【京都大賞典2025予想】菊花賞馬ドゥレッツァ復活か? G1善戦マン・ショウナンラプンタ、本格化アドマイヤテラを徹底分析!

秋の中長距離G1戦線を占う上で極めて重要な一戦、第60回農林水産省賞典京都大賞典(GII)が今年も京都競馬場を舞台に開催される。天皇賞(秋)への優先出走権が付与されるだけでなく 1、ジャパンカップ、有馬記念へと続く王道路線の始動戦として、毎年多くの実力馬が顔を揃える伝統のレースだ 2

2025年の京都大賞典は、特に興味深い対決構図となった。中心に立つのは、2023年の菊花賞を圧巻のパフォーマンスで制したドゥレッツァ。得意とする淀の舞台で、G1馬の輝きを取り戻せるか真価が問われる。対するは、天皇賞(春)3着、宝塚記念4着と、G1の舞台で常に上位争いを演じてきたショウナンラプンタ。悲願の重賞初制覇に向け、その実力は疑いようがない。そして、菊花賞3着の実績馬が目黒記念を制し、本格化の兆しを見せるアドマイヤテラも虎視眈々と主役の座を狙う 3

本稿では、過去のデータ、コースの特性、そして各有力馬の最新情報を多角的に分析し、この難解な一戦を徹底的に解剖する。秋のG1戦線を占う上で見逃せない一戦の行方を、詳細な分析と共にお届けする。

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2025年京都大賞典を徹底攻略!レース傾向とコース分析

京都大賞典を攻略するためには、まずレースが行われる舞台の特性と、そこに刻まれた歴史的な傾向を理解することが不可欠である。ここでは、コース形態がレース展開に与える影響と、過去10年のデータが示す馬券戦略上の重要なポイントを解説する。

舞台は京都芝2400m外回り – “淀の坂”が勝負を分ける

京都大賞典の舞台となる京都競馬場芝2400m外回りコースは、日本でも屈指のタフさと戦略性が求められるコースとして知られている 6

まず、スタート地点は4コーナー奥のポケット。そこから最初の1コーナーまでの直線距離が約600mと非常に長く、序盤で無理なポジション争いが発生しにくく、ペースが落ち着きやすいのが特徴だ 6。しかし、このコースの真髄は、向正面から3コーナーにかけて待ち受ける高低差4.3mの長く緩やかな上り坂、通称「淀の坂」にある 8

この坂は、単なるスタミナの消耗を促すだけでなく、レース全体の流れを決定づける戦術的な分岐点となる。多くの馬がここで一旦息を入れるためペースが緩みやすく、スタミナに自信のある陣営にとっては仕掛けどころとなる。そして、3コーナーの頂上から4コーナーにかけては一転して急な下り坂となり、各馬はここで勢いをつけて最後の直線へと向かう 9。ゴール前の直線は404mと十分に長いが、下り坂でついた勢いのまま突入するため、一瞬の切れ味(瞬発力)よりも、長く良い脚を持続できる能力が強く求められる 11。この「スタミナ」と「持続力」という二つの要素を高いレベルで両立する馬こそが、”淀のスペシャリスト”として好走を果たすのである 9

データが示す波乱の傾向 – 1番人気は苦戦、古豪の激走に注意

かつては「堅い重賞」の代名詞だった京都大賞典だが、近年のデータは明確に波乱傾向を示唆している。安易な人気馬信頼は禁物であり、データに基づいた冷静な分析が馬券的中への鍵となる。

1番人気の不振と高配当の使者

過去10年のデータを見ると、1番人気の複勝率(3着内率)は70%と比較的高いものの、勝率はわずか20%に留まり、現在8連敗中という不名誉な記録が続いている 2。一方で、6番人気以下の馬が3勝を挙げており、3連単で100万円を超える高配当も2度飛び出すなど、下位人気馬の激走が頻繁に見られる 2。この傾向は、積極的に穴馬を狙う価値があることを示している。

