【2025年ムーランドロンシャン賞】マイル王アンリ・マティスが最有力か?海外ブックメーカーのオッズを徹底比較・分析!

凱旋門賞ウィークの前哨戦!賞金増額で注目度が増す2025年ムーランドロンシャン賞

欧州競馬の秋シーズンが本格化する中で、フランスのマイル路線の頂点を決める一戦、ムーランドロンシャン賞が2025年、新たなステージへと生まれ変わります。単なるG1レースから、世界中のトップマイラーが集結する「スーパーG1」へとその価値を大きく高め、競馬ファンの注目を一身に集めることになりそうです。

賞金78%増額、凱旋門賞トライアルと同日開催という戦略

この変革の核となるのが、フランスギャロ(France Galop)による大胆な改革です 。2025年から、ムーランドロンシャン賞の総賞金は従来の45万ユーロから80万ユーロへと、実に78%以上もの大幅な増額が決定されました 。この賞金額は、欧州のマイルG1の中でもトップクラスであり、各国の有力馬陣営にとって極めて魅力的なインセンティブとなります。  

さらに重要なのが、開催日の変更です。これまで9月上旬に単独開催されることが多かったこのレースは、2025年から凱旋門賞の最重要前哨戦である「カタール凱旋門賞トライアル」(ニエル賞、ヴェルメイユ賞、フォワ賞)と同日に開催されることになりました 。これにより、凱旋門賞の4週間前に、パリロンシャン競馬場は世界最高峰の馬たちが集う、まさにチャンピオン決定戦の様相を呈する一日を迎えることになります。この戦略的な日程変更は、レースの国際的な地位を飛躍的に向上させるものであり、アメリカのブリーダーズカップマイルやイギリスのアスコットで開催されるクイーンエリザベス2世ステークスといった秋の大目標を見据える陣営にとっても、理想的なステップレースとして機能することでしょう。結果として、これまで以上にハイレベルで国際色豊かなメンバー構成が期待されます。  

レースの歴史と日本との深い関わり

ムーランドロンシャン賞は、1957年にパリロンシャン競馬場の開設100周年を記念して創設された歴史ある一戦です 。レース名は、競馬場の敷地内にある象徴的な風車(ムーラン)に由来しており、同じくフランスのマイル最高峰であるジャック・ル・マロワ賞と並び称されてきました 。  

このレースは、日本の競馬史においても特別な意味を持ちます。1994年、武豊騎手がスキーパラダイスに騎乗して優勝。これは日本人騎手による史上初の海外G1制覇という快挙であり、日本競馬界が世界へ飛躍する大きな一歩となりました 。日本調教馬としては、1986年のギャロップダイナを皮切りに挑戦が続いていますが、2003年のローエングリンの2着が最高着順となっており、日本馬による勝利は未だ達成されていません 。賞金増額と国際的な注目度の高まりは、この長年の悲願達成に向けた新たな挑戦を促すことになるかもしれません。  

偽りの直線がカギを握る、パリロンシャン競馬場1600mコース分析

ムーランドロンシャン賞の舞台となるパリロンシャン競馬場の芝1600mコースは、単なるスピードだけでは攻略できない、極めて戦術的な知識と経験が要求される難コースとして知られています。

グランドピストの起伏とタフなレイアウト

レースは1987年以降、パリロンシャン競馬場のメインコースである「グランドピスト(Grande Piste)」を使用しています 。このコースは右回りの広大なトラックで、最大の特徴はその激しい起伏にあります 。コースの高低差は約30メートル(100フィート)にも達し、道中は常に緩やかな上り下りが続くため、馬のバランス感覚とスタミナが厳しく問われます 。最後のコーナーは非常に大きく、長く続くため、単純な瞬発力勝負にはなりにくいレイアウトです。  

勝敗を分ける「フォルスストレート(偽りの直線)」

このコースを最も象徴し、数々のドラマを生み出してきたのが、最終コーナーを抜けた先にある「フォルスストレート(Faux Semblant)」、すなわち「偽りの直線」です 。ここは一見するとゴール前の直線に見えますが、実際にはまだ緩やかにカーブしており、本当のゴール板まではさらに200メートル以上あります。  

