牝馬クラシック第二冠、優駿牝馬(オークス)へ向かう上で重要な一戦として位置づけられる忘れな草賞。2025年も素質馬たちが樫の舞台を目指し、ここ阪神競馬場で火花を散らします。まずはレースの基本情報を確認し、その重要性を紐解いていきましょう。
忘れな草賞は、1984年に創設された歴史あるレースで、当初はオープン特別として施行されていました。2019年には国際競走及びリステッド競走に指定され、その重要度を増しています 。賞金も1着2000万円と、リステッド競走としては高額な部類に入ります 。
忘れな草賞は、牝馬クラシック路線において極めて重要な意味を持つ一戦です。オークストライアルレース(フローラS、スイートピーS)ではありませんが、過去にはこのレースをステップにオークスを制した名牝が数多く存在します。
特筆すべきは、2015年の勝ち馬ミッキークイーン 、そして2019年の勝ち馬ラヴズオンリーユー です。彼女たちは忘れな草賞を勝利した後、続くオークスでも見事に栄冠を掴み取りました。他にも2011年のエリンコート など、このレースの勝者が本番のオークスで好走する例は枚挙にいとまがありません 。
オークスは東京競馬場の芝2400mで行われるため 、阪神芝2000m内回りという条件は本番とは異なります。しかし、2000mという距離は3歳牝馬にとってスタミナと持続力が問われる舞台であり、特にゴール前の急坂 を克服するには相応のパワーも要求されます。ここで強い勝ち方を見せることは、オークスでの好走に必要な中距離適性や底力を証明することに繋がります。単なるリステッド競走という枠を超え、勝ち馬のパフォーマンス、特にその勝ちっぷりには、オークスを占う上で大きな注目が集まるのです。
未来を占う上で、過去の傾向を知ることは不可欠です。ここでは過去10年(2015年~2024年)のレース結果を分析し、馬券検討に役立つデータを探ります。
過去10年(2015年~2024年)の優勝馬を見ると、1番人気が4勝、2番人気が3勝、3番人気が2勝と、上位人気馬が勝利の中心となっていることがわかります 。5番人気が1勝(2014年ディルガ ※集計期間外だが参考)しており、基本的には上位人気馬の信頼度が高いレースと言えるでしょう。
しかし、1番人気の複勝率(3着内率)は60% であり、これは裏を返せば10回中4回は馬券圏外に敗れていることを意味します。絶対的な信頼を置ける存在とは言えず、2番人気(過去10年複勝率データ要確認)、3番人気(同)の馬にも十分注意が必要です。上位人気馬が強い傾向は確かですが、その中でもどの馬を軸に据えるか、あるいは思い切って評価を下げるか、慎重な判断が求められます。
忘れな草賞 過去10年(2015-2024) 優勝馬と人気・オッズ
| 年 | 優勝馬 | 騎手 | 調教師 | 人気 | オッズ | タイム |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024 | タガノエルピーダ | 川田将雅 | 斉藤崇史 | 1 | – | 1:59.4 |
| 2023 | グランベルナデット | 松山弘平 | 大竹正博 | 2 | 4.3 | 1:59.2 |
| 2022 | アートハウス | 川田将雅 | 中内田充正 | 1 | 2.4 | 2:00.3 |
| 2021 | ステラリア | 福永祐一 | 斉藤崇史 | 2 | 3.5 | 1:58.0 |
| 2020 | ウインマイティー | M.デムーロ | 五十嵐忠男 | 3 | 5.6 | 2:03.6 |
| 2019 | ラヴズオンリーユー | M.デムーロ | 矢作芳人 | 1 | 1.5 | 2:00.6 |
| 2018 | オールフォーラヴ | 川田将雅 | 中内田充正 | 1 | 2.1 | 2:00.5 |
| 2017 | ハローユニコーン | 田辺裕信 | 尾関知人 | 3 | 6.6 | 2:04.3 |
| 2016 | ロッテンマイヤー | 川田将雅 | 池添学 | 2 | 4.6 | 2:03.3 |
| 2015 | ミッキークイーン | 浜中俊 | 池江泰寿 | 1 | 2.1 | 2:03.5 |
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(データ出典: を基に作成。2024年オッズは未記載)