年齢の壁は存在しない

出走馬の年齢構成を見ると、4歳馬と5歳馬が中心勢力であることは間違いない 2。しかし、6歳以上のベテラン馬も好走率では全く遜色がなく、むしろ人気が落ちる分、高配当の立役者となるケースが目立つ。実際に、2017年のスマートレイアー(7歳)、2019年のドレッドノータス(6歳)、2021年のマカヒキ(8歳)といった古豪が勝利を収めている 13。近走不振で人気を落としている重賞実績馬の巻き返しには、常に警戒が必要だ。

レースの鍵を握る「4コーナー6番手以内」

このレースの最も重要な戦術的ポイントは、4コーナーでのポジションにある。京都競馬場で開催された過去8回のレースにおいて、優勝馬8頭中7頭が4コーナーを6番手以内で通過していたというデータは、このレースの本質を雄弁に物語っている 2。これは、単なる先行有利を意味するものではない。前述の「淀の坂」が大きく関係している。スタミナ豊富な馬は、坂の途中でペースが緩んだ際に無理なくポジションを押し上げることができる。そして、4コーナー手前の下り坂の勢いを最大限に活かして直線に向かうためには、ある程度前方のポジションにいることが絶対条件となる。後方から追い込む馬は、坂と直線の両方で脚を使わされることになり、勝ち切ることは極めて困難になる。つまり、このレースで求められるのはゲートからのダッシュ力ではなく、道中で好位を確保できるレースセンスとスタミナなのである。

G1からの転戦組が優勢

ステップレースの観点では、前走でG1レースを戦ってきた馬が圧倒的に優位である。過去10年の3着以内馬延べ30頭のうち18頭が前走G1組であり、複勝率は40.0%と高い水準を誇る 14。特に、上半期のグランプリ・宝塚記念からの臨戦馬は過去10年で[4-4-6-14]と、出走馬の半数が3着以内に入っており、王道のローテーションと言える 2。

表1: 京都大賞典・過去10年の重要データ傾向

ファクターカテゴリー成績(勝-2着-3着-着外)勝率複勝率
単勝人気1番人気2-3-2-320.0%70.0%
2番人気2-1-2-422.2%55.6%
6番人気以下3-5-4-883.0%12.1%
年齢4歳2-3-2-207.4%25.9%
5歳4-3-3-2810.5%26.3%
6歳以上4-4-5-496.5%21.0%
4角通過順6番手以内7-7-7-44 (京都開催8回)10.8%32.3%
前走G15-7-6-3010.4%37.5%

注: データは過去10年(2015年~2024年)を集計。4角通過順は京都競馬場開催の8回分。成績は2に基づく。

2025年京都大賞典 – 有力馬徹底分析コラム

混沌としたレース傾向の中、勝利の栄冠を手にするのはどの馬か。ここでは、出走予定馬の中から特に注目すべき有力馬をピックアップし、個々の能力、適性、そして現状をコラム形式で深く掘り下げる。

ドゥレッツァ – 淀で輝きを取り戻すか、菊花賞馬の真価

2023年の菊花賞を、常識を覆すロングスパートで圧勝した姿は、多くの競馬ファンの記憶に新しい。あのパフォーマンスは、同馬が”怪物”級のポテンシャルを秘めていることを証明した 16。その後も、世界の強豪が集うジャパンカップで2着、ドバイシーマクラシックで3着と、その実力が世代トップクラスであることを示してきた 4。実績、能力ともに、今回のメンバーでは頭一つ抜けた存在であることは間違いない。

懸念材料は、前走の宝塚記念での9着大敗だ。しかし、この敗戦は明確な敗因がある。レース後の陣営コメントからも、当日のタフな馬場が同馬の持ち味である伸びやかなフットワークを削いだことが最大の要因と考えられる 4。さらに、内枠から終始窮屈な競馬を強いられ、持ち前の持続力を活かすためのスムーズな加速ができなかったことも響いた 18

