2025年11月16日に京都競馬場で開催される第50回エリザベス女王杯(G1)。3歳馬と古馬の女王決定戦を前に、本記事ではレース傾向をデータで分析し、レガレイラやステレンボッシュら全登録馬19頭の一週前追い切りを徹底診断。各馬の状態を深く掘り下げ、予想の核心に迫ります。
この記事の要点
- レガレイラ、ラヴァンダ、ライラックは一週前追い切りの動きが傑出しており、状態は最高潮。
- パラディレーヌはコース適性No.1の血統背景を持ち、エリカエクスプレスは陣営が状態の上積みを明言。斤量利のある3歳馬として有力。
- リンクスティップはコース替わりと鞍上強化で一変の可能性を秘め、サフィラも前走度外視で巻き返しが期待される。
- データ分析からはレガレイラとパラディレーヌ、追い切り評価からはラヴァンダとライラックが特に注目される。
レース予想のポイント:京都芝2200m(Bコース)の傾向分析
2025年11月16日、京都競馬場にて第50回エリザベス女王杯(G1)が開催されます。牝馬三冠路線の最終戦である秋華賞を戦い終えた3歳馬と、歴戦の古馬牝馬が初めて同一条件で激突する、まさに「女王決定戦」と呼ぶにふさわしい一戦です。今年は、昨年のクラシックを沸かせたレガレイラ、ステレンボッシュといった4歳世代のG1馬に対し、秋華賞で激闘を演じたエリカエクスプレス、パラディレーヌら勢いに乗る3歳馬が挑みます。さらに、札幌記念で強さを見せたココナッツブラウン、前哨戦を圧勝したラヴァンダなど、多士済々なメンバーが淀の舞台に集結しました。本記事では、レースの鍵を握る「予想のポイント」をデータから分析します。
ポイント1:舞台設定(京都芝2200m・外回り)
京都芝2200mは、外回りコースを使用します。スタートから最初のコーナーまで距離があり、その後は3コーナー手前まで緩やかな上り坂が続きます。勝負所となるのは、3コーナー過ぎから4コーナーにかけての下り坂です。ここで一気にペースが上がり、直線は平坦な約400mでの瞬発力勝負、あるいは下り坂の勢いを活かした持続力勝負となります。Bコース使用週であり、馬場の内側が保護されている可能性はありますが、基本的には紛れが少なく、スタミナとスピードの総合力が問われるコースレイアウトです。
ポイント2:血統的傾向(種牡馬データ)
このコース設定において、特定の血統が顕著な強さを見せています。直近の京都芝2200mにおける種牡馬データでは、キズナが勝率14.6%、連対率29.3%という圧倒的な数字でトップに立っています。次いでハーツクライが勝率12.9%、連対率19.4%で2位、ゴールドシップが勝率14.3%、連対率17.9%で3位と続きます。今年の登録馬では、キズナ産駒のパラディレーヌ、ハーツクライ産駒のサフィラ、そしてハーツクライの系譜を継ぐスワーヴリチャード産駒のレガレイラ、ゴールドシップ産駒のヴェルミセル、フェアエールングが該当します。これらの血統背景を持つ馬は、コース適性という強力なアドバンテージを持っていると分析できます。
ポイント3:3歳馬 vs 古馬(斤量差)
本レースは、3歳馬が54kg、4歳以上の古馬が56kgで出走する「定量戦」です。この2kgの斤量差が、レース結果に大きな影響を与えてきました。今年は、秋華賞で2着、3着と好走したエリカエクスプレスとパラディレーヌが3歳馬の代表格として参戦します。彼女たちが54kgの斤量を活かし、G1馬レガレイラ(4歳)やステレンボッシュ(4歳)、札幌記念2着のココナッツブラウン(5歳)といった56kgを背負う古馬の強豪たちを打ち破ることができるか。世代間の力関係を見極めることが、予想の核心となります。
