秋のダート戦線を占う上で、3歳世代の力関係を測る重要な一戦、不来方賞が今年も盛岡競馬場を舞台に開催される 。2024年からJpnIIに格付けが引き上げられ、その価値と注目度は飛躍的に向上した 。このレースが単なる地方重賞にとどまらない最大の理由は、その先に待つ栄光への道筋にある。
優勝馬には、10月8日に大井競馬場で行われる3歳ダート路線の頂上決戦「ジャパンダートクラシック(JpnI)」への優先出走権が与えられる 。つまり、この不来方賞は、未来のダート王を目指す素質馬たちにとって、絶対に落とせない「最終予選」としての意味合いを持つ。賞金加算はもちろんのこと、世代最強の称号をかけた大舞台への切符を掴むため、各陣営が万全の態勢で送り込んでくることは間違いない。中央のエリート集団であるJRA所属馬と、地の利を知り尽くした地方の実力馬たちが激突する構図は、今年も多くの競馬ファンの注目を集めるだろう 。
このレースの持つ重みを理解することが、予想の第一歩となる。各馬が「ここが勝負」と位置づける真剣勝負だからこそ、展開は厳しくなり、真の実力が問われる。その上で、盛岡ダート2000mという特殊な舞台設定をどう攻略するかが、馬券的中の鍵を握っている。
複雑な力関係が絡み合う一戦だが、過去のレース傾向を分析することで、勝利への道筋は見えてくる。ここでは、過去9年間の膨大なデータから導き出した、予想の核心に迫る3つの重要ポイントを徹底解説する。
不来方賞を予想する上で、最も重要視すべきは「脚質」である。結論から言えば、このレースは圧倒的に先行馬が有利だ。過去9回の勝ち馬の道中通過順位を見れば、その傾向は一目瞭然である 。
| 年 | 優勝馬 | 人気 | 4角通過順位 |
| 2023年 | サンライズジパング | 1番人気 | 1番手 |
| 2022年 | マナホク | 1番人気 | 2番手 |
| 2021年 | マツリダスティール | 1番人気 | 3番手 |
| 2020年 | フレッチャビアンカ | 1番人気 | 2番手 |
| 2019年 | ヤマショウブラック | 2番人気 | 2番手 |
| 2018年 | サンエイキャピタル | 1番人気 | 2番手 |
| 2017年 | キングジャガー | 2番人気 | 1番手 |
| 2016年 | エンパイアペガサス | 1番人気 | 1番手 |
| 2015年 | ラブブレイブ | 1番人気 | 1番手 |
出典: 提供された資料に基づき作成
表が示す通り、勝ち馬のほとんどが4コーナーを3番手以内で通過している。後方からの追い込みで勝利した馬は皆無に等しく、「前に行けること」が勝利の絶対条件と言っても過言ではない 。
この顕著な傾向の背景には、盛岡競馬場のコース形態が深く関わっている。一見すると、1周1600m、直線300mの広々としたコースに見えるが、その最大の特徴は高低差11mというタフなアップダウンにある 。この絶え間ない起伏は、後方で脚を溜め、勝負どころで一気に加速しようとする馬のスタミナを容赦なく奪っていく。対照的に、序盤から好位でレースを進め、一定のペースを刻む先行馬は、エネルギーロスを最小限に抑えることができる。つまり、盛岡のコースレイアウトそのものが、先行馬に味方するように設計されているのだ。馬群を捌くロスや、起伏での無駄な脚遣いを強いられる差し・追い込み馬にとって、ここはあまりに過酷な舞台なのである。
今年の不来方賞を難解にしている最大の要因は、中央馬の力関係が不透明なことにある。その原因は、ステップレースとして重要な8月10日のレパードステークス(GIII)が、極端な不良馬場で行われたことだ 。道悪適性の有無が結果に大きく影響したため、着順を鵜呑みにするのは危険極まりない。各馬の真の実力を見極めるには、レース内容と陣営のコメントを深く読み解く必要がある。
ルヴァンユニベールは、その筆頭格だ。レパードSでは2着に好走したが、陣営からは「水の浮いた馬場で走れませんでした」という驚きのコメントが出ている 。これは、同馬が不得手なコンディションですら世代トップクラスと渡り合える、非常に高い能力の証明に他ならない。むしろ、良馬場が見込める今回は、パフォーマンスを大幅に上げてくる可能性が高いと見るべきだ。前走で馬体重を560 kgまで増やしてきた点も、成長力の証だろう 。