重要なのは、今回、同馬が最も得意とする京都の外回りコースに戻ってくるという点だ。菊花賞で見せたように、淀の長い上り坂でペースが落ち着いたところからじわじわとポジションを上げ、下り坂の勢いを利用して長く脚を使い続ける競馬は、まさにこの馬の真骨頂 17。宝塚記念の敗戦は、コース適性や馬場が合わなかったことによるものであり、能力の衰えと判断するのは早計だ。むしろ、消化不良のレース内容だったからこそ、反動の心配も少ない。一部メディアではオッズ妙味が高い「S」評価も与えられており、良馬場が見込めるならば、菊花賞馬の完全復活を期待して然るべきだろう 18

ショウナンラプンタ – “最強の1勝馬”返上へ、G1善戦の経験が活きる時

キャリアを通じてまだ2勝(うち重賞未勝利)という戦績とは裏腹に、その実力はG1級と評価されているのがショウナンラプンタだ。天皇賞(春)で3着、宝塚記念で4着と、国内最高峰のレースで常に上位争いを演じてきた実績は伊達ではない 18。同馬の最大の武器は、レース終盤でも決して止まらない豊富なスタミナと持続力。どんな展開でも最後まで脚を伸ばし続けるしぶとさは、今回のメンバーでも屈指だ 18

陣営からの報告も、同馬の成長を力強く裏付けている。高野調教師は「馬体的に丸みが出て、グッドルッキングホースになってきました」「競馬が上手になっていて、成長を感じます」と、心身両面での進化に目を細める 20。今回初コンビを組む松山弘平騎手を背に行われた1週前追い切りも、シャープな伸びを見せており、状態面の不安は感じられない 20

一部では切れ味勝負に課題があるとの指摘もあるが 18、京都大賞典が求めるのは、まさに同馬が持つような持続力とスタミナだ。G1で強豪相手に揉まれてきた経験は、GIIのここでは大きなアドバンテージとなる。長きにわたる善戦に終止符を打ち、待望の重賞タイトルを手にする準備は整っている。

アドマイヤテラ – 重賞連勝へ視界良好、本格化迎えた長距離砲

4歳秋を迎え、本格化の軌道に乗った印象が強いのがアドマイヤテラだ。前走の目黒記念(GII)では、好位から危なげなく抜け出して重賞初制覇。そのレースで下した馬たちがその後も重賞戦線で活躍していることからも、レースレベルの高さが証明されている 18

特筆すべきは、京都コースへの高い適性だ。2023年の菊花賞では、出入りの激しい展開の中、早めに動いて4角先頭から3着に粘り込むという非常に強い内容の競馬を見せている 22。このコースと距離で世代トップクラスと渡り合った経験は、大きな強みとなる。レース後の武豊騎手の「切れる脚はありませんが、バテないタイプです」というコメントは、まさに京都大賞典で求められる資質そのものだ 24。友道調教師も「以前より良くなっている」と1週前追い切り後に語っており、陣営の期待は大きい 25。菊花賞時よりもゲートが安定し、レース運びにも磨きがかかった今、重賞連勝で一気にG1戦線の主役へと躍り出る可能性は十分にある。

サンライズアース – 世代屈指のスタミナ、気性面の成長が鍵

阪神大賞典(GII)を制し、天皇賞(春)でも4着に健闘したサンライズアースは、世代屈指のスタミナの持ち主だ 26。その長距離適性は疑いようがなく、能力だけで言えばここでも勝ち負けになるだけの器である。

しかし、同馬には常に気性面という課題がつきまとう。天皇賞(春)のレース後、池添謙一騎手は「遊んで走っています」「2000mくらい追いっぱなしでした」とコメントしており、レースへの集中力に欠ける面があることを示唆した 28。一部では、能力のON/OFFが激しい「クセ馬」の一面も指摘されている 18

