2025年アルゼンチン共和国杯(GⅡ)の追い切り評価を、公式データのみに基づき客観的に分析。最高S評価は前走快勝から更なる上昇を見せるニシノレヴナント。実績馬ローシャムパークは「良化」のA評価、一方でプラダリアは「変わり身無し」のC評価と明暗が分かれました。有力馬の最終的な仕上がりをS,A,B,Cの4段階で評価し、予想の精度を高めるための最終判断材料を提供します。
この記事の要点
- 最高評価(S評価)は「勝って更に上昇」のニシノレヴナントと「動きハツラツ」のホーエリート。
- トップハンデのローシャムパークは「この一追いで良化」と順調な仕上がり(A評価)。
- スティンガーグラス、シュトルーヴェら有力馬もA評価で好気配を維持。
- 実績馬プラダリアは「あまり変わり身無」と厳しいC評価で、状態面に懸念。
【S評価】絶対的最高評価。データが示す「完璧な仕上がり」
S評価は、調教短評が「完璧」「更なる上昇」といった最上級の表現であり、かつ前走からの上積み(あるいは好調維持)がデータから明確に読み取れる馬に与えられます。
ニシノレヴナント (評価:S)
最終追い切り評価: ☆ 勝って更に上昇データポイント(1)11月5日(水)、美浦Wコースで最終追い切り。時計は65.6 – 51.0 – 37.3 – 12.0を記録。「馬なり余力」で、併せ馬(グレイスザクラウン)と併入しました。データポイント(2)前走のオクトーバーS(1着)時の騎手コメントは「直線で抜け出すのが早くてフワフワしましたが、余裕を持った勝ち方ができました」というものでした。
専門家の評価: これは今回、最も強力なプロファイルです。前走を「余裕」をもって勝利した馬が、その後の調教で「勝って更に上昇」と評価されています。これは、前走のパフォーマンスがフロックではなく、馬が本格化し、更なる成長曲線上にいることを強く示唆しています。10月29日の1週前追い切りでも「好気配保つ」と評価されており、一連の調教プロセスに一切の淀みがありません。
ホーエリート (評価:S)
最終追い切り評価: ☆ 動きハツラツデータポイント(1)11月5日(水)、美浦Wコースで最終追い切り(69.3 – 52.9 – 37.8 – 11.6)。戸崎圭太騎手が騎乗し、古馬オープン馬のグランドカリナンを内から追走し同入しました。データポイント(2)10月22日、10月29日、そして最終追い切りの11月5日と、鞍上の戸崎騎手が3週連続で調教に騎乗しています。
専門家の評価: 「動きハツラツ」という短評は、馬の精神面・肉体面の双方の活力を示す最上級の賛辞です。さらに重要なのは、レースで騎乗する戸崎騎手が3週にわたって調教プロセスに深く関与している点です。これは人馬のコンタクトが完璧であり、前走オールカマー(5着)で掴んだ感触を、調教師と騎手が綿密に仕上げてきた証左と言えます。
ギャラクシーナイト (評価:S)
最終追い切り評価: ☆ 動きだけは文句無データポイント(1)11月5日(水)、美浦坂路で最終追い切り(54.6 – 40.1 – 26.2 – 12.5)を「馬なり余力」でマーク。データポイント(2)1週前の10月30日(木)の美浦Wコースでの調教短評は「追われて案外」であり、低い評価でした。
専門家の評価: これは「V字回復」の典型例です。1週前の段階では「G前仕掛け」で追われたにもかかわらず「案外」と評価されましたが、最終追い切りで「動きだけは文句無」という満点評価に転じました。この時系列データは、1週前の負荷の高い追い切りによって馬のスイッチが入り、一気に状態が良化したことを示します。前走8着からの巻き返しに足る仕上がりと評価できます。
【A評価】有力馬の仕上がり:順調、あるいは「良化」
A評価は、GⅠ級の実績馬や重ハンデ馬の仕上がりを評価します。「完璧」ではないものの、レースに向けて順調な仕上がりを示している馬たちです。
ローシャムパーク (評価:A)
最終追い切り評価: ☆ この一追いで良化データポイント(1)6月の宝塚記念(15着)以来の実戦。前走時、騎手は「4角からしんどくなりました」とコメントしています。データポイント(2)10月29日(水)の美浦Wの追い切り短評は「スピード乗らず」という懸念の残るものでした。データポイント(3)11月6日(木)の最終追い切り(美浦W、79.9 – 64.7 – 50.2 – 36.4 – 11.6)で、評価が「この一追いで良化」に好転しました。