この特殊な構造は、騎手にとって大きな罠となります。コースに不慣れな騎手は、このフォルスストレートでスパートを開始してしまい、最後の本当の直線で失速するケースが後を絶ちません。逆に、このコースを知り尽くした地元の名手たちは、ここでじっと脚を溜め、本当のゴール板を目がけて満を持して追い出すことで、ライバルをごぼう抜きにします。このため、馬の能力だけでなく、騎手のコース知識と経験が勝敗を大きく左右するのです。2024年の覇者トライバリストが見せたように、ペースを完全に支配する先行策は、この戦術的な罠を無効化する有効な手段の一つと言えるでしょう 。馬券を検討する上では、パリロンシャンでの騎乗経験が豊富な騎手や、このコースでの実績がある馬を重視することが極めて重要になります。  

欧州マイル戦線の主役たち:有力出走想定馬を徹底解剖

2025年のムーランドロンシャン賞は、その格付けと賞金にふさわしく、欧州マイル路線のスターホースたちが集結する見込みです。世代の頂点に立つ3歳馬から、経験豊富な古馬まで、多士済々な顔ぶれが予想されます。

3.1 アンリ・マティス (Henri Matisse): 世代最強を証明するクラシックホース

アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎が送り出す、現3歳世代の筆頭格。父にWootton Bassettを持つ良血馬で、鋭い瞬発力を武器に世代の頂点に立ちました。

  • 近走成績:
    • 優勝: 2025年5月、ムーランドロンシャン賞と同じパリロンシャン1600mで行われた仏2000ギニー(G1)を制覇。この時、1分33秒91という驚異的なコースレコードを樹立し、コース適性の高さを証明しました 。  
    • 2着: 2025年6月、ロイヤルアスコット開催のセントジェームズパレスステークス(G1)では、欧州最強マイラーとの呼び声高いフィールドオブゴールドに敗れたものの、英2000ギニー馬には先着し、世代トップクラスの実力を改めて示しました 。  
    • 3着: 2025年7月のサセックスステークス(G1)では、150倍の大穴馬がペースメーカーから逃げ切るという異例の展開となり3着。レースの特殊性を考えれば、着順ほど評価を下げる必要はないでしょう 。  
  • 分析: すでにパリロンシャンのマイルをレコードタイムで制している事実は、最大の強みです。経験豊富な古馬の強豪たちを相手に、その圧倒的なスピードが通用するかが焦点となります。

3.2 トライバリスト (Tribalist): 連覇を狙うディフェンディングチャンピオン

フランス競馬界の至宝、アンドレ・ファーブル調教師が管理するゴドルフィンの実力馬。ファーブル師はこのレースで歴代最多の8勝を挙げており、その手腕は侮れません 。  

  • 近走成績:
    • 優勝 (2024年): 前年のムーランドロンシャン賞において、ミカエル・バルザローナ騎手の絶妙なペース配分による逃げ切り勝ち。単勝20倍を超える人気薄ながら、強豪シャリンらを完封し、コース巧者ぶりを見せつけました 。  
    • 優勝 (2025年): 2025年5月、前哨戦のミュゲ賞(G2、サンクルー1600m)を連覇し、今年もマイル路線での健在ぶりをアピールしました 。  
    • 3着 (2025年): 7月のリゾランジ賞(G3、ドーヴィル1200m)では、距離不足ながら3着に好走。スピードの維持とレース勘を養うための叩き台としては上々の内容でした 。  
  • 分析: 昨年、このレースを制した実績は何物にも代えがたいアドバンテージです。パリロンシャンのトリッキーなコースを知り尽くしており、先行してレースを支配する戦法は今年も脅威となるでしょう。連覇の可能性は十分にあります。

3.3 ザリガナ (Zarigana): 世代牝馬の頂点、牡馬混合G1制覇なるか

フランシス・アンリ・グラファール調教師が手掛ける、アガ・カーン殿下の所有馬。名牝ザルカヴァの血を引く良血で、世代牝馬の頂点に君臨しています。

  • 近走成績:
    • 優勝: 仏1000ギニー(G1)では、直線で不利を受けながらも驚異的な末脚で追い込み、審議の末に繰り上がりでクラシック制覇を果たしました 。その能力の高さは疑いようがありません。  
    • 2着: ロイヤルアスコットのコロネーションステークス(G1)では、激しい叩き合いの末に僅差の2着。世代トップクラスの牝馬であることを改めて証明しました 。  
  • 分析: 世代最強牝馬の称号を引っ提げ、強力な牡馬勢に挑みます。斤量的な恩恵はあるものの、トップクラスの牡馬との力関係が試される一戦。後方からレースを進めるスタイルが、ペースの緩急が激しくなりがちなパリロンシャンの舞台でどう影響するかが鍵となります。

