【札幌記念2025追い切り評価】ホウオウビスケッツ万全！ステレンボッシュの復活は？有力馬の状態をS～Cランクで徹底診断！

真夏の北海道を舞台に、秋のG1戦線を占うトップホースたちが集結する「スーパーGII」札幌記念。今年もまた、G1馬から夏の上がり馬まで、多士済々なメンバーが札幌の地に顔を揃えました。1着賞金7000万円というGII最高額を誇るこの一戦は、単なる夏競馬のビッグレースに留まらず、秋の大舞台へと続く重要な試金石です 。

特に今年は、例年とは異なる馬場コンディションが予測され、過去のデータだけでは計り知れない波乱の要素を秘めています。各陣営がこの大一番に向けてどのような仕上げを施してきたのか、その状態を見極める「追い切り」の評価が、例年以上に馬券的中への鍵を握ることは間違いありません。

本記事では、日本中のメディアから集めた直近1ヶ月の情報を基に、全有力馬の最終追い切りを徹底分析。S、A、B、Cの4段階で各馬の状態を厳しく評価し、その背景にある陣営の思惑や馬体の変化までを深掘りします。果たして最高の状態でターフに現れるのはどの馬か。そして、13年続く「1番人気の呪縛」を打ち破る馬は現れるのか。データと状態面の双方から、今年の札幌記念の核心に迫ります。

真夏の頂上決戦「札幌記念」とは？コースと歴史が示す勝利の鍵

札幌記念を攻略するためには、まずこのレースが持つ特異なキャラクターを理解する必要があります。なぜ「スーパーGII」と呼ばれるのか、そして舞台となる札幌芝2000mがどのような能力を馬に要求するのか。その本質を知ることが、追い切り評価をより深く理解する助けとなります。

「スーパーGII」：単なる夏競馬ではない最高峰の戦い

札幌記念が他のGIIと一線を画す最大の理由は、その格式と賞金の高さにあります 。1着賞金7000万円は、GII競走としてはJRA最高額であり、これは一部のG1競走に匹敵するレベルです 。この高額賞金と、秋の天皇賞やジャパンカップといった大舞台を見据える有力馬にとって絶好の始動戦となるタイミングから、毎年のようにG1ウイナーや春のクラシックを沸かせた実力馬が参戦します 。

一方で、サマー2000シリーズの対象レースでもあるため、夏競馬を転戦して調子を上げてきた馬たちも虎視眈々とシリーズ優勝を狙って出走してきます 。これにより、「実績上位の休み明け実力馬」と「本格化した夏の上がり馬」が激突するという、他のレースにはない独特の構図が生まれるのです。このハイレベルなメンバー構成こそが、札幌記念を「スーパーGII」たらしめる所以です。

札幌芝2000mの解剖学：短い直線が仕掛ける「持続力」の罠

舞台となる札幌競馬場芝2000mは、一見すると単純なコースに見えますが、その実、多くの馬にとって厳しい能力が問われる設計になっています。コース全体の高低差はわずか0.7mとほぼ平坦で、ゴール前の直線は約266mしかありません 。

この「短い直線」という言葉だけを聞くと、多くのファンは「逃げ・先行馬が有利なコース」と結論付けがちです。しかし、それがこのコースの罠です。札幌競馬場の最大の特徴は、JRAの競馬場の中でも特にコーナーが緩やかで大回りである点にあります 。この緩やかなコーナーがあるため、馬はスピードを落とさずにコーナーを回りきることができ、3コーナー過ぎからゴールまで、非常に長い距離をトップスピードに近い状態で走り続けることが求められます。

つまり、札幌記念で問われるのは、ゴール前の短い直線で一気に爆発する「瞬発力」ではなく、コーナーから加速し、そのスピードをゴールまで維持し続ける「スピードの持続力」なのです 。この特性ゆえに、後方にいた馬が3コーナーあたりから一気にポジションを上げていく「マクリ」戦法が、他の競馬場に比べて決まりやすいという特徴も持っています 。

2025年の最重要ファクター：使い込まれたAコースという名の戦場

そして、今年の札幌記念を予想する上で、絶対に無視できない最大の変数が「馬場状態」です。例年の札幌記念は、開催が進んだ内側の芝を保護するために柵を外側に移動させた「Cコース」の開幕週で行われることが通例でした 。これにより、出走馬はフレッシュで走りやすい、時計の出やすい馬場で戦うことができました。