上位人気馬が強い一方で、伏兵馬の台頭による波乱も忘れてはなりません。過去10年で最も大きな波乱となったのは2018年で、10番人気のリュヌルージュが2着に入り、馬連4,990円、3連単は105,550円の高配当を記録しました 。また、集計期間外ですが2014年には5番人気→11番人気→2番人気の決着で、馬連15,810円、3連単210,910円という大波乱もありました 。
過去10年(2015-2024)の3連単平均配当は約24,093円 であり、「本命」サイドでの決着が多い年もありますが、平均値を見ると中波乱程度の結果は十分に起こり得ると考えられます。特に、2018年のように人気薄の馬が2着、3着に食い込むケースは、3連複や3連単といった券種で思わぬ高配当をもたらす可能性があります。上位人気馬だけで安易に決めてしまうのではなく、的確な穴馬を見つけ出すことができれば、大きなリターンも期待できるレースです。
忘れな草賞 過去10年(2015-2024) 主要馬券種別 配当一覧
| 年 | 馬連 | 3連複 | 3連単 | 波乱度 |
|---|---|---|---|---|
| 2024 | 230円 | 770円 | 1,670円 | 本命 |
| 2023 | 1,430円 | 6,220円 | 26,580円 | 本命 |
| 2022 | 890円 | 8,920円 | 25,460円 | 本命 |
| 2021 | 2,070円 | 6,770円 | 30,820円 | 中荒 |
| 2020 | 1,710円 | 850円 | 10,540円 | 本命 |
| 2019 | 1,600円 | 3,980円 | 14,860円 | 本命 |
| 2018 | 4,990円 | 28,400円 | 105,550円 | 大荒 |
| 2017 | 2,530円 | 1,720円 | 13,770円 | 本命 |
| 2016 | 1,410円 | 1,170円 | 8,160円 | 本命 |
| 2015 | 320円 | 1,540円 | 3,520円 | 本命 |
| 平均 | 1,718円 | 6,034円 | 24,093円 | 本命 |
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(データ出典: を基に作成。波乱度は3連単配当に基づく)
高配当を狙う上で鍵となるのが、人気薄で好走する「穴馬」の存在です。過去の例を見ると、2018年2着のリュヌルージュ(10番人気)、同3着のゴージャスランチ(7番人気) などが該当します。これらの馬に共通する特徴を探ることで、今年の穴馬候補を見つけ出すヒントが得られるかもしれません。
考えられる要素としては、まず「前走で上位人気に推されながらも敗退した馬」が挙げられます。これは、前走で何らかの不利があったり、本来の能力を発揮できなかっただけで、巻き返すポテンシャルを秘めている可能性があるためです。次に、「コース適性や血統背景が今回の条件に合致する馬」。特に阪神芝2000m内回りという特殊なコース形態への適性は重要です。そして、「調教で急上昇の気配を見せている馬」。状態面の良さが、人気以上の走りにつながるケースは少なくありません。
単に前走の着順や人気だけで判断するのではなく、敗因、コースや血統との相性、そして直前の状態といった、目に見えにくい部分にこそ穴馬発見の鍵が隠されています。2018年の結果 が示すように、二桁人気やそれに近い馬が馬券に絡む可能性は常に存在するため、多角的な分析を通じて潜在能力や好走条件を満たす馬を探し出す作業が重要になります。
レースの行方を左右する重要なファクター、血統。特に忘れな草賞が行われる阪神芝2000m(内回り)は、コース形態に特徴があり、血統的な適性が結果に結びつきやすい舞台と言えます。
阪神芝2000m内回りコースは、スタート直後の急坂、短い直線、そしてゴール前の急坂と、タフな要素が詰まっています 。このようなコースで好走するためには、スピード能力に加え、坂をこなすパワーと2000mを走り切るスタミナ、そしてコーナーで器用に立ち回れる機動力が求められます 。
過去の好走馬の血統を見ると、父系では日本の主流血統であるディープインパクト系やキングカメハメハ系が安定した成績を残しています 。これらの血統は、日本の軽い芝への適性や瞬発力を伝えやすい一方で、産駒によってはパワーやスタミナも兼ね備えています。