【全頭分析】エリザベス女王杯2025:一週前追い切りコラム
ここでは、出走登録を行った全19頭について、一週前追い切りの内容、厩舎や騎手のコメント、そして前走のパフォーマンスを統合し、コラム形式で詳細に分析・評価します。
レガレイラ
評価・血統:競馬ブック紙では牟田雅氏が本命「◎」の最高評価。父はハーツクライ系のスワーヴリチャードであり、血統的にも京都外回りの適性は高いと見られます。
一週前追い切り:11月5日、美浦Wコースで調整。全体時計96.0秒から、ラスト1ハロン11.2秒をマーク。併せ馬で追走同入を果たし、「この一追いで上昇」との短評。
前走分析(オールカマー1着):スタートでやや後手を踏むも中団後方でリズム良く追走。直線は力強く伸びて抜け出しました。戸崎圭太騎手は「乗りやすくて最後の脚はいいモノがありますね」と、その決め手を高く評価しています。
総合分析:G1馬が前哨戦を完勝し、万全の態勢。追い切りの鋭い伸びと専門紙の最高評価が示す通り、死角は極めて少ないと判断されます。
ステレンボッシュ
一週前追い切り:11月5日、C.ルメール騎手を背に栗東CWコースで実施。ラスト1ハロン12.0秒を記録。ベルベルコンパス(古馬3勝)を0.3秒追走し0.2秒先着。短評は「順調に乗り込む」。
前走分析(札幌記念15着):中団外めで運んだものの、4角で手応えが怪しくなり大敗。池添謙一騎手は「能力の高い馬だけにメンタル面としか言いようがないです」とコメント。
厩舎コメント:11月5日の報道によれば、陣営は「コンディションは問題ない」としています。
総合分析:G1馬がまさかの大敗を喫しており、立て直しが最大のテーマ。ルメール騎手が自ら騎乗し「順調」との評価を得たことはプラス材料。精神面と馬場状態が噛み合えば、能力全開となっても不思議ではありません。
エリカエクスプレス
一週前追い切り:11月5日、栗東坂路を単走・馬なりで駆け上がりました。時計は53.9秒 – 12.4秒。短評は「好気配保つ」。
前走分析(秋華賞2着):ハナに立ちレースを主導するも、直線で粘りきれず2着。武豊騎手は「道中で力んでしまいましたね」と気性面を敗因に挙げています。
厩舎コメント:杉山晴紀調教師は「トモに甘いところがあったが、その辺もしっかりしてきた」と成長を口にし、泉谷氏は「在厩調整で肉体面もメンタル面も凄くいい。前走から良くなっていますね」と状態の良さを強調しています。
総合分析:最大の鍵は「折り合い」。陣営は在厩調整でメンタル面を重点的にケアし、追い切りでも折り合いを確認。陣営が「前走以上」と評する状態で本番を迎えられるならば、G1制覇は目前です。
ココナッツブラウン
一週前追い切り:11月5日、栗東CWコースで実施。長距離を乗り込み、ラスト1ハロン11.4秒をマーク。トリポリタニア(古馬3勝)に先着し、短評は「仕上がり良好」。
前走分析(札幌記念2着):出負けしながらも大外から力強く追い込み2着を確保。レース分析では「内、外の枠の差、立ち回りの差が出た」と、着差以上の内容だったことが示されています。
厩舎コメント:上村崇輝調教師は「リセットして、いい感じで来ている」「出来に関しては言うことなし」と、自信を覗かせています。
総合分析:専門紙の高評価(▲)が示す通り、現役トップクラスの実力馬。課題のテンションも陣営は「想定内」としており、追い切りも万全。高いレベルで安定しており、ここでも主役級の存在です。
パラディレーヌ
評価・血統:競馬ブック紙では「○」の2番手評価。父はキズナであり、当コースの勝率・連対率ともにトップの血統背景を持ちます。