しかし、今年はAコースを開幕から使い続けた最終週での施行となります 。過去10年でこの条件だったのは、2021年のソダシが勝利した年のみ。現状の札幌の芝は、開催が進んだ影響で内側を中心に傷みが目立ち始めており、例年の高速馬場とは様相が大きく異なる可能性が高いのです 。

ここに、週末の雨予報が加わります 。ただでさえ傷んだ馬場が水分を含むことで、時計がかかり、馬力（パワー）とスタミナがより一層問われるタフなコンディションになることが予想されます。例年の「スピード決着」という常識は通用しないかもしれず、馬場適性と、荒れた馬場を巧みに捌くジョッキーの手腕が、勝敗を大きく左右する一戦となるでしょう。

データが暴く札幌記念の「鉄則」と「罠」

コースの物理的な特性に加え、過去のレース結果が示す統計的な傾向は、予想を組み立てる上で強力な武器となります。しかし、データには普遍的な「鉄則」と、今年のような特殊な条件下では疑ってかかるべき「罠」が存在します。ここでは、札幌記念を象徴する4つのデータトレンドを深掘りします。

1番人気の呪縛：なぜ本命は13年間も勝てないのか？

札幌記念を語る上で最も有名なジンクスが「1番人気の不振」です。2011年のトーセンジョーダンを最後に、1番人気に支持された馬は13年連続で勝利から遠ざかっています 。

ただし、これを「1番人気は消し」と短絡的に考えるのは危険です。なぜなら、1番人気馬の3着内率は60%から70%と非常に高く、馬券圏内には安定して絡んでいるからです 。つまり、「勝ちきれないが、馬券からは外しにくい」という、非常に厄介な存在なのです。

この現象の背景には、前述したレースの特性が関係しています。G1で華々しい実績を残した馬が、休み明けの始動戦として出走し、その実績から1番人気に支持されるケースが多々あります。しかし、そうした馬たちはまだ100%の仕上がりではないことが多いのです。そこへ、夏場を使われレース勘も仕上がりもピークにある実力馬たちが挑む。この「実績の格」と「現在のコンディション」のギャップが、最後の最後で勝ちきれない結果を生んでいると考えられます。1番人気を軸に馬券を組み立てる際は、その馬が本当に万全の状態にあるのか、追い切りの動きから慎重に見極める必要があります。

内枠絶対有利の法則と今年の特異点

過去のデータは、札幌記念が極端な「内枠有利」のレースであることを示しています。過去10年で1枠は勝率30.8%、3着内率46.2%という驚異的な数字を記録 。2枠も連対率33.3%と好成績を残しており、1枠から4枠までの馬が優勢なのは明らかです 。

これは、前述の通りコーナーが大回りで、外を回されると単純に走行距離が長くなり、大きなロスとなるためです 。セオリー通りならば、今年の出走馬では1枠1番のリビアングラスや2枠4番のコスモキュランダ、3枠5番のホウオウビスケッツといった内枠の馬に大きなアドバンテージがあるはずです。

しかし、ここで思い出してほしいのが、今年の特殊な馬場コンディションです。使い込まれたAコース最終週では、最も馬が通る内側の馬場が荒れている可能性が非常に高い。ジョッキーたちが意図的に荒れた内を避け、状態の良い外目のコースを選択する展開になれば、この「内枠有利」の鉄則が崩壊するシナリオも十分に考えられます。今年の枠順評価は、この馬場の要素をどう読むかによって、結論が180度変わる可能性があるのです。

5歳馬の独壇場と年齢別の狙い方

年齢別のデータを見ると、非常に興味深い傾向が浮かび上がります。古馬勢の中では5歳馬が他を圧倒しており、過去10年で連対馬・3着内馬の数が最も多く、2018年から7年連続で連対を果たしています 。今年の出走馬では、ホウオウビスケッツ、リビアングラス、トップナイフ、ココナッツブラウンなどが該当します。

さらに注目すべきは、人気と年齢の関係です。馬券に絡んだ5歳以下の馬は、そのほとんどが5番人気以内に支持されていました。一方で、6歳以上の馬が馬券に絡んだケースでは、その多くが6番人気以下の伏兵でした 。

このデータは、明確な馬券戦略を示唆しています。5歳馬を狙うのであれば、人気サイドの実力馬を中心に考えるべき。逆に、6歳以上のベテラン勢を狙うのであれば、人気薄の中から妙味のある穴馬を探すのが効果的と言えるでしょう。

