2025年10月25日
2025年10月25日に東京競馬場で開催される河口湖ステークス(3歳以上3勝クラス・ハンデ戦)の予想をお届けします。勢いに乗る3歳馬ベンヌ、ルグランヴァンと実績ある古馬が東京ダート1600mで激突。公式データ、調教、関係者コメントを徹底分析し、馬場状態やコース特性を踏まえた攻略ポイントと有力馬の評価を詳しく解説します。
詳細な分析に入る前に、まずは今回の主役となる馬たちの特徴を一覧で確認しましょう。各馬の強みと課題を把握することが、的中の第一歩となります。
| 馬名 | 年齢 | 斤量 | 騎手 | 強み | 懸念点 |
|---|---|---|---|---|---|
| ベンヌ | 牡3 | 55.0kg | 横山武史 | 圧倒的な能力、左回りでのパフォーマンス向上期待 | 昇級初戦、古馬との力関係は未知数 |
| ルグランヴァン | 牡3 | 55.0kg | 菅原明良 | 東京コースでの圧勝実績、ワンターン適性 | 前走大敗からの精神的な立て直し、揉まれ弱さ |
| ヴァンドーム | 牡4 | 57.0kg | C.ルメール | 確実な末脚、ブリンカー着用による集中力向上 | 気性的な課題、展開に左右されやすい |
| フルオール | 牡6 | 57.0kg | 横山和生 | 左回りでの安定した終いの脚、近走の好調 | 勝ちきれないレースが多く、善戦マンの傾向 |
| ロジアデレード | 牡4 | 57.0kg | 武豊 | 東京コースでの良績、先行力 | 久々のレース、厩舎コメントの慎重なトーン |
東京ダート1600mは、JRAのコースの中でも特にユニークな設定として知られています。最大の特徴は、スタート地点がスタンド前の芝コースに設けられている点です。これにより、スタート後の約150mは芝の上を走ることになり、ダート発走のレースよりも序盤のペースが上がりやすくなります。ここで好位を確保できるかどうかが、レース全体の流れを大きく左右します。
ダートコースに入ってからは長い向こう正面が続きますが、最後の直線は約501mと長く、ゴール前には高低差約2.4mの急な上り坂が待ち構えています。序盤で脚を使いすぎた馬は、この坂で失速するケースが頻繁に見られます。つまり、このコースを攻略するには、序盤のスピード能力と、終盤まで脚色を維持するスタミナ、そして坂を駆け上がるパワーという、総合的な能力が求められるのです。
当日の馬場状態は「稍重」と発表されています。一般的に、水分を含んだダートコースは時計が出やすく、脚抜きの良さからスピードのある馬や先行馬が有利になる傾向があります。今回のメンバー構成を見ると、ロジアデレードのように先行してレースを進めたいタイプや、ベンヌも過去のレース内容から前目のポジションを取る可能性があります。
これらの馬がレースを引っ張ることで、ペースは平均か、やや速めの「ミドルペース」以上になると予測されます。速い流れになれば、終いの末脚が武器となるヴァンドームやフルオールといった差し馬にとって、展開が向く可能性が高まります。このコースと馬場状態を総合的に判断すると、単に前に行くだけの馬や、後方から追い込むだけの馬では勝ち切るのが難しいと言えます。求められるのは、芝スタートでスムーズに好位につけ、道中は脚を溜め、最後の長い直線と坂で持続力のある末脚を使える、戦術的な器用さを備えた馬です。この理想的なレース運びを実現できるか否かが、勝敗を分ける重要な鍵となるでしょう。
4戦3勝という圧倒的な成績を引っ提げ、ベンヌが3勝クラスの壁に挑みます。特筆すべきは前走の千歳特別(2勝クラス)の内容です。レース後、鞍上の横山武史騎手が「強烈に内にモタれていた」とコメントしたように、右回りのコーナーで大きな課題を見せながらも、能力だけで勝ち切ってしまいました。父はダートでの活躍馬を多数輩出しているパイロであり、血統的な裏付けも十分です。
この馬を評価する上で最も重要なデータは、前走後の関係者コメントに集約されています。横山武史騎手が「右回りコースは合わないかもしれません」と述べ、陣営も「右にモタれる面があるので、現状は左回りの方がいいですね。東京は合います」と明言しています。つまり、前走で見せたパフォーマンスは、彼の能力にブレーキがかかった状態でのものだったのです。今回の舞台は、その弱点が完全に解消される左回りの東京コース。これは単なるコース替わりではなく、能力を100%解放するための必然的な選択と言えます。
追い切り短評は「好気配示す」という高評価。さらに詳細な解説では「前脚を叩きつけてパワフルな伸び脚。心身とも充実一途」と絶賛されており、心身ともにキャリア最高の状態で出走してくることが窺えます。陣営の「昇級も舞台好転」という言葉は、まさにこの状況を的確に表現しています。前走は欠点を抱えながら勝利し、今回はその欠点が解消される舞台。さらに心身ともに絶好調となれば、昇級初戦の壁など存在しないかのような圧巻の走りを見せる可能性は非常に高いでしょう。
