2025年9月29日 水沢競馬 徹底分析
レースの潮流と攻略の鍵
水沢競馬場は、1周1200m、ゴール前の直線が200mという、地方競馬の中でも特にコンパクトな右回りのダートコースである 1。高低差のない平坦な設計と短い直線は、レース展開に決定的な影響を及ぼす。後方からの追い込みは極めて難しく、レースの勝敗はスタート後の先行争いと、いかにロスなくコーナーを立ち回れるかにかかっていると言っても過言ではない 3。
しかし、一般的に地方の小回りコースでセオリーとされる「内枠絶対有利」という定説には、水沢競馬場特有の注意点が存在する。一部の分析では、水沢は他の多くの地方競馬場とは異なり、内ラチ沿いの砂が深くなく、枠順による有利不利が比較的少ないという指摘もある 3。これは、単純な枠順だけでは有利不利を判断できないことを示唆している。特に重要な変数が、当日の馬場状態である。降雨などによって馬場に水分が含まれると、内側が荒れて走りづらくなり、逆に外からの差しが決まりやすくなる傾向が見られる。したがって、攻略の鍵は、内枠の先行馬を基本線としつつも、当日の馬場状態を見極め、外枠の差し馬の台頭にも注意を払うという、柔軟な思考にある。
距離別の傾向は以下の通りである。
- 850m (1R, 2R): 最短距離であり、スタートダッシュの速さが勝敗をほぼ決定づける。2023年度のデータでは、逃げ・先行馬の連対率が75%に達しており、内枠から好スタートを切れる馬が圧倒的に有利である 1。
- 1300m (3R, 4R, 5R): スタートから最初の1コーナーまでの距離が短いため、外枠の先行馬は位置取りで苦労を強いられやすい。この距離でも内枠有利の傾向は継続する 1。
- 1400m (6R, 7R, 8R, 9R, 11R, 12R): 水沢で最も施行レースが多い基幹距離。1コーナーまでにある程度の距離が確保されているため、枠順による有利不利は他の距離に比べて緩和される 1。馬の能力が比較的ストレートに反映されやすい舞台と言える。
- 1600m (10R): 4コーナー奥のポケットからスタートする特殊なコース形態を持つ。スタート直後にコースへ合流する際に右へカーブするため、外枠の馬は距離ロスを強いられる可能性が高い 1。内枠をロスなく立ち回れる差し馬が波乱を演出するケースも想定される 3。
注目馬一覧表
レース番号 | 注目馬 (◎) | 推奨理由 |
水沢1R | マグナムハート | 850m戦で絶好の最内枠を獲得し、先行力で押し切りを狙う。 |
水沢2R | フエルテテソーロ | 前走同条件を圧勝したスピードは本物で、連勝の公算大。 |
水沢3R | ワンザストーリー | 地方競馬への慣れが見込める3戦目で、良血が開花する可能性。 |
水沢4R | メイショウユウモウ | 転入2戦目の上積みは大きく、相手関係も楽になり勝ち負け必至。 |
水沢5R | ドラマツルギー | 2走前の勝ちっぷりが圧巻で、昇級してもスピード能力は通用する。 |
水沢6R | マイダスタッチ | 2歳戦で最内枠の利は大きく、先行策から粘り込みを図る。 |
水沢7R | ラブコラージェン | 世代上位の完成度を誇り、同距離での実績も十分。 |
水沢8R | ハルボタン | 前走で見せた先行力と粘り腰は、昇級したここでも大きな武器。 |
水沢9R | グリニッジシチー | ベテランの経験値と最内枠を活かし、ロスなく立ち回れば上位争い。 |
水沢10R | サトノバトラー | 転入3戦目で本領発揮へ。1番人気が示す通り能力は最上位。 |
水沢11R | サンドファルコン | 目下4連勝中と本格化の兆し。勢いは止まらず、ここも通過点か。 |
水沢12R | コンチトーホク | 近走の安定感は抜群で、自在性のある脚質は展開不問。 |
注目馬コラム
水沢1R – ◎ 1枠1番 マグナムハート
7歳というキャリアを重ねたベテランだが、その脚力に衰えは見られない。前走、9月14日の水沢ダート850m戦では、重馬場の中、4番人気という評価を覆して2着に好走した 5。その際に記録した上がり3ハロン35.7秒は、メンバー中でも屈指の鋭さであり、終いの脚は確実だ。今回、最大の強調材料は最内1枠1番という絶好枠を得たことである 6。水沢の850m戦はスタートから最初のコーナーまでが短く、内枠の先行馬が圧倒的に有利なコースとして知られている 1。スタートさえ五分に決めれば、経済コースをロスなく進むことが可能であり、持ち前のスピードと終いの粘りを最大限に活かせる舞台が整った。勝ち負けは必至と見る。
