2025年4月5日にシドニーのランドウィックレース場で行われた100万豪ドルのグループ1レース「インリススタリオンプロデュース(英傑ステークス)」で、マット・ローリー調教師のヴィンロック(Vinrock)がマーク・ザーラ騎手の見事な騎乗により接戦を制し勝利を収めました。
レース結果
馬番馬 名騎 手斤量着差(馬身)単勝倍率3Vinrock(ヴィンロック)M・ザーラ56.5キロ1:22.823.45State Visit(ステートヴィジット)J・コレット56.5キロアタマ18.06Buffalo(バッファロー)Z・パートン56.5キロ短頭18.02Wodeton(ウデトン)R・ムーア56.5キロクビ3.51Rivellino(リヴェリノ)H・ボウマン56.5キロ短頭4.210Bellazaine(ベラザイン)T・クラーク54.5キロ0.7511.09Federalist(フェデラリスト)N・ローウィラー56.5キロ0.7526.04Prestige Forever(プレステージフォーエバー)J・モット56.5キロ短首14.08Navy Pilot(ネイヴィーパイロット)Z・ロイド56.5キロクビ51.07Nordic Viking(ノーディックヴァイキング)C・ウィリアムズ56.5キロ6.7551.0
レースの概要
インリススタリオンプロデュースステークス(英傑ステークス)は、オーストラリアの二歳馬三冠の中間レースとして位置づけられる権威ある競走です。1867年に初めて開催されたこのレースは、1400メートルの距離で行われ、ゴールデンスリッパーステークス(1200m)とシャンペンステークス(1600m)と合わせてオーストラリアの二歳馬三冠を構成しています。
今年のレースでは、10頭の二歳馬が出走し、予想では前走ゴールデンスリッパーで2着だったクリス・ウォーラー調教師のウデトン(Wodeton)が3.5倍の2番人気でした。一方、ヴィンロックは3.4倍の1番人気として出走しました。
レースの展開
1番ゲートからスタートしたヴィンロックは、優れた位置取りでレースを進め、最終コーナーを回った際に、外から迫るステートヴィジット(State Visit)とバッファロー(Buffalo)と接戦を演じました。ゴール前で僅差の争いとなりましたが、マーク・ザーラ騎手の巧みな騎乗によりヴィンロックがアタマ差でステートヴィジットを振り切り優勝しました。
優勝馬ヴィンロックについて
ヴィンロックは、オーストラリアを代表する種牡馬アイアムインヴィンシブル(I Am Invincible)を父に持ち、母はルドゥーツチョイス(Redoute’s Choice)の娘ガールゴーンロッキン(Girl Gone Rockin’)という優れた血統の持ち主です。
ローズモントスタッドで生産されたヴィンロックは、2024年のイングリスプレミアイヤリングセールでマット・ローリーレーシングが30万豪ドルで購入しました。デビューしたばかりの二歳馬ながら、3戦全勝という素晴らしい成績を残しています。
2月20日にパケナムでデビュー勝ちを飾った後、3月8日にはフレミントンで行われたグループ2 VRCスタリオンプロデュースステークスを2馬身差で快勝。そして今回のグループ1のインリススタリオンプロデュースステークスで重賞連勝となり、キャリア無敗を維持する素晴らしい活躍を見せています。
ヴィンロックの血統
ヴィンロックの父、アイアムインヴィンシブルは2004年9月21日生まれのオーストラリア産の競走馬で、現在はオーストラリアを代表する種牡馬として活躍しています。2021/22年、2022/23年、2023/24年とオーストラリアのリーディングサイアー(種牡馬ランキング1位)に輝いており、16頭のグループ1勝ち馬を輩出しています。
母のガールゴーンロッキンは、オーストラリアの名種牡馬ルドゥーツチョイスの産駒で、2013年にフレミントンで行われたグループ2のモメンタムエナジーステークス(2000m)を勝利しています。ローズモントスタッドが2010年のニュージーランドのセールで38万ニュージーランドドル(約33万4500豪ドル)で購入した高価な繁殖牝馬でした。
この優れた両親から生まれたヴィンロックは、スピードと持久力を兼ね備えた素質の高い二歳馬として、今後も活躍が期待されています。
騎手マーク・ザーラについて
勝利を導いた騎手のマーク・ザーラは、1982年5月19日生まれのオーストラリアの騎手です。西オーストラリアでキャリアをスタートさせ、2022年にはゴールドトリップで、2023年にはウィズアウトアファイトでメルボルンカップを連覇するという偉業を達成しました。メルボルンカップ163年の歴史の中で、連覇を達成した騎手はわずか9人目という快挙です。
ザーラの初のグループ1勝利は2006年のドゥームベンカップでのアバブデッキでした。2023年12月までに1,359勝を挙げ、そのうち28勝がグループ1レースでの勝利です。今回のヴィンロック騎乗は、彼の豊富な経験と技術が活かされた見事な騎乗でした。
今後の展望
三戦三勝と無敗を誇るヴィンロックは、次戦でオーストラリアの二歳馬三冠の最終レースとなるシャンペンステークス(1600m)への出走が検討されています。距離が1600mに延びるため新たな挑戦となりますが、今回の1400mのレースでも十分な余力を見せており、期待が高まります。
マット・ローリー調教師は「彼はスピードがあり、ゲートを出るとすぐに良いポジションに付けます。オーバーペースにならず、脚を使うタイミングを心得ています。パケナムの広いコースでもフレミントンでも好走しました。とても頑丈な馬で、デビュー戦でプレッシャーがかかっても素晴らしい反応を見せ、今日は更にレベルアップしました」とコメントしています。
ザーラ騎手も「二歳馬として乗りやすい夢のような馬です。ゲートからはややもたついた出だしでしたが、大きな問題ではありませんでした。彼はほとんど汗もかいていません」と語り、ヴィンロックの将来性を高く評価しています。
オーストラリアの競馬ファンは、この新星ヴィンロックの今後の活躍に大いに期待しています。
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