前走G1組が絶対軸：格とコンディションの見極め方

札幌記念は、そのハイレベルなメンバー構成から、やはり「格」が重要になるレースです。その指標として最も信頼できるのが「前走クラス」のデータです。過去10年、前走で国内外のG1レースを走っていた馬は【5-7-6-26】と、3着内率40.9%という抜群の成績を誇ります 。

ただし、G1に出ていれば誰でも良いというわけではありません。より精度を高めるための条件があります。まず、前走で二桁着順に惨敗している馬は割引が必要で、最低でも9着以内に入っていることが理想です 。さらに、G1を勝った実績のない馬が札幌記念を勝つには、前走のG1で5着以内に入っていることが、過去の勝ち馬の共通点でした 。

今年の出走馬で前走G1組は、リビアングラス（宝塚記念7着）、コスモキュランダ（大阪杯8着）、ホウオウビスケッツ（大阪杯5着）、ステレンボッシュ（宝塚記念12着）の4頭。このデータを当てはめると、前走G1で5着に入り、かつG1勝ちの実績がないホウオウビスケッツと、7着だったリビアングラスがデータ上の有力候補として浮かび上がってきます。

【全頭追い切り診断】有力馬の状態をS・A・B・Cで最終評価

レースの特性と過去のデータを踏まえた上で、いよいよ本稿の核心である「追い切り評価」に移ります。各馬がどのような過程を経てこの一戦に臨むのか、その最終的な状態をSからCの4段階で厳しくジャッジします。

札幌記念2025 最終追い切り評価一覧

まずは、各有力馬の評価を一覧でご確認ください。詳細な分析は、この後に続きます。

【S評価】ホウオウビスケッツ

今回のメンバーの中で、状態面において最も死角が少ないと判断できるのがこの馬です。最終追い切りはレース本番と同じ札幌の芝コースで、主戦の岩田康誠騎手を背に行われました 。併せた僚馬を相手に、終始軽快そのもののフットワークを披露。時計以上に動きの質が高く、心身ともに充実している様子が伝わってきます 。

特筆すべきは、追い切りに二週連続で騎乗した岩田康誠騎手のコメントです。「先週と比べて雰囲気が変わった。落ち着きがあるけど中身が入ってきていい」 。これは、馬がレースに向けて完璧な上昇カーブを描き、まさにピークを迎えつつあることを示唆しています。さらに陣営からは「（昨年は夏負けの影響があったが）今年は汗もかいているし、体調はいいと思う」との声も聞かれ、懸念された暑さへの対策も万全のようです 。

前走の大阪杯では、G1の強豪相手に5着と健闘。データ分析の項で触れた「前走G1で5着以内」という好走条件もクリアしています。丁寧な調整過程、鞍上の好感触、そして陣営の自信。全てのピースが噛み合った今回は、絶好の狙い目と言えるでしょう。追い切り評価は文句なしの「S」とします。

【A評価】ステレンボッシュ

メンバー唯一のG1ウイナーとして、復活が期待されるのがステレンボッシュです。最終追い切りは函館のダートコースで、今回新たにコンビを組む池添謙一騎手が騎乗しました 。5馬身先行する僚馬を目標に、直線では楽な手応えのまま1馬身先着。ラスト1ハロン11秒8という鋭い伸びを見せ、G1馬の貫禄を示しました 。初コンタクトを終えた池添騎手も「いい馬じゃないわけがない」とそのポテンシャルを高く評価しています 。

動き自体は力強く、馬体のバランスも非常に良く映ります 。しかし、評価を「A」に留めたのには二つの理由があります。第一に、追い切りがダートコースで行われた点です。ダートでの動きが、芝、それも今年の札幌のようなタフな馬場でどこまで直結するかは未知数です。第二に、父エピファネイア産駒に見られる「古馬になってからの急落」パターンへの懸念です 。近2走の内容が物足りないだけに、この追い切りの動きだけで完全復活と判断するのは早計かもしれません。能力の絶対値は間違いなくメンバー最上位。状態面に不安がないことは確認できましたが、牡馬の強豪相手に本来の走りを取り戻せるか、期待と不安が半々というのが正直なところです。

【A評価】ヴェローチェエラ

前走の函館記念をレコードタイムで逃げ切り、サマーシリーズの主役に躍り出た上がり馬。その勢いは最終追い切りからも感じられます。函館の芝コースで行われた3頭併せでは、僚馬に併入という形でしたが、ラスト1ハロンは11.5秒と鋭く伸びました 。もともと調教では目立つ動きを見せるタイプではないため、遅れは全く問題ありません 。