水沢2R – ◎ 2枠2番 フエルテテソーロ
前走、9月15日に行われた同条件の850m戦で見せたパフォーマンスは圧巻の一言だった。好スタートから危なげなくハナを奪うと、そのまま後続を寄せ付けずに逃げ切り勝ちを収めた 7。そのスピード能力は、現在のC2クラスでは明らかに一枚上である。今回も2枠2番という絶好の内枠を引き当てており 8、前走の再現を狙う上でこれ以上ない条件が揃った。メンバー構成を見渡しても、この馬のダッシュ力を上回る馬は見当たらず、今回も楽に主導権を握る展開が濃厚だ。連勝の可能性は極めて高いと分析する。
水沢3R – ◎ 8枠9番 ワンザストーリー
父トゥザワールド、母の父キングカメハメハという良血馬 8。中央競馬では未勝利に終わったが、その素質の高さは誰もが認めるところだろう。地方転入後は苦戦が続いたものの、前走でようやく2着に入り、復調の兆しを見せた 9。転入3戦目となる今回は、地方競馬のタイトなレース展開や深い砂にも慣れが見込める。大外枠である8枠9番は、一見不利に見えるが、揉まれ弱い気性を持つ同馬にとっては、他馬の動向を気にせずスムーズに自分のペースで走れるという点でプラスに働く可能性がある。潜在能力の開花に期待したい一頭だ。
水沢4R – ◎ 5枠5番 メイショウユウモウ
中央競馬から転入初戦となった前走(9月22日、水沢1300m)では、初めてのコースにもかかわらず4着と健闘し、地方競馬への適性の高さを示した 10。中央在籍時にはダート1000mで4着の実績があり、小回りコースへの対応力は証明済みである。一度レースを使ったことによる上積みは大きく、今回はコース形態やレースの流れを把握した上で臨めるため、前走以上のパフォーマンスが期待できる。相手関係も前走より楽になっており、勝ち上がりは時間の問題だろう。
水沢5R – ◎ 6枠6番 ドラマツルギー
2走前の8月26日、盛岡ダート1200m戦で見せた勝ちっぷりは鮮烈だった。1番人気に応え、後続に影をも踏ませぬ逃げ切り勝ちを収め、その非凡なスピード能力を証明した 11。今回は1300mへの距離延長が課題となるが、前走のレース内容から判断するに、こなせる可能性は十分にある。netkeiba.comの予想オッズでも3番人気と、専門家からの評価も高い 12。馬券的な妙味も考慮すれば、積極的に狙う価値のある一頭だ。
水沢6R – ◎ 1枠1番 マイダスタッチ
キャリアの浅い2歳戦において、コースロスなく立ち回れる内枠の利は計り知れない。父は米国のダート短距離路線で活躍したミスチヴィアスアレックスであり、その産駒は父譲りのスピードを受け継ぐ傾向にある 13。デビューから3戦1勝とキャリアは浅いが、最内1枠1番という絶好枠を最大限に活かし、スタートから積極的に先行策を取ることができれば、粘り込みが十分に期待できる。
水沢7R – ◎ 2枠2番 ラブコラージェン
2歳牝馬ながら、その完成度は同世代の中で傑出している。デビュー戦を圧勝すると、その後も重賞で好走を続け、特に9月15日の1400m戦では見事な逃げ切り勝ちを収めている 14。同距離への適性は既に証明済みであり、レースセンスも光る。今回も主導権を握る競馬でレースを進め、そのまま押し切る可能性が最も高いと見る。軸馬としての信頼度は高い。
水沢8R – ◎ 5枠5番 ハルボタン
前走、8月12日の盛岡ダート1200m戦では、1番人気に応えて快勝。そのレースで見せた先行力と、ゴール前の粘り腰は特筆すべきものがあった 15。昇級戦となる今回は相手も強化されるが、前走の勝ちっぷりを見る限り、B2クラスでも十分に通用するスピードを秘めている。水沢1400mは初となるが、距離は問題ないと判断。先行して自分のペースに持ち込むことができれば、昇級初戦から勝ち負けを演じても何ら不思議はない。
水沢9R – ◎ 1枠1番 グリニッジシチー