ハグも同様に評価を見直すべき一頭。レパードSでは15番人気という低評価を覆し、大外枠から渋太く伸びて4着に健闘した 。陣営が「走るたびに馬が良くなっており、本格化してきた」と語るように、まさに今が充実期 。距離が延びて良さが出るタイプであり、初の2000mでさらなる前進が期待できる。
一方、ロードラビリンスはレパードSで10着と大敗 。陣営が「まだ弱いところがあり、レース後の反動が大きい」とコメントしている通り、タフな不良馬場が体質的な弱点に響いた可能性が高い 。良馬場での巻き返しはあり得るが、過信は禁物だ。
この混沌とした「レパードS組」を評価する上で基準となるのが、別路線組のナルカミとメイショウズイウンだ。ナルカミはここまで4戦3勝、前走のいわき特別を5馬身差で圧勝するなど、その能力に疑いの余地はない 。陣営も「左回りの方がスムーズ」と舞台適性に自信を見せており、万全の状態で臨んでくる 。メイショウズイウンはユニコーンS(GIII)で3着の実績があり、どんな展開にも対応できる自在性が武器 。この2頭の持つ確かな実力を物差しに、「レパードS組」の各馬がどれだけの上積みを見せるか、その比較が予想の核心となる。
| 馬名 | レパードS結果 (馬場:不良) | コース適性 (左回り/2000m) | 近況 (調教・陣営コメント) | 強み |
| ルヴァンユニベール | 2着 | 左回り問題なし | 好気配をキープ、叩き2走目 | 不良馬場で2着の地力 |
| ハグ | 4着 | 距離延長で良化 | 俄然迫力アップ、本格化 | 成長力とタフさ |
| ロードラビリンス | 10着 | 未知数 | デキに不安なし | 夏を越しての成長期待 |
| ナルカミ | (非出走) | 左回り得意、距離OK | デキは文句なし、精神面も成長 | 圧勝続きの勢い |
| メイショウズイウン | (非出走) | 中京で勝利実績あり | 仕上がり途上も伸び脚に勢い | GIII実績と自在性 |
出典: 提供された資料に基づき作成
中央馬の比較が難しいからこそ、俄然注目度が高まるのが地元・岩手を中心とした地方所属馬だ。歴史的に見ても、不来方賞は地元馬が地の利を活かして好走するケースが多く、昨年JRAのサンライズジパングが勝つまで、8年連続で地方馬が勝利を収めていた 。今年もJRA勢を脅かすだけの力を持った「刺客」が存在する。
その最右翼はサンロックンロールだろう。岩手移籍後、破竹の勢いで連勝を重ね、前走のやまびこ賞では後続に8馬身もの差をつける圧巻のパフォーマンスを披露した 。特筆すべきは、そのレース内容だ。同馬の戦法別連対数を見ると「逃げ1、先行3」と、キャリアの大半を前々で競馬している 。これは、ポイント1で解説した不来方賞の「勝利の方程式」に完全に合致する。コースを知り尽くした鞍上が、持ち前の先行力を活かしてレースの主導権を握れば、JRA勢が対応に手こずる間にそのまま押し切ってしまう場面も十分に考えられる。
もう一頭、不気味な存在がリケアカプチーノだ。安定感には欠けるものの、特筆すべきは中央在籍時にメイショウズイウンをハナ差で破った実績があること 。これは、JRAの一線級と互角以上に渡り合える能力を秘めていることの何よりの証拠だ。移籍初戦のダイヤモンドカップで2着に入るなど、地元岩手の馬場にも適応済み 。ハマった時の爆発力は、軽視できないものがある。
JRA勢の能力が傑出していることは間違いないが、サンロックンロールの戦術的なアドバンテージや、リケアカプチーノの秘めたるポテンシャルは、その牙城を崩す可能性を秘めている。
これまでの3つのポイントを踏まえ、特に注目すべき有力馬たちの最終的な状態をチェックしていく。
ここまで、2025年不来方賞を攻略するための3つの重要なポイントを分析してきた。
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