチバナ
調教の動きから完全復調が窺えます。レーン騎手への乗り替わりも勝負気配の表れであり、上位争いは必至でしょう。
連下:△ メイショウフンジン
地力は断然ですが、62kgの斤量が響きそうです。勝ち切るまでは厳しいものの、持ち前の粘り腰で3着以内なら十分に考えられます。
特注:☆ ジューンアヲニヨシ
初ブリンカーによる一変に期待。人気薄が見込まれるため、配当妙味を狙うならこの馬です。
| 印 | 馬番 | 馬名 | 評価理由 |
|---|---|---|---|
| ◎ | 4 | ムルソー | 調教絶好、コース適性抜群、斤量有利。盤石の本命。 |
| ○ | 8 | ミッキークレスト | 底知れぬ素質と斤量57kgの恩恵。逆転候補筆頭。 |
| ▲ | 2 | ミッキーヌチバナ | 調教の動き一変。レーン騎手の手腕で上位進出。 |
| △ | 12 | メイショウフンジン | 実績最上位も62kgが響く。3着候補まで。 |
| ☆ | 10 | ジューンアヲニヨシ | 初ブリンカー効果で一発の魅力あり。 |
| △ | 15 | クールミラボー | 京都コース巧者。展開向けば浮上。 |
本レポートで分析した要素を組み合わせることで、的中率と回収率のバランスが取れた予想を構築することが可能です。特に「先行力」と「斤量差」は、今回のレースにおける絶対的な指針となるでしょう。
なお、直前の馬場状態やオッズ変動を加味した最終的な買い目については、以下のリンクより「netkeiba」の公式情報をご確認ください。
Race Preview, K…