むしろ注目すべきは、陣営のコメントです。北村助手は「（前走は在厩期間が短かったこともあり）上積みは見込める」と、前走以上の状態で臨めることを公言しています 。鞍上の佐々木大輔騎手も「動きは悪くない。いい追い切りができた」と好感触を伝えており、人馬ともに自信を持って送り出す一戦となりそうです 。函館記念を制した勢いと、確かな状態の上積みを加味し、高い評価「A」を与えます。

【A評価】アルナシーム

函館記念6着からの巻き返しを狙うアルナシームは、メンバーで唯一、木曜日に最終追い切りを敢行しました。主戦の藤岡佑介騎手を背に函館の芝コースに登場すると、単走ながらリズムの良い走りで駆け抜け、ラスト1ハロンは11.7秒とシャープな伸び脚を披露 。

藤岡佑介騎手は「集中力が増して、一回使って良くなっている」「随分滑らかに加速していました」と、一度レースを使われたことによる上積みを強く感じ取っています 。これまでは単走追い切りが基本でしたが、1週前にはG1馬パンジャタワーと併せ馬を行うなど、課題である気性面のコントロールにも工夫を凝らしてきました 。担当の五十嵐助手も「体が楽に動けるようになって、気が入って、一段階上がっている」と胸を張っており、陣営のムードは最高潮です 。前走からの変わり身は必至と見て、評価は「A」とします。

【C評価】コスモキュランダ

昨年の皐月賞2着馬で、実績では上位の存在ですが、今回の追い切りからは本調子にない印象を受けます。最終追い切りは函館のウッドチップコースで行われましたが、終いの時計は13秒1と平凡 。さらに、騎乗した丹内祐次騎手が促しても反応が鈍く、ムチを入れる場面が見られたとの報告もあります 。

この中間の調整過程を見ても、一部で「順調さを欠いた」との指摘があり、万全のローテーションとは言えないようです 。最終追い切りで鞍上が強く促さなければならないというのは、馬の気配として決して良い兆候ではありません。持っている能力の高さは誰もが認めるところですが、その能力を100%発揮できる状態にあるかには大きな疑問符がつきます。今回は能力でどこまでカバーできるか、という一戦になりそうです。厳しい評価ですが「C」とせざるを得ません。

【C評価】リビアングラス

宝塚記念で強豪相手に7着と健闘した実績は評価できますが、最終追い切りの動きは物足りなさが残りました。函館のウッドチップコースでの単走追いでしたが、強めに追われたにもかかわらず終いは13秒台と、時計的に全く迫力がありません 。

さらに気がかりなのは、間隔を空けて出走する際には必ず行っていた併せ馬を、この中間は一度も行っていない点です 。これは、何らかの理由で強い負荷をかけられない状態にある可能性も示唆します。前走の疲れが抜け切っていないのか、あるいは別の要因があるのかは定かではありませんが、少なくとも最高の状態にあるとは考えにくいです。データ的には有力候補の一頭ですが、状態面を重視するならば、評価は「C」まで下げざるを得ないでしょう。

追い切り評価からの最終結論と推奨

ここまで、札幌記念のコース特性、データ傾向、そして各馬の最終追い切りを詳細に分析してきました。これらの情報を総合的に判断し、今年の札幌記念の結論を導き出します。

追い切りから見る勢力図の結論

状態面から見ると、今年の札幌記念はホウオウビスケッツが一歩リードしていると結論付けられます。完璧な調整過程と陣営の自信に満ちたコメントは、まさに横綱相撲を予感させます。データ面でも5歳馬、前走G1組5着という好走条件をクリアしており、死角は最も少ないでしょう。

これを追うのが、ステレンボッシュ、ヴェローチェエラ、アルナシームのA評価3頭。ステレンボッシュはG1馬の底力で復活なるか、ヴェローチェエラは函館記念制覇の勢いを持ち込めるか、そしてアルナシームは一度使われた上積みで一変するか。それぞれが勝ち切るだけの魅力とポテンシャルを秘めています。

一方で、実績上位のコスモキュランダとリビアングラスは、追い切りの動きから状態面に不安が残り、評価を下げざるを得ません。これらの馬が能力だけで上位に食い込んでくる可能性はありますが、信頼度は低いと判断します。

今年の札幌記念は、例年とは異なる使い込まれたAコースという不確定要素が大きく、展開や馬場適性が結果を大きく左右するでしょう。追い切りで示された各馬のコンディションを信じ、状態の良い馬から馬券を組み立てることが、的中への近道となるはずです。

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