専門家の評価: これはトップハンデ59.5kgを背負う実績馬の、ギリギリの調整プロセスを示しています。久々の実戦に対し、1週前は明らかに仕上がり途上でした。しかし、最終追い切りでプーシャ騎手を背にオープン馬と併せ、馬なりのまま鋭い時計を記録し、「良化」の評価を得ました。これは、陣営が狙い通りに状態を間に合わせたことを示すデータです。ただし、評価は「完璧」ではなく「良化」である点に注意が必要です。
スティンガーグラス (評価:A)
最終追い切り評価: ☆ 久々も好気配データポイント(1)7月の札幌日経賞(1着)以来のレースとなります。データポイント(2)11月5日(水)の最終追い切りは美浦Wで馬なり(85.7 – 69.0 – 53.8 – 38.8 – 11.9)。
専門家の評価: この馬の最大の懸念材料は「久々」(レース間隔)でした。しかし、調教短評は「久々も好気配」と、その懸念を真っ向から否定し、むしろ好材料として提示しています。10月29日、11月2日、11月5日と順調に乗り込まれており、休み明けを苦にしない仕上がりと判断できます。
シュトルーヴェ (評価:A)
最終追い切り評価: ☆ 仕上がり良好データポイント(1)前走・札幌記念(7着)の騎手コメントには「小回りでも最後は脚を使ってくれました」「(馬場不向きか)」とあり、敗因を示唆しています。データポイント(2)11月5日(水)、美浦Wで最終追い切り(66.6 – 51.9 – 37.3 – 11.8)を「馬なり余力」で実施。
専門家の評価: 前走は、騎手コメントから馬場と小回りコースが合わなかった可能性が示唆されています。今回は得意の東京コースに戻り、調教短評は「仕上がり良好」というストレートな高評価を得ました。10月30日の調教でも「遅れ心配なし」と評価されており、一連のプロセスは極めて順調です。
その他のA評価馬
- ボーンディスウェイ (評価: A): 最終評価は「☆ 終いの伸び良」。前走(オクトーバーS 3着)の騎手コメント「(後方からでも)新たな一面が出せた」ことを、調教の「終いの伸び」が裏付けています。
- ミステリーウェイ (評価: A): 最終評価は「☆ 力強い脚捌き」。前走(丹頂S 1着)の「完璧な騎乗」による勝利の後も、調教での力強さを維持していることがデータから確認できます。
- ハギノアルデバラン (評価: A): 最終評価は「☆ 余裕ある動き」。11月5日の栗東CWでの最終追い切り(82.0 – 66.3 – 51.3 – 36.4 – 11.4)は、併せ馬を内から追走して同入。時計、動きともに余裕があり、前走(4着)からの上積みが期待できます。
【B評価】水準レベル。押さえとして検討すべき馬たち
B評価は、調教短評が「まずまず」「良化途上」など、強調材料に欠けるものの、GⅡに出走する水準は満たしている馬たちです。
- ディマイザキッド (評価: B): 最終評価は「☆ 脚取り確か」。前走(毎日王冠 4着)のコメント通り、展開待ちの面を示唆。
- ボルドグフーシュ (評価: B): 最終評価は「☆ 動きまずまず」。前走(京都大賞典 10着)からの巻き返しが期待されましたが、評価は中立的です。
- セレシオン (評価: B): 最終評価は「☆ 素軽さ出る」。1週前から評価が上向いており、上昇中のB評価と解釈できます。
- ショウナンアデイブ (評価: B): 最終評価は「☆ 立て直し良化」。
- マイネルカンパーナ (評価: B): 最終評価は「☆ まずまず仕上がる」。
- ワイドエンペラー (評価: B): 最終評価は「☆ 遅れ心配なし」。
【C評価】データ上の懸念材料。評価が上がらない馬たち
C評価は、調教短評が明確にネガティブなニュアンスを含むか、あるいは前走の大敗から状態が上向いていないことをデータが示している馬です。
プラダリア (評価:C)
最終追い切り評価: ☆ あまり変わり身無データポイント(1)前走、京都大賞典で15着と大敗。データポイント(2)1週前、10月29日(水)の追い切り短評は「幾分上向くも」と歯切れの悪いものでした。データポイント(3)11月5日(水)、栗東坂路での最終追い切り評価が「あまり変わり身無」。
専門家の評価: GⅡ馬にとって、これは最も厳しい評価です。前走で大敗した後、1週前の段階でさえ「幾分上向くも」であり、最終的に「あまり変わり身無」と状態の停滞を指摘されました。データ上、前走からの巻き返しを期待できる材料は見当たりません。
サスツルギ (評価:C)
最終追い切り評価: ☆ 馬体は仕上がるも
分析とインサイト: 前走(新潟記念)16着。1週前(10/30)の評価は「追われて案外」でした。「馬体は仕上がるも」という短評は、典型的に「しかし動きが伴わない」という意味合いで使われることが多く、1週前の評価と組み合わせると、本質的な良化が見られないと解釈するのが妥当です。
