【ローズS 2025 追い切り最終評価】最高評価はオークス馬カムニャックか、本格化パラディレーヌか?有力馬の状態をS-Bランクで徹底解剖!

導入: 秋華賞トライアル最終章へ。有力馬たちの状態を追い切りから見抜く

秋の牝馬三冠最終戦、秋華賞へ向けた最重要トライアルであるローズステークス(G2)が目前に迫った。単なる前哨戦という位置づけに留まらず、春の実績馬がその序列を再確認し、夏を越して急成長を遂げた上がり馬が世代の頂点を狙う、まさに最終関門である。ここでのパフォーマンスが、本番の栄冠を占う上で極めて重要な意味を持つ。

今年のローズステークスは、クラシックな構図が浮かび上がる。春の樫の女王、オークス馬カムニャックが、その圧倒的な実力を引っ提げて秋の始動戦を迎える。しかし、その玉座は決して安泰ではない。オークスで惜敗したライバルたちはもちろん、ひと夏を越して心身ともに劇的な変貌を遂げた素質馬たちが、女王の首を虎視眈々と狙っている。特に、春とは別馬のような完成度を見せるパラディレーヌや、マイル路線から殴り込みをかける快速牝馬チェルビアットなど、春の時点での力関係がそのまま通用するとは考えにくい。

この複雑に絡み合った力関係を解き明かす最大の鍵は、各馬の最終調整、すなわち「追い切り」にある。単に時計の数字を追うだけでは本質は見えてこない。調教の過程、動きの質、そして陣営のコメントに隠された真意を深く読み解くことで、各馬の真の状態が初めて明らかになる。本稿では、最新の追い切り情報と関係者の証言を徹底的に分析・統合し、有力馬の状態をSからBまでの明確なランク付けで評価。この重要な一戦を制するために、どの馬が最高のコンディションでゲートインするのかを徹底的に解剖していく。

ローズステークス2025 追い切り評価ランキング

詳細な分析に入る前に、まずは結論から提示する。各有力馬の追い切り内容、陣営のコメント、そして夏を越しての成長度を総合的に判断し、以下の通りランク付けを行った。この評価は、単なる最終追い切りの時計の速さだけではなく、1週前追い切りとの連動性や、陣営が意図する仕上げのプロセス全体を評価したものである。特に、ピークの状態をレース当日に合わせるための調教パターン(例えば、1週前に強い負荷をかけ、最終週は軽めに整えるなど)は、陣営の自信の表れとして高く評価している。

有力馬 追い切り評価サマリー

総合評価馬名最終追い切りハイライト注目ポイント
Sカムニャック坂路で軽めの調整1週前に自己ベスト更新の圧巻の動き。女王の風格漂う完璧な仕上げ。
A+パラディレーヌCWで終い11秒0の鋭い切れ味夏を越して馬体が完成。走りの質が変わり、春以上のパフォーマンスに期待。
A+チェルビアット坂路で調整程度も気配は良好1週前にルメール騎手で好時計。マイル実績馬が万全の態勢で距離に挑む。
AタガノアビーCWで終い11秒6の好反応叩き2戦目の上積みは確実。陣営コメント通り、反応が格段に良化。
Aミッキーマドンナ大雪で時計は平凡も動きは力強い1週前の猛時計が示す通り状態はA級。調教駆けするタイプだが好調維持。
B+ミッキージュエリーCWでスムーズな身のこなし3連勝の勢いは本物。ただし、追い切りからは絶対的な強調材料に欠ける。

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【有力馬 追い切り徹底分析】陣営コメントと動きから状態を診断

ここからは、各馬の追い切り内容をさらに深く掘り下げ、なぜその評価に至ったのかを詳細に解説する。時計、動きの質、そして陣営の言葉の裏にある確信度まで、多角的な視点から各馬の状態を診断していく。

【S評価】女王の風格、万全の仕上がり – カムニャック

総合評価: オークス馬が、王者の名に恥じない完璧な仕上がりで帰ってきた。その調教過程は、トップクラスの厩舎がG1馬を秋初戦に送り出す際の、まさに「教科書」通りのもの。心身ともに一切の不安を感じさせず、疑いようもなく世代の主役として、そしてこのレースの主役として君臨する。