3.4 その他の注目馬

レースの格が上がったことで、他の路線からもトップホースが参戦してくる可能性があります。

  • ディエゴヴェラスケス (Diego Velazquez): 8月にドーヴィルで行われたマイルG1、ジャック・ル・マロワ賞を制した実力馬。このレースの勝ち馬がムーランドロンシャン賞に駒を進めてくることは多く、有力な挑戦者の一頭です 。  
  • ファクトゥールシュヴァル (Facteur Cheval): サセックスステークスやクイーンエリザベス2世ステークスなど、欧州の最高峰マイルG1で常に上位争いを演じるタフな古馬。彼の参戦があれば、レースのレベルはさらに一段階上がることでしょう 。  

オッズ傾向の分析

  • アンリ・マティス: 世代王者の評価と古馬の壁 仏2000ギニーでは同世代を相手に断然の1番人気(2.4倍)に支持され、その期待に応えました 。しかし、イギリスに渡り、より層の厚いメンバーと対戦したセントジェームズパレスステークス(5.0倍)、サセックスステークス(6.5倍)では、他に本命視される馬がおり、2番手、3番手の評価に甘んじています 。これは、ブックメーカーが彼の類まれな才能を認めつつも、現時点では絶対的な王者とは見ていないことを示唆しています。ムーランドロンシャン賞では、コース実績から僅差の1番人気に推される可能性が高いですが、圧倒的なオッズにはならないでしょう。  
  • トライバリスト: 伏兵からマークされる存在へ 2024年のムーランドロンシャン賞を20倍超えのオッズで制した際は、完全にノーマークの存在でした 。しかし、その後の安定した走り、特に2025年のミュゲ賞(G2)を1番人気(2.25倍)で快勝したことで、評価は一変しました 。もはや単なるフロック勝ちではなく、フランスの馬場とコースを知り尽くした「スペシャリスト」としてブックメーカーに認識されています。昨年のような高配当は望めず、今回は5.0倍から8.0倍程度の中位人気、有力な対抗馬の一頭として評価されることが予想されます。  
  • ザリガナ: 牝馬路線の女王、牡馬相手の価値 仏1000ギニー、コロネーションステークスともに、牝馬限定戦では常に1番人気に支持されており、世代最強牝馬としての評価は確立されています 。しかし、競馬の世界では、牝馬がトップクラスの牡馬と初めて対戦する場合、斤量面の恩恵を加味しても、オッズはやや甘くなる傾向があります。ブックメーカーは彼女の能力を高く評価しつつも、実績ある牡馬たちを上回る人気にすることには慎重になるでしょう。もし彼女の実力を信じるならば、他の有力牡馬より妙味のあるオッズが提供される可能性があります。  

結論:現時点での評価と最終予想への道筋

これまでの分析を総合すると、2025年のムーランドロンシャン賞は、レースの格が飛躍的に向上したことで、例年以上に予測が困難な、しかし非常に魅力的な一戦となることが見込まれます。

現時点での勢力図は、パリロンシャンのマイルG1をレコード勝ちした実績を持つ3歳世代の王者アンリ・マティスと、コースを知り尽くしたディフェンディングチャンピオントライバリストの2頭が中心となるでしょう。前者は爆発的なスピード、後者は経験と戦術眼を武器とし、まさに世代とスタイルの激突という構図です。

しかし、賞金増額と開催時期の変更により、ジャック・ル・マロワ賞勝ち馬のディエゴヴェラスケスを筆頭に、イギリスやアイルランドから他のG1ホースが参戦してくる可能性も高く、予断を許しません。最終的な出走馬が確定するまで、勢力図は大きく変動する可能性があります。

最終的な結論、印、そして買い目を含む完全な予想は、出馬表と枠順が確定した後、以下のリンク先で公開されます。ブックマークして、レース直前の最終見解をご確認ください。

▼最終予想はこちらから▼ https://yoso.netkeiba.com/?pid=yosoka_profile&id=562&rf=pc_umaitop_pickup

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