メイショウブレゲ (評価:C)
最終追い切り評価: ☆ やや頭が高く
分析とインサイト: 前走、京都大賞典14着。「頭が高い」という指摘は、馬がリラックスしておらず、推進力を効率よく使えていない状態(フォームの乱れ)を示すネガティブな短評です。前走大敗からの立て直しが求められる中で、フォームに懸念が示されたことはC評価の根拠となります。
アルゼンチン共和国杯 2025 全18頭 最終追い切り評価一覧
本記事の分析の根拠となった、全18頭の最終追い切り評価、1週前の評価、および前走のデータを一覧表にまとめます。
| 評価 | 馬名 | 最終追い切り評価 (☆) | 1週前(10/29-30)の評価 | 前走と着順 | 前走騎手コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 【S】 | ギャラクシーナイト | 動きだけは文句無 | 追われて案外 | オクトーバーS 8着 | – |
| 【C】 | サスツルギ | 馬体は仕上がるも | 追われて案外 | 新潟記念 16着 | 現状の走りはできました。 |
| 【A】 | シュトルーヴェ | 仕上がり良好 | 遅れ心配なし | 札幌記念 7着 | 小回りでも最後は脚を使った。馬場不向きか。 |
| 【B】 | ショウナンアデイブ | 立て直し良化 | 一息入れ立て直す | 札幌記念 16着 | 速い流れでしんどくなった。緩い馬場も×。 |
| 【A】 | スティンガーグラス | 久々も好気配 | 順調に乗り込む | 札幌日経賞 1着 | 不器用な面もある。器用さが出れば。 |
| 【B】 | セレシオン | 素軽さ出る | さほど良化なく | オクトーバーS 12着 | – |
| 【B】 | ディマイザキッド | 脚取り確か | 脚力見せつけ | 毎日王冠 4着 | 差しが利くレースになればチャンス。 |
| 【S】 | ニシノレヴナント | 勝って更に上昇 | 好気配保つ | オクトーバーS 1着 | 余裕を持った勝ち方ができた。 |
| 【A】 | ハギノアルデバラン | 余裕ある動き | 立て直し良化 | 日本海S 4着 | 乗りやすくいい馬。長く脚を使う。 |
| 【C】 | プラダリア | あまり変わり身無 | 幾分上向くも | 京都大賞典 15着 | – |
| 【B】 | ボルドグフーシュ | 動きまずまず | 余裕ある動き | 京都大賞典 10着 | 動くに動けず後手を踏んだ。 |
| 【S】 | ホーエリート | 動きハツラツ | 順調に乗り込む | オールカマー 5着 | 作戦通り前で運んだ。最後まで頑張った。 |
| 【A】 | ボーンディスウェイ | 終いの伸び良 | 順調に乗り込む | オクトーバーS 3着 | 新たな一面が出せた(追い込み)。 |
| 【B】 | マイネルカンパーナ | まずまず仕上がる | 実戦で変わる馬 | 丹頂S 5着 | ジリジリ伸びた。もうワンパンチ欲しい。 |
| 【A】 | ミステリーウェイ | 力強い脚捌き | まずまず仕上がる | 丹頂S 1着 | 完璧な騎乗ができた(大逃げ)。 |
| 【C】 | メイショウブレゲ | やや頭が高く | 余裕ある動き | 京都大賞典 14着 | – |
| 【A】 | ローシャムパーク | この一追いで良化 | スピード乗らず | 宝塚記念 15着 | 4角からしんどくなった。 |
| 【B】 | ワイドエンペラー | 遅れ心配なし | 力強い伸び脚 | オクトーバーS 4着 | 一生懸命走ってくれて頭が下がる。 |
結論:調教評価を踏まえた最終的な見解について
本記事では、アルゼンチン共和国杯(GⅡ)の出走馬の追い切り評価を、提供された公式データのみに基づいてS・A・B・Cランクで分析しました。「勝って更に上昇」とS評価のニシノレヴナント、「動きハツラツ」のホーエリートがデータ上は最上位の仕上がりと判断されます。一方で、トップハンデのローシャムパークは「この一追いで良化」と間に合ってきた様子を、プラダリアは「あまり変わり身無」と厳しい状態であることを、データは示しています。
次のアクション
これらの客観的な調教評価と分析を踏まえた上で、最終的な「予想の結論」および「買い目」については、以下のリンク先で提示されている専門家の見解をご参照ください。


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