1週前追い切り分析: 彼女の仕上がりの良さを最も雄弁に物語るのが、レース10日前の9月4日に行われた1週前追い切りだ。栗東CWコースでの3頭併せで、6ハロン78秒8という驚異的なタイムを記録。さらに驚くべきは、ラスト1ハロンを11秒0という鋭さで締めくくったことである 。この6ハロン78秒台という時計は、並のオープン馬でも滅多に出せるものではなく、自己ベストを更新する圧巻の内容だった 。  

この調教の真価は、時計だけではない。併せた2頭を置き去りにしただけでなく、ゴール板を過ぎてからも勢いは全く衰えず、3頭の中で最も力強い脚色を維持していたという 。これは、単にスピードがあるだけでなく、それを支える強靭な心肺機能とスタミナが備わっていることの証明に他ならない。まさに、他を圧倒する力の顕示であった。  

最終追い切り分析: これだけ強烈な負荷をかけた1週前とは対照的に、9月10日の最終追い切りは栗東坂路での単走調整となった 。陣営が「整える程度」とコメントした通り、時計は控えめだったが、これは完璧な計画の一部である 。レースに向けた本格的な調教は1週前で完了しており、最終週は馬の活力を削ぐことなく、最高の状態でレースに臨むための微調整に徹した。この「強→弱」の調教パターンは、陣営が馬の仕上がりに絶対的な自信を持っている証拠であり、これ以上ない理想的なプロセスと言える。  

陣営コメントの深読み: 友道康夫調教師のコメントが、その自信を裏付けている。1週前追い切り後には「時計、動きともに良かったです」と満足気な表情を見せ 、最終追い切り後には「先週で体はできあがっているので、これでいい」と断言した 。この「できあがっている」という言葉は、もはや何も付け加える必要がない、完璧な状態にあるという最終通告に等しい。夏休みを経て、オークスを制した時点からさらなるパワーアップを遂げている可能性は極めて高く、女王の秋初戦に死角は見当たらない。  

【A+評価】夏を越して本格化、完成の域へ – パラディレーヌ

総合評価: この夏を越して、最も劇的な成長と変貌を遂げたのがこのパラディレーヌだ。調教内容と陣営のコメントからは、春の時点でのパワフルだが粗削りな牝馬から、洗練された効率的なアスリートへと進化した姿が浮かび上がる。春の上位馬たちとの力関係を根底から覆す可能性を秘めた、最大の注目株である。

追い切り内容と馬体の変化: 彼女の進化を象徴するのが、最終追い切りの動きだ。9月10日、栗東CWコースでの単走追いでは、6ハロン85秒8という全体時計以上に、ラスト1ハロン11秒0という驚異的な切れ味を披露した 。1週前追い切りでもラスト1ハロン11秒2を記録しており 、その爆発的な加速力はフロックではない。長い距離を走った後でも瞬時にトップスピードに入れるこの能力は、G2レベルのレースにおいて決定的な武器となる。  

この動きの変化は、馬体の成長と密接にリンクしている。千田輝彦調教師は、その変貌ぶりを詳細に語っている。「春はまだ体に余裕があったかな。パワータイプで力で押すような感じ。でも、ひと夏越して、余分な肉が取れてスカッと見せるようになり、同時にストライドが伸びるようになってきた」 。このコメントは、単なるコンディションアップではなく、競走馬としての質の変化を示唆している。  

陣営コメントの深読み: 千田調教師の「走りがきれいになってきた。完成されてきた印象だ」という言葉が、彼女の現在地を的確に表している 。パワーに頼った走りから、ストライドの伸びた効率的なフォームへと変化したことで、同じスピードをより少ないエネルギーで出せるようになったと考えられる。これは、レース終盤のスタミナ温存と、最後の直線での爆発力に直結する。  

春のオークス4着は、まだ未完成な状態での地力だけで成し遂げたものだった。そこから馬体と走りの両面で完成度を高めてきた今、そのポテンシャルは計り知れない。春の実績馬を上回るパフォーマンスを見せても何ら不思議はなく、カムニャックの最大のライバルとなりうる存在だ。