母父(BMS)に目を向けると、これらの主流父系に対して、欧州系のスタミナやパワーを補強する血統を持つ馬の好走が考えられます。例えば、Sadler’s Wells系やNureyev系といった、スタミナや底力に定評のある血脈です。また、サンデーサイレンスの血を父系、母系の双方で持つ、いわゆる「サンデーサイレンス系クロス」も、日本の馬場への適性を高める上で注目される配合パターンです。ノーザンダンサーのクロスを持つ馬の好走例も指摘されており 、パワーやスピードの補強という点で有効な可能性があります。
このコースで求められるのは、単なるスピードやスタミナではなく、それらをバランス良く兼ね備え、かつパワーも有していること。日本の高速馬場に対応できるスピードを持ちつつ、タフなコース形態をこなせるスタミナとパワーを併せ持つ血統構成が理想的と言えるでしょう。過去の勝ち馬の血統構成(例:ラヴズオンリーユーは父ディープインパクト×母父Storm Cat、アートハウスは父スクリーンヒーロー×母父キングカメハメハなど )を検証すると、父系と母系の組み合わせによってこれらの要素を補完し合っているケースが多く見られます。
今年の出走予定馬の中から、血統的に注目すべき馬をピックアップします。
これらの評価はあくまで血統構成からの推測ですが、ノクターンのようにコース適性が高そうな配合を持つ馬は、それだけで注目に値します。各馬の血統背景を踏まえつつ、他の要素と合わせて総合的に判断していくことが重要です。
各馬がどのようなレースを経て忘れな草賞に臨むのか、その臨戦過程(ローテーション)も予想における重要な要素です。前走のレース内容やレース間隔から、各馬の状態や成長度を探ります。
忘れな草賞はオークスへ向かう上で重要なステップレースではありますが 、桜花賞組やフローラS組のように特定のレースから参戦してくる馬が多いわけではありません。
過去10年の勝ち馬の前走を見ると、そのキャリアは多岐にわたります。2019年のラヴズオンリーユー や2022年のアートハウス のように、新馬戦や1勝クラスを勝ったばかりのキャリアの浅い馬が、ここで素質の高さを見せて勝利するケースが目立ちます。一方で、重賞やリステッド競走を使われてきた経験豊富な馬が順当に勝利することもあります。
このように、様々なローテーションの馬が集まるのが忘れな草賞の特徴です。桜花賞のようにチューリップ賞組が中心となる といった明確なステップレースが存在しないため、異なるレースレベルや経験値を持つ馬同士を比較検討する必要があります。これは予想の難易度を上げる要因ですが、同時に、前走のクラスや着順だけにとらわれず、個々の馬の持つ潜在能力や成長力、そして今回のレースへの適性を見抜くことが重要であることを示唆しています。キャリアの浅い馬の中に、後のG1馬が隠れている可能性も十分にあるのです。
今年の出走予定馬のローテーションを見ていきましょう。
このように、有力候補たちの臨戦過程は様々です。新馬勝ち直行のノクターン、実績馬ながら前走敗退のダノンフェアレディ、着実にステップアップしてきたサヴォンリンナ、G2経験を持つプリンセッサ。それぞれに強調材料と不安要素があり、どの馬のローテーションを最も評価するかが、予想の鍵を握ります。
レースが行われる阪神競馬場 芝2000m(内回り)コース。その特徴を理解し、どの馬がこのコースに向いているのかを見極めることは、予想の精度を高める上で欠かせません。
コース形態を踏まえ、過去のデータから有利な枠順や脚質を探ります。
忘れな草賞 過去10年(2015-2024) 枠番別成績
| 枠番 | 1着 | 2着 | 3着 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 | | :— | :-: | :-: | :-: | :—– | :—– | :—– | | 1枠 | 0 | 1 | 0 | 10 | 0.0% | 10.0% | | 2枠 | 1 | 0 | 0 | 11 | 9.1% | 9.1% | | 3枠 | 1 | 0 | 1 | 11 | 9.1% | 18.2% | | 4枠 | 2 | 0 | 1 | 12 | 16.7% | 25.0% | | 5枠 | 1 | 1 | 1 | 13 | 7.7% | 23.1% | | 6枠 | 0 | 1 | 1 | 13 | 0.0% | 15.4% | | 7枠 | 3 | 3 | 4 | 17 | 17.6% | 58.8% | | 8枠 | 2 | 3 | 2 | 17 | 11.8% | 41.2% |
(データ出典: の結果を基に集計)
忘れな草賞 過去10年(2015-2024) 脚質別成績(4角位置目安)