一方で、陣営は精神面の成長を促しており、石坂調教師は1週前追い切り後に「メンタルも落ち着きが出ている」と語る 25。追い切りの動きも鋭く、状態は上向きだ。持てる能力を100%発揮できれば、G1馬たちをまとめて飲み込むだけのポテンシャルを秘めている。しかし、レース中に集中力を欠けば、あっさりと敗れる脆さも同居する。まさに、高いリターンとリスクを併せ持った、馬券的に非常に興味深い一頭と言えるだろう。

伏兵勢力も虎視眈々 – 注目馬ピックアップ

上位人気馬以外にも、一発の可能性を秘めた実力馬が揃っている。

  • サブマリーナ: 鋭い末脚を武器に頭角を現してきた4歳馬。京都コースでの実績もあり、侮れない存在だ 30。最大の焦点は2400mという距離。前走のチャレンジC(4着)後のコメントでは、速い脚の持続力に課題が示唆されており 32、血統背景からも距離延長がプラスに働くかは未知数だ 18。能力は確かだが、スタミナ面での試金石の一戦となる。
  • ボルドグフーシュ: 菊花賞、有馬記念で2着の実績を誇る”最強世代”の一角。長期休養明けとなるが、そのポテンシャルはG1級だ 33。陣営からは「脚元の不安もなく攻めることができている」と順調な回復ぶりが伝えられている 33。直線の長い京都外回りコースは、同馬の大きなフットワークを最大限に活かせる絶好の舞台。レース勘が戻っていれば、いきなりの激走があっても何ら不思議はない。
  • プラダリア: 2023年の京都大賞典を制したコース巧者 13。京都コースでは滅法強く、舞台適性はメンバー随一だ 23。近走は不振が続いているが、池添調教師が「気持ちの面が追い付いてくれば」と語るように、精神的な復調が鍵となる 35。得意舞台で一変する可能性を秘めた、リピーター候補だ。
  • ディープモンスター: 7歳の古豪ながら、衰えは感じられない。前走の新潟記念で3着と好走し、1週前追い切りでは自己ベストを更新するなど、状態は絶好調だ 36。過去のデータが示すように、このレースは実績あるベテランの激走が目立つ 2。軽視は禁物の一頭だ。

2025年京都大賞典の最終結論と注目馬券

本年の京都大賞典は、G1級の実績を持つ馬と、本格化を迎えた上がり馬が激突する、非常に見応えのある一戦となった。レースの鍵を握るのは、やはり京都芝2400m外回りコースの特性、すなわち「淀の坂」を攻略できる持続力とスタミナである。過去のデータが示す通り、安易な1番人気への信頼は危険であり、コース適性と現在の状態を冷静に見極める必要がある。

分析の結果、最も評価すべきはドゥレッツァであろう。宝塚記念の敗戦は明確な敗因があり、度外視可能。キャリア最高のパフォーマンスを見せた菊花賞と同じ舞台に戻る今回は、まさに絶好の復活の舞台だ。良馬場であれば、その能力を存分に発揮してくれるだろう。

対抗格には、充実期を迎えたアドマイヤテラを挙げる。目黒記念の勝ちっぷりと、菊花賞3着の実績が示すコース適性は本物。バテない強みを活かせる展開になれば、G1馬相手でも引けは取らない。

そして、ショウナンラプンタのG1で培ったスタミナと安定感も決して無視はできない。

馬券戦略としては、これら3頭を軸としつつも、波乱の歴史を考慮して手広く構えたい。特に、データ的に好走条件が揃う古豪ディープモンスターや、復活すれば怖いコース巧者プラダリア、そして大駆けの可能性を秘めるボルドグフーシュといった伏兵勢を絡めた馬券は、高配当を狙う上で非常に魅力的だ。実績と適性、そして当日の気配を総合的に判断し、秋のG1戦線へと繋がる重要な一戦を的中させたい。

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