一週前追い切り:11月5日、栗東坂路を馬なりで登坂。時計は54.9秒 – 12.1秒。終いの鋭い伸びが目立ち、短評は「活気十分」と高評価です。
前走分析(秋華賞3着):後方で脚を溜め、直線でしっかりと伸びて3着を確保。レース分析も「上位2頭とは位置取りの差が大きかった」としており、展開次第では更に上位も可能でした。
総合分析:専門紙の高評価、当コース最強の血統背景、そして「活気十分」な追い切りと好材料が揃っています。3歳馬の斤量利(54kg)も大きく、戴冠に近い一頭と言えるでしょう。
アドマイヤマツリ
一週前追い切り:11月6日、坂井瑠星騎手が騎乗し栗東CWコースへ。全体時計79.9秒という破格のタイムをマークし、ラスト1ハロン11.6秒と鋭く伸びました。短評は「攻め強化」。
総合分析:前走は馬体重+16kgと明らかに叩き台。一週前に猛時計を叩き出し、「攻め強化」の短評通り、状態は一変していると見て間違いありません。
ヴェルミセル
評価・血統:父は当コース好相性のゴールドシップ。一週前追い切りは鮫島駿騎手が騎乗し、ラスト11.7秒をマーク。短評は「反応良化」。
総合分析:前走G2で3着と勢いに乗っており、血統的な裏付けもあります。追い切りも上向きで不気味な存在です。
オーロラエックス
一週前追い切り:11月9日、栗東坂路で調整。馬なりでラスト12.7秒。短評は「坂路コースで入念」。
総合分析:現在連勝中と本格化の兆し。軽めの調整でしたが、G1の舞台で前走で見せた「切れる脚」が通用するかが試されます。
カナテープ
一週前追い切り:11月6日、美浦Wコースで調整。66.0秒 – 11.7秒(馬なり)を記録。短評は「好調持続」。
総合分析:前走は仕掛け一つで上位があった内容。追い切りも好調を維持しており、6歳馬ですが力は衰えていません。
ケリフレッドアスク
一週前追い切り:11月6日、岩田康誠騎手が騎乗し栗東CWコースへ。終いは強めに追われてラスト11.4秒の好時計。短評は「毛ヅヤ冴える」。
総合分析:秋華賞は大敗しましたが、一週前に鋭い伸びを見せた点は注目。「毛ヅヤ冴える」というフィジカル面の高評価もあり、変わり身に警戒が必要です。
サフィラ
評価・血統:父は当コース連対率2位のハーツクライ。一週前追い切りは西村淳也騎手が騎乗し、馬なりでラスト11.4秒。短評は「シャープな脚捌き」。
総合分析:前走は枠順と展開が敗因で度外視可能。強力な血統背景に加え、追い切りもシャープ。厩舎も期待を寄せており、巻き返しは必至です。
シンリョクカ
一週前追い切り:11月5日、竹内正洋調教師が自ら騎乗し美浦Wコースへ。強めに追われラスト11.7秒。短評は「追走併入で良」。
総合分析:前走は斤量を考慮すれば価値ある内容。厩舎が「動きは一段上がっています」と断言しており、5歳秋を迎え本格化した可能性があります。
セキトバイースト
一週前追い切り:11月5日、浜中俊騎手が騎乗し栗東CWコースへ。一杯に追われ、ラスト11.1秒という圧巻の時計を記録。短評は「元気一杯」。
総合分析:前走は明らかな叩き台。一週前追い切りの猛時計に成果が表れており、「元気一杯」の短評通り、状態は急上昇と見てよいでしょう。
フェアエールング
血統:父は当コース好相性のゴールドシップ。一週前追い切りは美浦Wコースでラスト11.8秒。短評は「意欲的な攻め内容」。
総合分析:前走G2で4着と着実に力をつけています。陣営が課題の折り合い面を調整しており、「意欲的な攻め」で大駆けを狙います。
ボンドガール
一週前追い切り:11月6日、津村明秀騎手が騎乗し美浦Wコースへ。ラスト11.7秒を記録。短評は「ひと叩き良化示す」。