【A+評価】マイルからの刺客、気配は絶好 – チェルビアット

総合評価: NHKマイルカップ3着の実績が示す通り、その能力の高さは世代トップクラス。秋初戦に向けての調整過程は、王者カムニャックと同様、自信に満ちた「強→弱」の理想的なパターンを踏んでいる。仕上がりに関しては万全と言ってよく、唯一の焦点は1800mという距離への対応のみ。しかし、その不安を払拭するだけの陣営の周到な準備が見て取れる。

1週前追い切り分析: この馬への期待の高さは、9月3日に行われた1週前追い切りに主戦のクリストフ・ルメール騎手が騎乗したことからも明らかだ 。栗東坂路で4ハロン51秒4、ラスト1ハロン12秒0という力強い時計をマーク 。トップジョッキーが自ら感触を確かめ、馬のコンディションに太鼓判を押した形だ。速い時計を楽々と出すスピード能力と、最後まで失速しない脚力は健在で、休養明けでも能力を全開にできる状態にあることを示した。  

最終追い切り分析: 1週前にしっかりと負荷をかけたことで、最終追い切りは坂路で4ハロン56秒0と、息を整える程度の内容に留められた 。これもまた、馬がすでにピークの状態にあることを示すもの。レースに向けてフレッシュな状態を保ち、研ぎ澄まされた瞬発力を最大限に発揮させるための、計算され尽くした調整と言える。  

陣営コメントと血統背景の考察: 高野友和調教師は「1週前で息はできている。体も増えて、ここまでは順調にきた」とコメントしており、調整過程の順調さを強調している 。特に「体も増えて」という部分は重要で、夏を越して馬体が成長し、パワーアップしたことを示唆している。このフィジカル面の強化は、マイルよりもスタミナが要求される1800mの舞台を克服する上で大きなプラス材料となるだろう。  

さらに、彼女の血統背景も距離延長への期待を後押しする。半姉には秋華賞(2000m)とジャパンカップ(2400m)を制した名牝ショウナンパンドラがおり、血統的には中距離以上への適性を秘めている 。完璧な調教過程と、血統に裏付けされた潜在的なスタミナ。マイル戦線からの刺客が、この舞台で新たな一面を見せる可能性は十分にある。  

【A評価】叩き2戦目の上積みは確実 – タガノアビー

総合評価: オークス3着の実力馬タガノアビーは、今回最大の強みである「レースを使った上積み」を持ってこの一戦に臨む。休養明けのトップコンテンダーたちとは異なり、一度実戦を経験したことで心身ともにシャープになっており、陣営のコメントと調教の動きがその確実な良化を示している。まさに、叩き2戦目で最高のパフォーマンスを発揮する態勢が整った。

追い切り内容と前走からの変化: その良化ぶりは、最終追い切りの動きに如実に表れていた。栗東CWコースで6ハロン83秒3を計時し、ラスト1ハロンは11秒6と鋭く伸びた 。特筆すべきは、その動きが「歯切れのいい脚さばき」と評されている点だ 。これは、馬がリラックスし、かつ力強く地面を捉えられている証拠であり、前走時よりも体の使い方が格段に良くなっていることを示している。  

陣営コメントの深読み: 千田輝彦調教師の言葉が、この評価を力強く後押しする。「前走を使って反応は良くなっている。2走目の上積みはありそう」 。この「上積み」という言葉は、単なるコンディション維持ではなく、明確な前進があることを示唆しており、非常に心強い。前哨戦を使ったことで、精神的にも肉体的にもスイッチが入り、オークス3着時に匹敵、あるいはそれ以上の状態にあると見て間違いない。  

さらに、調教師は「内回りの本番の舞台より、外回りの今回のほうが向いているか」とも付け加えている 。これは見逃せないポイントで、前走はコース適性がベストではなかった可能性を示している。今回はより能力を発揮しやすい舞台設定で、状態も上向き。オークスの再現以上の走りが期待できる。  

【A評価】調教駆けも実戦で証明済み – ミッキーマドンナ

総合評価: 常に調教では抜群の動きを見せるタイプとして知られるが、その動きが実戦での結果に直結している信頼性の高い一頭。最終追い切りの時計は天候の影響で平凡だったが、その中身、特に1週前の動きを見れば、状態がA級であることは明らか。高いレベルで好調を維持しており、今回も自身の能力を存分に発揮できるだろう。