9歳という年齢を感じさせないタフなベテラン。近走も大崩れなく堅実に走っており、特に前走の9月15日水沢B2戦では3着に食い込み、まだまだ健在であることをアピールした 16。今回は最内枠というアドバンテージを得た。豊富なキャリアで培ったレース勘を活かし、道中はロスなくインコースを立ち回り、直線で馬群を捌くことができれば、上位争いに加わる力は十分にある。百戦錬磨のベテランの味に期待したい。
水沢10R – ◎ 1枠1番 サトノバトラー
中央1勝クラスから転入後、地方では2戦して2着1回と、まだ本領を発揮しきれていない印象だ 17。しかし、前走の2着で能力の高さは十分に示した。転入3戦目となり、環境やレースの流れにも慣れが見込める今回は、パフォーマンスを上げてくる可能性が高い。1600mという距離も中央での実績から全く問題ない。netkeiba.comの予想オッズで1.6倍という断然の1番人気に支持されていることからも 18、ここは中心視せざるを得ない存在だ。
水沢11R – ◎ 8枠11番 サンドファルコン
現在の充実ぶりは目を見張るものがある。2025年に入ってからの成績は4戦4勝とパーフェクト 19。特に近3走は後続を全く寄せ付けない圧勝続きで、完全に本格化したと見て間違いない。昇級してB1クラスとなるが、今の勢いならばクラスの壁も問題にしないだろう。netkeiba.comでも2.1倍の1番人気に推されており 20、その勢いに乗って連勝をさらに伸ばす可能性は極めて高い。
水沢12R – ◎ 6枠7番 コンチトーホク
近走の安定感が光る。9月2日の盛岡B1クラス1600m戦を快勝すると、続く9月14日の水沢1400m戦でも2着と好調を維持している 21。先行して良し、控えて良しの自在性のある脚質は、展開に左右されない大きな強みである。今回は相手関係も手頃であり、前走以上の走りが期待できる。軸馬として信頼できる一頭だ。
2025年9月29日 金沢競馬 徹底分析
レースの潮流と攻略の鍵
金沢競馬場は1周1200m、直線距離236mの平坦な右回りダートコースである 22。小回りで直線が短いという構造上、基本的には先行した馬が有利な傾向にある 24。しかし、近年行われた馬場改修の影響で、このセオリーに変化が生じている可能性を考慮する必要がある。一部の専門家によると、砂の補充によって時計がかかる馬場になっており、以前のような圧倒的な「先行・内有利」ではなくなっているという 25。
この馬場変化に加えて、金沢競馬には「2コーナーを回ったらペースが上がる」という、道中の仕掛けが早い独特のレース文化が存在する 25。時計のかかる馬場で早仕掛けの展開になると、単にスピードがあるだけの先行馬では終いでスタミナが持たなくなる。このことから、現在の金沢競馬を攻略するためには、一次元的な脚質や枠順の分析だけでは不十分である。求められるのは、良いポジションを確保できる先行力と、3コーナー手前からのロングスパートに耐えうる持久力を兼ね備えた馬、そして仕掛けどころを冷静に見極められる騎手の組み合わせである。この戦術レベルでの洞察が、馬券的中への鍵となる。
距離別の傾向は以下の通り。
- 1400m (3R, 4R, 6R, 7R, 8R, 10R, 11R, 12R): 最も施行レースが多い基幹距離。枠順による有利不利は比較的少なく、馬の能力が素直に反映されやすい 25。
- 1500m (1R, 2R, 5R, 9R): 道中はスローペースで流れ、後半の上がり勝負になりやすい。単純なスピードだけでなく、コーナリングの器用さやスタミナといった総合力が問われる距離である 25。
注目馬一覧表
レース番号 | 注目馬 (◎) | 推奨理由 |
金沢1R | グレアミラージュ | 2走前に勝利しており、現級では能力上位で安定感がある。 |
金沢2R | ジーティージン | 目下2連勝中と絶好調。特に前走の圧勝劇は評価できる。 |
金沢3R | マルモジーニー | 3歳牝馬ながら古馬相手に連勝した実績は能力の証。 |
金沢4R | マクシミリアン | 3走前の圧勝が示す通り、このクラスでは力が一枚上。 |
金沢5R | ダズリングゲーム | 中央1勝クラスからの転入馬。地方の馬場に適応すれば圧勝も。 |