総合分析:ポテンシャルは世代トップクラスですが、前走は不可解な敗戦。追い切りで良化を示した通り、前走からの上積みが鍵となります。
ライラック
一週前追い切り:11月5日、美浦Wコースで実施。全体時計81.4秒、ラスト11.3秒という非常に速い時計をマーク。短評は「直線の伸び良」。
総合分析:6歳馬ですが、陣営が「過去一番」の状態と口を揃えます。追い切りも文句なしの動きで、厩舎が「得意」と公言する舞台で大金星が期待されます。
ラヴァンダ
一週前追い切り:11月6日、栗東CWコースを単走・馬なりで調整。全体時計82.4秒、ラスト11.1秒という驚異的な時計。短評は「好気配保つ」。
総合分析:前走の圧勝で本格化をアピール。騎手が「G1でも通用」と断言する逸材で、馬なりでラスト11.1秒を記録しており状態は絶好調と判断できます。
ランスオブクイーン
一週前追い切り:11月6日、栗東CWコースで一杯に追われましたが、格下の併走馬に遅れました。短評は「追走遅れ」。
総合分析:一週前追い切りの内容から、G1を戦う上で強調材料に乏しいのが現状です。
リンクスティップ
一週前追い切り:11月5日、C.デムーロ騎手が騎乗し栗東CWコースへ。全体時計80.5秒、ラスト11.2秒と猛時計をマーク。短評は「この一追いで良化」。
総合分析:前走はコース適性と展開が全く向かず力負けではありません。その大きなストライドは京都外回りでこそ真価を発揮するでしょう。猛時計を叩き出した今、一変の可能性が最も高い一頭と評価します。
結論:一週前追い切りから見る注目馬サマリー
一週前追い切りと各種データを分析した結果、注目すべき馬が複数のカテゴリーに分類されました。
状態最高潮グループ(追い切り・コメント◎)
- レガレイラ:専門紙の最高評価に加え、追い切りでも「上昇」が確認されました。前走の勝ち方も盤石で、まさに横綱の競馬が期待されます。
- ラヴァンダ:「馬なり」で終い11.1秒という圧巻の時計を記録。前走騎手が「G1通用」と断言した通りの絶好調と判断できます。
- ライラック:6歳にして「過去一番」の状態という陣営の言葉を裏付ける、終い11.3秒の鋭い伸び。厩舎が「得意」と語る舞台での激走に要警戒です。
- セキトバイースト:終い11.1秒の猛時計を叩き出し、「元気一杯」の評価。叩き2戦目での変わり身は相当なものがありそうです。
3歳馬の筆頭格(斤量利・血統)
- パラディレーヌ:専門紙2番手評価に加え、当コース勝率・連対率トップのキズナ産駒という強力なアドバンテージを持ちます。追い切りの活気も十分です。
- エリカエクスプレス:陣営が「前走より良い」と断言。唯一の課題である「折り合い」さえクリアすれば、秋華賞2着以上の結果も可能です。
巻き返し警戒グループ(前走敗因明確)
- リンクスティップ:前走8着は「仕方のない敗戦」。京都外回りへのコース替わり、C.デムーロ騎手への鞍上強化、そして終い11.2秒の猛時計と、好転材料が揃いすぎています。
- サフィラ:前走12着は展開と枠順が敗因。コース適性2位のハーツクライ産駒で、追い切りは「シャープ」。厩舎も強気な姿勢を崩していません。
最終的な分析として、競馬ブックの評価や血統データからはレガレイラとパラディレーヌが二強軸として浮上します。しかし、一週前追い切りの動きと陣営のコメントからは、ラヴァンダとライラックが最高のコンディションにあることが示唆されます。そして、前走の敗因が明確で、コース替わりによる激変が最も期待できるリンクスティップは、分析上、極めて魅力的な存在として推奨されます。


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