この馬の戦績は、まさに「天国と地獄」を体現しています。東京コースでは2戦2勝と圧倒的な強さを見せつけている一方で、前走のGIIIレパードステークスでは14着と大敗を喫しました。父はダート王ルヴァンスレーヴ、母父はフジキセキという血統背景からも、ダート適性は疑いようがありません。
前走の大敗には明確な理由があります。レース後、鞍上は「揉まれ弱い面があって…向正面から気分が乗らず」とコメントしており、馬群に包まれたことで精神的に走る気をなくしてしまったことが敗因です。これを受け、陣営は今回、彼が最も得意とする東京のワンターンコースへ戻す決断を下しました。「実績のあるワンターンの東京に替わってスムーズな走りができれば違うはず」という厩舎コメントは、コース替わりによる精神的なリフレッシュに賭ける陣営の狙いを明確に示しています。
追い切りの評価は「まずまず仕上がる」と控えめながらも、最終追いでは格上馬と併入しており、立て直しは順調に進んでいると見られます。陣営も「立て直して好仕上がり」とコメントしており、肉体的なコンディションに不安はなさそうです。ルグランヴァンの評価は、彼の能力そのものよりも、レース展開に大きく左右されると言えます。もし外枠からスムーズに先行し、他馬に揉まれることなく自分のリズムで走ることができれば、東京コースでの過去2走のような圧勝劇を再現する可能性は十分にあります。
前走の赤富士ステークスでは、同じ舞台で後方から鋭い末脚を繰り出して2着に好走。レース後の騎手コメントも「今日は気持ちを抜かず、しっかり走ってくれました」と、気性面の成長を評価する内容でした。父ロードカナロアに母父マンハッタンカフェという配合は、スピードとスタミナのバランスに優れています。
今回、陣営は明確な勝負手を打ってきました。ひとつは「ブリンカー」の初着用です。厩舎コメントにある「他の馬を気にする点など、難しさはあります」という気性的な課題に対し、集中力を高めるための具体的な対策を講じてきました。そしてもうひとつが、C.ルメール騎手への乗り替わりです。後方からの追い込みを得意とするこの馬にとって、馬群を捌く技術に長けた名手の起用は、これ以上ないプラス材料と言えるでしょう。
近走は安定して上位争いを演じているものの、あと一歩勝ち切れないレースが続いています。前走の赤富士ステークスではヴァンドームに先着を許し3着。レース後、騎手から「もう1ハロン欲しい」というコメントがあったように、1600mは若干短い可能性があります。父ホッコータルマエ、母父ゴールドアリュールという血統は、スタミナ豊富なダートの王道配合です。
今回、この馬には大きな変化が見られます。調教の動きが目覚ましく、「気配良化」との短評に加え、「前回と比べて格段に良くなる」と、陣営が確かな手応えを感じています。さらに、ヴァンドーム同様、集中力を高めるためのブリンカーを初着用します。これまで善戦止まりだった馬が、絶好のコンディションと新馬具という起爆剤を得て、どのような変わり身を見せるのか。稍重の速い馬場がスタミナ勝負の展開を演出し、この馬の持ち味であるしぶとさが活きる可能性も十分に考えられます。
東京コースでの実績はメンバー屈指で、過去にはこのコース・距離で勝利経験もあります。先行して粘り込むのがこの馬の持ち味です。父は米国のスピード血統ドレフォンであり、日本のダートへの適性も示しています。
この馬を評価する上で、ふたつの相反する情報が悩みの種となります。ひとつは、鞍上にレジェンド・武豊騎手を迎えたという事実。これは陣営の期待の表れと見るのが自然です。しかし、もう一方では、4月以来の休み明けであることに対し、厩舎コメントが「まだ本調子にはひと息。ここを使って良くなれば」と極めて慎重なトーンである点です。状態面の評価は「力強い脚捌き」と悪くありませんが、陣営自らが状態面への不安を公にしている以上、全幅の信頼を置くのは危険かもしれません。
世代交代を狙う3歳馬か、それとも経験で勝る古馬か。今回の河口湖ステークスは、各馬が明確な強みと課題を抱えており、予想の組み立てが非常に面白い一戦となりました。左回りで真価を発揮しそうなベンヌのポテンシャル、精神的な脆さと裏腹の東京巧者ルグランヴァンの復活、そして万全の策を講じてきたヴァンドームの逆転劇。どのシナリオが現実となるのか、発走の瞬間まで目が離せません。
本記事の分析を基にした最終的な結論、および具体的な買い目につきましては、以下のリンクからご確認ください。
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