Surround Stakes (Group 1) は、シドニーのランドウィック競馬場で毎年開催される格式高いレースです。3歳牝馬限定で1400メートルの距離を争うこのレースは、1979年にGroup 3として創設され、その後1986年にGroup 2へ、そして2018年にGroup 1の地位を獲得するなど、年々格が上がってきています。レース名称は、1976-77年にオーストラリアのレースホース・オブ・ザ・イヤーに輝き、W.S. Cox Plateを制した唯一の3歳牝馬「サラウンド」に因んでいます。
Surround Stakesの歴史
Surround Stakesは、長い歴史と数々の名牝たちによってその威信を築いてきました。ランドウィックやワリックファームで開催されるこのレースは、Coolmore ClassicやVinery Stud Stakesなど、後に国内外の大レースへと羽ばたく才能ある牝馬たちの登竜門としても知られています。
開催地は本来ワリックファームで、Chipping Norton Stakesプログラムの一環として行われていましたが、様々な事情(1980年、1981年、2001年、2008年、2009年、そして2016年~2021年のトラック移動など)により、ランドウィックで行われることもありました。
これまでの歴史の中で、以下のような名牝たちがSurround Stakesの舞台で輝いてきました:
- インピード(1979年)
初代勝者であり、Vinery Stud Stakesも制覇。多彩な実績を誇る。 - ロイヤルレジータ(1983年)
ニュージーランド産牝馬の質の高さを示す一頭。 - マチキータ(1986年)
Group 2昇格後初の勝者。 - カプティヴァーン(1987年)
- ジュディアン(1988年)
後にAustralian Oaksも制するスタミナ派。 - グレンビュー(1989年)
ニュージーランドからの逸材。 - レッツハリー(1991年)
- シェイム(1996年)
- ダッシングイーグル(1997年)
母馬「ラカイシエール」(1984年勝者)との血統が注目される。 - サバンナサクセス(1999年)
Surround StakesとVinery Stud Stakesのダブル制覇を達成(インピード以来)。 - ロッテリア(2005年)
後にFlight Stakesも勝利し、多彩な才能を示す。 - ストリーマ(2012年)
Australian Oaksも制し、希少なダブル制覇に輝く。 - ディアデミ(2013年)
- ファースト・シール(2015年)
その後、Doncaster Handicapで僅差の2着に入るなど、実力を証明。 - ショールズ(2018年)
Group 1昇格後初の勝者。後にSangster Stakesも制覇。 - プロバビール(2020年)
後にEpsom Handicapを制し、最高峰での競争力を示す。 - トロピカルスクォール(2024年)
Flight Stakes勝利に加え、Surround Stakesでも優れたパフォーマンスを披露。
Surround Stakesの意義
Surround Stakesは、シドニー・オータムカーニバルにおいて、3歳牝馬が実力を示すための非常に重要なレースです。国内で7つしかない牝馬専用のGroup 1レースのひとつとして、勝利は将来の繁殖牝馬としての価値向上にも直結します。また、同日開催されるGroup 1のVerry Elleegant Stakesとの共演により、牝馬レースの魅力が一層引き立てられ、ファンや関係者にとって見逃せない一日となっています。
2025年Surround Stakesレース結果分析
2025年のSurround Stakesは、期待と興奮が入り混じる中、最後までハラハラさせる接戦となりました。レースでは、ジェームズ・マクドナルド騎手が騎乗するレディシェナンドーが、レディオブ・キャメロットとの僅かな差(ショートネック)で勝利を収めました。以下にレース結果の概要表を示します。
馬番 | 馬名 | 騎手 | ウエイト | タイム/差(例) | 単勝比率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | レディシェナンドー | J. McDonald | 56 kg | 1:20.56 | 1.3 |
2 | レディオブキャメロット | T. Clark | 56 kg | ショートネック | 9.5 |
7 | ラズーラ | T. Berry | 56 kg | 2.5 | 26.0 |
6 | ライラック | T. Schiller | 56 kg | 0.5 | 21.0 |
3 | マナール | J. Collett | 56 kg | ショートネック | 21.0 |
11 | デクリシーブールバード | N. Rawiller | 56 kg | Atama | 31.0 |
13 | ドミネッタ | A. Hyeronimus | 56 kg | ショートネック | 61.0 |
8 | モア・テリトリーズ | R. Whelan | 56 kg | 0.5 | 31.0 |
12 | ハスク | J. Ford | 56 kg | 1 | 61.0 |
9 | アメリタ | R. Jones | 56 kg | Atama | 41.0 |
14 | アイドルフライヤー | A. Morgan | 56 kg | ショートヘッド | 101.0 |
5 | パワーズオブオパール | K. McEvoy | 56 kg | sacked | 51.0 |
10 | カスターニャ | J. Parr | 56 kg | Ata | 81.0 |
15 | アイランド・デック | R. Bayliss | 56 kg | 1.5 | 81.0 |
主な分析ポイント:
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レディシェナンドーの実力:
前走のLight Fingers Stakesでの圧倒的な走りから、今回のSurround Stakesでもそのクラスの高さを示し、最後まで粘り勝利を収めました。 -
レディオブキャメロットの奮闘:
初めての1400m挑戦ながらも、レディ・シェナンドーに迫る走りを見せ、今後の長距離レース(Coolmore Classicなど)での可能性が示唆されます。 -
ラズーラの安定感:
2歳時代以来、連続して好成績を収めるラズーラは、実力ある牝馬の一頭として、トップ馬に次ぐ存在感を発揮しました。 -
ライラックの先行力:
レース序盤で良いペースを作り出したものの、持続力に欠け、最終的には4着に終わりました。
さらに、マナール、デクリシー・ブールバード、ドミネッタ、モア・テリトリーズ、ハスク、アメリタもそれぞれ今後のレースで成長が期待される要素を示しており、注目すべき存在となっています。
また、レース後のニュース記事やブログでは、レディ・シェナンドーの将来性、レディ・オブ・キャメロットの距離適性、そして騎手タイラー・シラーの台頭が高く評価され、今後の展開に期待が寄せられています。
結論
Surround Stakes (Group 1) は、オーストラリア競馬界における3歳牝馬レースの中でも特に注目される一戦です。その歴史、名牝たちの輝かしい足跡、そして最新のレース結果は、今後の牝馬たちのキャリアに大きな影響を与えることは間違いありません。2025年のレースでは、レディ・シェナンドーがその才能を見事に示し、次世代のスター候補としての地位を確固たるものにしました。これからもSurround Stakesは、多くの才能ある牝馬たちの夢と努力が交錯する、競馬ファン必見の舞台であり続けるでしょう。