金沢6R | ピーチサワー | 門別からの転入初戦。環境の変化が良い刺激になる可能性。 |
金沢7R | グラシアレス | 門別でデビューし初勝利を挙げた素質馬。将来性豊か。 |
金沢8R | レッツリブオン | 転入後3連勝中と勢いが桁違い。ここも通過点か。 |
金沢9R | メイショウヒメゴゼ | 前走圧勝で本格化。断然人気が示す通り、信頼度は高い。 |
金沢10R | イモータルソウル | 転入後無傷の3連勝。いずれも圧勝で底を見せていない。 |
金沢11R | ピエドラアギーラ | B1クラスで常に上位争いを演じる堅実派。軸馬に最適。 |
金沢12R | カミノメノルカ | デビューから複勝率100%。重賞でも好走した世代屈指の実力馬。 |
注目馬コラム
金沢1R – ◎ 2枠2番 グレアミラージュ
中央で1勝クラスの実績を持ち、金沢転入後も安定した走りを見せている。特に2走前のC2クラス戦では、先行策から力強く抜け出して勝利を収めており、現級では能力が上位であることを証明した 26。前走は惜しくも敗れたが、崩れてはおらず、引き続き好調を維持している。今回は相手関係も手頃であり、勝ち負けが期待できる。
金沢2R – ◎ 6枠6番 ジーティージン
近2走の内容が秀逸である。いずれも圧勝で、特に前走は後続に大差をつける圧巻のパフォーマンスを見せた 27。レース内容から完全にクラスに目処を立てており、今の勢いならば昇級しても即通用するだろう。netkeiba.comの予想オッズでも2番人気と評価されており 28、連勝を伸ばす可能性は十分にある。
金沢3R – ◎ 8枠9番 マルモジーニー
3歳牝馬ながら、その実力は確かだ。3走前、2走前と古馬を相手に連勝を飾っており、非凡なレースセンスと勝負根性を見せつけた 29。前走はクラスが上がったこともあり10着と大敗したが、一度叩かれたことで状態は上向いているはずだ。netkeiba.comの予想オッズでは1番人気に支持されており 30、巻き返しは必至と見る。
金沢4R – ◎ 3枠3番 マクシミリアン
7歳という年齢だが、まだまだ力は衰えていない。3走前にC2特別で見せた圧勝劇は記憶に新しく、このクラスでは能力が傑出していることを示した 31。前走は3着と敗れたが、勝ち馬とはタイム差が僅かであり、悲観する内容ではない。今回は得意の1400m戦であり、netkeiba.comでも1.3倍の断然人気 32。中心は揺るがない。
金沢5R – ◎ 1枠1番 ダズリングゲーム
中央競馬の1勝クラスから転入してきた実力馬。中央での実績は、地方競馬においては大きなアドバンテージとなる 33。金沢の深い砂への対応が鍵となるが、血統背景やこれまでの走りからこなせる可能性は高い。初戦から能力の違いを見せつける走りが期待される。
金沢6R – ◎ 3枠3番 ピーチサワー
デビューから門別競馬場でキャリアを積んできた2歳牝馬 34。今回は金沢への転入初戦となる。環境の変化は馬にとって大きな刺激となることがあり、これまで以上のパフォーマンスを発揮するケースは少なくない。未知の魅力に賭けてみる価値はあるだろう。
金沢7R – ◎ 3枠3番 グラシアレス
門別競馬場でデビューし、2走前に見事初勝利を飾った素質馬 35。レース内容からは高いポテンシャルが感じられ、今後の成長が非常に楽しみな一頭である。今回は金沢への遠征競馬となるが、それを克服できるだけの能力はあると判断。将来性を感じさせる走りに期待したい。
金沢8R – ◎ 3枠3番 レッツリブオン
中央1勝クラスから金沢へ転入後、破竹の3連勝を飾っている 36。その勝ちっぷりはどれも圧巻で、現在のクラスでは力が一枚も二枚も上であることを証明している。勢いは全く衰えておらず、ここも通過点に過ぎない可能性が高い。netkeiba.comでも1.3倍の1番人気に支持されており 37、4連勝は濃厚だ。
金沢9R – ◎ 8枠10番 メイショウヒメゴゼ
6歳牝馬だが、ここに来て本格化した印象だ。前走のC1クラス戦では、後続に影をも踏ませぬ圧勝劇を演じた 38。その強さは際立っており、netkeiba.comの予想オッズでも1.4倍という断然の支持を集めている 39。相手関係を見渡しても、この馬を脅かす存在は見当たらず、ここも主役は譲らないだろう。