| 4角位置 | 1着 | 2着 | 3着 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 | | :—— | :-: | :-: | :-: | :—– | :—– | :—– | | 1-2番手 | 2 | 3 | 2 | 17 | 11.8% | 41.2% | | 3-5番手 | 6 | 1 | 4 | 29 | 20.7% | 37.9% | | 6-9番手 | 2 | 5 | 3 | 39 | 5.1% | 25.6% | | 10番手- | 0 | 1 | 1 | 19 | 0.0% | 10.5% |
(データ出典: の通過順位を基に集計。頭数により変動あり)
これらのデータからも、先行できる脚質が極めて重要であることがわかります。枠順に関しては、7枠の特異な好成績も考慮しつつ、基本的にはスムーズに先行できそうな内~中枠の馬を重視したいところです。
各馬の最終的な状態を判断する上で、レース直前の追い切り(調教)内容は非常に重要な情報となります。時計だけでなく、動きや気配からも状態の良し悪しを読み取ります。
判明している有力馬の最終追い切り内容を診断します。
各馬の調教内容を比較検討します。調教評価Bは一般的に良好な状態を示しますが 、その中身を精査することが重要です。
ダノンフェアレディは、馬なりでラスト12.2秒という好時計を出しており、動きも良かったことから、高いレベルで順調と判断できます 。メイショウピリカは、強めに追われて併走相手に先着しており、叩きつつ良化している様子がうかがえます 。ロヴィーサは、CWコースでラスト11.5秒という非常に速い上がり時計をマークしており、瞬発力に磨きがかかっている可能性がありますが、一杯に追われての時計である点は考慮が必要です 。
このように、同じB評価でも、時計の出し方(馬なりか、強めか、一杯か)、コース(坂路かCWか)、併せ馬の有無や内容、そして実際の動き(フォームの良さ、反応の鋭さ)などを総合的に比較することで、各馬の状態をより深く推し量ることができます。馬なりで好時計を出したダノンフェアレディは特に好感が持てます。
忘れな草賞2025 主要出走馬 最終追い切り情報
| 馬名 | 日付 | コース | 時計 (全体) | 時計 (終い) | 追われ方 | 評価 | コメント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ダノンフェアレディ | 4/10(木) | 栗坂 | 53.6 | 12.2 | 馬也 | B | キビキビ動く、状態良好 |
| メイショウピリカ | 4/9(水) | 栗坂 | 53.9 | 12.3 | 強め | B | 併入先着、攻め馬良化 |
| ロヴィーサ | 4/9(水) | 栗CW | 85.2 (6F) | 11.5 | 一杯 | B | 終い鋭伸、気配上昇 |
| ノクターン | – | – | – | – | – | – | 美浦所属、最終追い切り未確認 |
| サヴォンリンナ | – | – | – | – | – | – | 追い切り情報未確認 |
| プリンセッサ | – | – | – | – | – | – | 追い切り情報未確認 |
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(データ出典: 。未確認の馬については情報が入り次第更新)
これまでの分析(過去傾向、血統、ローテーション、コース適性、追い切り)を踏まえ、今年の出走予定馬を個別に評価します。オッズは4月11日午前7時台のものを参考にしています 。
オッズが示す通り 、ノクターンとダノンフェアレディの2頭が中心と見られていますが、ノクターンには休み明け、ダノンフェアレディには前走敗退という不安要素も存在します。一方で、サヴォンリンナやプリンセッサは、それぞれ異なる魅力と勢いを持っており、上位2頭が取りこぼすようなら、十分にチャンスがあるでしょう。馬券的には、上位人気馬の信頼度を見極めつつ、中位人気の馬の評価をどうするかがポイントとなりそうです。
忘れな草賞2025の予想に向けて、様々な角度から分析を行ってきました。最後に、重要なポイントを再確認し、最終的な結論へと繋げます。
これらの分析を踏まえ、各出走馬の能力、適性、状態、そして展開利などを総合的に判断しました。果たして、どの馬が樫の舞台・オークスへ向けて力強く名乗りを上げるのでしょうか?
注目の最終的な予想印、そして具体的な買い目の結論につきましては、以下のリンクからプロの最終結論をご確認ください!