追い切り評価のポイント: この馬の評価で重要なのは、情報を正しく取捨選択することだ。最終追い切りは「前が見えなくなるほどの大雪」という悪条件下で行われたため、時計が遅くなったのは当然であり、これを額面通りに受け取るべきではない 。彼女の真の状態を示すのは、その1週間前に行われた南Wコースでの追い切りである。一部の情報では3ハロン35秒台という猛時計を記録したとされており、その動きは傑出していた 。  

つまり、最終追い切りの遅い時計は外的要因による「ノイズ」であり、彼女の好調ぶりを示す「シグナル」は1週前の動きにある。専門的な評価としては、この背景を理解した上で、彼女の状態を判断する必要がある。調教では常に動くタイプではあるが、今回もその水準をしっかりと維持しており、「好調キープ」の評価が妥当だ 。  

【B+評価】その他の注目馬

ミッキージュエリー: デビュー2戦目から破竹の3連勝で駒を進めてきた上がり馬。その勢いは本物で、前走ではレコード勝ちを収めている 。最終追い切りは栗東CWコースで4ハロン55秒3、ラスト1ハロン12秒0と、スムーズな動きを見せた 。陣営からも「中身のある調教ができており、順調にきている」とコメントが出ており、体調面に不安はない 。  

ただし、彼女は今回のレースにおける「ワイルドカード」的な存在だ。これまでの3勝は全てが逃げ切り勝ちであり、今回のような強力なメンバーを相手に、もしハナを奪えなかった場合にどのような競馬ができるかは未知数。まさに、その真価が問われる「試金石」の一戦となる 。追い切りの動きは良好だが、S評価やA+評価の馬たちが見せたような、他を圧倒するほどのインパクトには欠ける。フィットネスは十分だが、G1級の相手に戦法のアドバンテージなしでどこまで通用するか、という戦術的な課題が残るため、評価はB+に留めた。  

【結論】追い切りデータから導く最終見解と注目馬

最終追い切りを経て、各馬の力関係と状態の序列が鮮明になった。頂点に立つのは、やはりオークス馬カムニャックだ。王者として一点の曇りもない完璧な仕上げを見せ、その状態に疑いの余地はない。しかし、今回のローズステークスの物語は、ライバルたちの劇的な成長によってより深みを増している。特にパラディレーヌは、ひと夏を越して馬体と走りの両面で別馬のように変貌を遂げ、調教で見せた鋭い末脚は女王を脅かすに十分な破壊力を秘めている。また、世界的な名手を背に万全の態勢を整えたチェルビアットも、その類稀なスピード能力でレースの展開を大きく左右するだろう。

最終的な見解として、カムニャックのS評価は揺るがないものの、馬券的な妙味や成長度という観点から最も注目すべきはパラディレーヌである。「パワータイプ」から効率的な走りを身につけた「完成形」への進化は、春の時点での物差しでは測れない飛躍を予感させる。叩き2戦目の上積みが確実なタガノアビーも、レース巧者ぶりを発揮して上位争いに加わる可能性が極めて高い。

秋華賞本番を占う重要な一戦。追い切りから見えた各馬の真の姿を基に、レースの結末を慎重に見極めたい。

有力馬 追い切り評価サマリー

総合評価馬名最終追い切りハイライト注目ポイント
Sカムニャック坂路で軽めの調整1週前に自己ベスト更新の圧巻の動き。女王の風格漂う完璧な仕上げ。
A+パラディレーヌCWで終い11秒0の鋭い切れ味夏を越して馬体が完成。走りの質が変わり、春以上のパフォーマンスに期待。
A+チェルビアット坂路で調整程度も気配は良好1週前にルメール騎手で好時計。マイル実績馬が万全の態勢で距離に挑む。
AタガノアビーCWで終い11秒6の好反応叩き2戦目の上積みは確実。陣営コメント通り、反応が格段に良化。
Aミッキーマドンナ大雪で時計は平凡も動きは力強い1週前の猛時計が示す通り状態はA級。調教駆けするタイプだが好調維持。
B+ミッキージュエリーCWでスムーズな身のこなし3連勝の勢いは本物。ただし、追い切りからは絶対的な強調材料に欠ける。

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