金沢10R – ◎ 3枠3番 イモータルソウル
中央から転入後、金沢で無傷の3連勝を飾っている。その3戦すべてが圧勝であり、まだ底を見せていないのが何よりの魅力だ 40。レースを重ねるごとに強くなっており、昇級してもその勢いは止まりそうにない。netkeiba.comの予想オッズ1.1倍が示す通り 41、ここも圧倒的な力で4連勝を飾る可能性が高い。
金沢11R – ◎ 2枠2番 ピエドラアギーラ
B1クラスにおいて、常に上位争いを演じる堅実な走りが持ち味。なかなか勝ち切れない面はあるものの、大きく崩れることがなく、軸馬としての信頼度は非常に高い 42。相手なりに走れるタイプで、今回も大崩れは考えにくい。馬券戦略を組み立てる上で、中心に据えたい一頭である。
金沢12R – ◎ 1枠1番 カミノメノルカ
2歳牝馬ながら、その完成度は非常に高い。デビューから3戦して[1-1-1-0]と、複勝率100%を誇る抜群の安定感が光る 43。特に前走の重賞・石川テレビ杯では、強敵相手に3着と好走し、世代トップクラスの能力を証明した。今回は相手関係も楽になり、最内枠からロスなく立ち回れば、勝ち負けは必至。将来の金沢競馬を背負って立つ逸材の走りに注目だ。
2025年9月29日 帯広ば競馬 徹底分析
レースの潮流と攻略の鍵
帯広競馬場で行われる「ばんえい競馬」は、全長200mの直線コースに2つの障害(坂)が設けられた、世界で唯一無二の競馬である 44。平地競馬のようなスピードではなく、最大1トンにも及ぶ鉄ソリを曳ききるパワーと持久力、そして騎手の卓越した技術が勝敗を分ける。
攻略の最大のポイントは、高さ1.6mを誇る第2障害である 47。ここで止まることなく一気に登坂できるかどうかが、勝負の行方を大きく左右する。また、障害の手前で一旦馬を止め、スタミナを温存させる「息入れ」のタイミングなど、騎手の駆け引きも重要な要素となる 46。
さらに、ばんえい競馬の予想を複雑かつ奥深くしているのが、「負担重量(斤量)」と「馬場水分」という二つの変数である。馬が曳くソリの重さはレースごとに異なり、当然ながら重い斤量を背負う馬はより大きなパワーを要求される。そして、馬場水分はソリの滑り具合に直結する。雨が降って水分量が多い「軽馬場」ではソリが滑りやすくなりスピードタイプの馬が有利になる一方、乾燥して砂が乾いた「重馬場」ではソリが滑りにくくなるため、純粋なパワータイプの馬が台頭する 48。
この「斤量」と「馬場」の相関関係を読み解くことが、ばんえい競馬攻略の核心と言える。例えば、実績上位の馬が高重量を背負い、かつパワーを要する重馬場という条件が重なった場合、第2障害でスタミナ切れを起こすリスクが高まる。逆に、斤量が軽く、スピードを活かせる軽馬場であれば、格下の馬が波乱を巻き起こすことも少なくない。当日の馬場水分と各馬の斤量を見比べ、どの馬に有利な条件が揃っているかを見極めることが不可欠である。
注目馬一覧表
レース番号 | 注目馬 (◎) | 推奨理由 |
帯広ば1R | トヨシゲ | データ不足ながら、当日の気配次第で上位進出の可能性。 |
帯広ば2R | マツノゴウリキ | パワータイプで、障害をスムーズにクリアできれば末脚が活きる。 |
帯広ば3R | カワノチャタロウ | 近走3着2回と安定感が増しており、相手なりに走れる渋太さが魅力。 |
帯広ば4R | ジュエリービーチ | 前走2着と好走。好調の今井千尋騎手とのコンビで勝ち負け。 |
帯広ば5R | キンノロナ | 前走快勝の勢いに乗り、昇級しても通用する力を持つ。 |
帯広ば6R | ツガルケッパレフジ | 3歳馬の成長力に期待。斤量面での恩恵も大きい。 |
帯広ば7R | ブループリンセス | 牝馬限定戦ならば地力は上位。障害巧者ぶりを発揮する。 |
帯広ば8R | ホクトノユメ | 生涯成績が示す通り安定感は抜群。前走2着と好調を維持。 |
帯広ば9R | ジェイサンダー | 障害巧者として定評があり、第2障害の攻略が鍵となる。 |
帯広ば10R | アサツユ | 前走2着と復調気配。大友一馬騎手とのコンビで堅実な走り。 |
帯広ば11R | スターイチバン | 世代王者決定戦「ばんえい大賞典」を制した実力は断然。 |
帯広ば12R | ミナミジュウジセイ | 前走は着順以上に内容は良く、巻き返しが期待できる。 |
注目馬コラム
帯広ば1R – ◎ 1枠1番 トヨシゲ
詳細なデータは不足しているものの、最内枠を利して経済コースを進める点は有利に働く。ばんえい競馬は馬自身の能力もさることながら、当日の馬場状態や展開が大きく左右する。パドックでの気配や単勝オッズの動向を注視し、状態が良いと判断できれば狙う価値はある。
帯広ば2R – ◎ 4枠4番 マツノゴウリキ
持ち味であるパワフルな末脚は、メンバーの中でも上位にランクされる。課題は障害のクリアだが、第2障害をスムーズに越えることができれば、直線での追い込みが決まる可能性は十分にある。展開が向けば一気に突き抜けるシーンも考えられる。
帯広ば3R – ◎ 5枠5番 カワノチャタロウ
近走の成績が安定しており、本格化の兆しが見える。特にここ2走は連続で3着に入線しており、どんな相手でも大きく崩れない渋太さが身についてきた 49。レース運びが上手く、騎手の指示に素直に従える点も強み。ここでも堅実な走りで上位争いに加わるだろう。
帯広ば4R – ◎ 4枠4番 ジュエリービーチ
前走では惜しくも2着に敗れたが、勝ちに等しい内容だった。騎乗する今井千尋騎手は2025年シーズンで94勝を挙げるなど、リーディング上位で活躍する若手のホープであり、その手腕も見逃せない 50。馬と騎手のコンビネーションで、今回はきっちりと勝ち切ると見る。
帯広ば5R – ◎ 2枠2番 キンノロナ
前走、竹ケ原茉耶騎手を鞍上に迎えて見事な勝利を飾った 51。そのレース内容からは、昇級しても十分に通用するだけのパワーとスピードが感じられる。一度勝利したことで馬自身も自信をつけたはずであり、勢いに乗って連勝を飾る可能性は高い。
帯広ば6R – ◎ 4枠4番 ツガルケッパレフジ
3歳という若さが最大の武器。これからの成長力に大いに期待が持てる一頭である 52。古馬に比べて斤量面での恩恵もあり、若さと勢いでベテラン勢を打ち破る可能性を秘めている。
帯広ば7R – ◎ 4枠4番 ブループリンセス
牝馬限定戦となれば、その地力はメンバーの中でも上位にランクされる。障害巧者であり、特に第2障害のクリアがスムーズ。牝馬同士の戦いでは、その安定感が大きな武器となる。勝ち負けは必至だ。
帯広ば8R – ◎ 2枠2番 ホクトノユメ
生涯成績が[1-1-1-1]と、抜群の安定感を誇る 53。前走でも2着に入線しており、好調をキープしている。レース運びが巧みで、どんな展開にも対応できる自在性がある。ここでも大崩れは考えにくく、馬券の軸として信頼できる存在だ。
帯広ば9R – ◎ 2枠2番 ジェイサンダー
障害巧者として知られており、特に勝負どころとなる第2障害をスムーズにクリアできる点が最大の強み。パワーとテクニックを要するばんえい競馬において、障害の上手さは大きなアドバンテージとなる。今回も安定した障害越えから、直線で抜け出す競馬が期待される。
帯広ば10R – ◎ 3枠3番 アサツユ
前走2着と復調気配が明らかだ。騎乗する大友一馬騎手とのコンビネーションも良く、安定感が増している 54。馬場状態を問わずに力を発揮できるタイプであり、今回も堅実な走りで上位争いに加わることは間違いないだろう。
帯広ば11R – ◎ 8枠9番 スターイチバン
3歳三冠路線の第一関門である「ばんえい大賞典」(BG3)を制した、現3歳世代の王者である 56。重賞2勝の実績は、メンバー中では断然の存在 57。斤量は重くなるが、それを克服できるだけの絶対的な能力を秘めている。世代最強馬の走りに注目だ。
帯広ば12R – ◎ 1枠1番 ミナミジュウジセイ
前走は4着に敗れたものの、レース内容は決して悪くなかった 58。騎乗するのはリーディング上位の常連である大友一騎手であり、その手腕で馬の能力を最大限に引き出すことができれば、巻き返しは十分に可能だ 59。最内枠からロスなくレースを進め、直線での逆転を狙う。
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