シングスピールステークス (G2)
ドバイワールドカップカーニバルのハイライトの一つ、シングスピールステークス (G2)。このレースは、1月にメイダン競馬場で開催される芝1800メートル (9ハロン) の競馬で、ドバイターフ (G1) への重要な前哨戦として位置付けられています。2014年にリステッドレースとして創設され、2018年にG3に、そして2020年にはG2に昇格しました 。レース名は、1996年にウッドバイン競馬場のカナディアンインターナショナルステークスを制した名馬シングスピールにちなんで名付けられました。シングスピールは、カナダ競馬殿堂入りを果たした牝馬グロリアスソングの息子であり、その血統と功績から、ドバイのこのレースにその名が冠せられることになりました。
シングスピールステークスは、ドバイワールドカップカーニバルの主要レースの一つとして、ドバイターフ (G1) への「win and you’re in」レースとして、優勝馬にドバイターフへの優先出走権が与えられます 。賞金総額は140万UAEディルハム (約5億6千万円) で、ドバイワールドカップデーでの活躍を占う上で重要な指標となるため 、多くの有力馬が出走し、激しいレースが繰り広げられます。
レースの歴史
シングスピールステークスは、比較的新しいレースですが、すでに多くの名馬がその栄冠を手にしています。過去10年間の優勝馬を以下に示します 。
年 | 優勝馬 | 年齢 | 騎手 | 調教師 | 馬主 | タイム |
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2014 | Mushreq | 5 | Paul Hanagan | Mike de Kock | Hamdan Al Maktoum | 1:50.32 |
2015 | True Story | 4 | James Doyle | Saeed bin Suroor | Godolphin | 1:48.79 |
2016 | More Aspen | 5 | Richard Mullen | Satish Seemar | Mohamed Albousi Alghufli | 1:49.80 |
2017 | Light the Lights | 5 | Christophe Soumillon | Mike de Kock | Mohammed bin Khalifa Al Maktoum | 1:48.12 |
2018 | Benbatl | 4 | Oisin Murphy | Saeed bin Suroor | Godolphin | 1:46.99 |
2019 | Dream Castle | 5 | Christophe Soumillon | Saeed bin Suroor | Godolphin | 1:49.40 |
2020 | Benbatl | 6 | Christophe Soumillon | Saeed bin Suroor | Godolphin | 1:52.18 |
2021 | Lord Glitters | 8 | Adrie de Vries | David O’Meara | Geoff & Sandra Turnbull | 1:46.82 |
2022 | Lord Glitters | 9 | Daniel Tudhope | David O’Meara | Geoff & Sandra Turnbull | 1:48.77 |
2023 | Valiant Prince | 9 | James Doyle | Charlie Appleby | Godolphin | 1:46.82 |
2024 | Naval Power | 4 | Mickael Barzalona | Charlie Appleby | Godolphin | 1:48.57 |
BenbatlとLord Glittersは、このレースを2勝しており、特にLord Glittersは8歳と9歳で連覇を達成するという偉業を成し遂げています。また、Saeed bin Suroor調教師は4勝、Godolphinは馬主として5勝を挙げており 、このレースにおける彼らの強さが際立っています。
シングスピールステークスの重要性
シングスピールステークスは、ドバイターフ (G1) への重要な前哨戦としての役割を担っています。ドバイターフは、ドバイワールドカップデーに開催される芝1800メートルのG1競走で、世界中からトップクラスの馬が集結するレースです。シングスピールステークスで好走した馬は、ドバイターフでも活躍が期待されるため、多くの関係者から注目を集めます。
また、シングスピールステークスは、ドバイワールドカップカーニバル全体の盛り上がりを左右する重要なレースの一つです。ドバイワールドカップカーニバルは、1月から3月にかけてメイダン競馬場で開催される国際的な競馬の祭典で、世界中からトップクラスの馬や騎手、調教師が集結します。シングスピールステークスは、その中でも特に注目度の高いレースの一つであり、カーニバルのハイライトを演出する役割を担っています。
2025年のシングスピールステークス
2025年のシングスピールステークスは、3月1日にメイダン競馬場で開催されました。出走馬は8頭で、Dolayliが出走取消となりました 。レースは、Cairoが先頭に立ち、Nations Prideが2番手につける展開で進み、最終的にNations Prideが優勝しました 。勝ちタイムは1分47秒24で、これは平均タイムより0.66秒速いタイムでした 。レース結果は以下の通りです 。
着順 | 馬番 | 馬名 | 騎手 | 単勝オッズ |
---|---|---|---|---|
1着 | 7 | Nations Pride | W. Buick | 11/4 |
2着 | 6 | Holloway Boy | D. Tadhope | 9/2 |
3着 | 4 | First Conquest | M. Barzalona | 10/11f |
4着 | 8 | Sean | S. Osborne | 28/1 |
5着 | 5 | Galen | D. McMonagle | 12/1 |
6着 | 1 | Cairo | S. De Sousa | 25/1 |
7着 | 3 | Elnajmm | R. Dawson | 40/1 |
8着 | 9 | Stormy Ocean | C. Beasley | 66/1 |
優勝馬Nations Prideの馬主はGodolphin、ブリーダーもGodolphinです。2着馬Holloway Boyの馬主はNick White & Mrs E Burkeです。3着馬First Conquestの馬主はGodolphinです 。このレースのトータル単勝支持率は118%でした 。
出走馬分析
Nations Pride (7番)
アイルランド産の6歳牡馬で、チャーリー・アップルビー厩舎に所属しています 。父はTeofilo、母はImportant Timeです。獲得賞金は408万1197ドル (約5億7千万円) にも上ります 。G1競走を4勝しており 、ドバイワールドカップカーニバルでも実績を残しています。前走のペガサスワールドカップターフ (G1) では9着と敗れましたが、メイダン競馬場では好成績を残しており、巻き返しが期待されていました 。
Nations Prideは、近走のバハレーンとアメリカのレースで敗れていましたが、今回のシングスピールステークスでの勝利は、彼の復活を印象付けるものでした。バハレーンでは右回りのコースに苦戦し、アメリカでは輸送の影響で体調が万全ではなかったとされています 。しかし、今回は本来の力を発揮し、見事な勝利を飾りました。
Holloway Boy (6番)
イギリス産の5歳牡馬で、カール・バーク厩舎に所属しています 。父はUlysses、母はSultryです。2022年のチェシャムステークス (リステッド) で優勝していますが、その後は勝ち星から遠ざかっており、ハンデキャップ競走でも好走を続けています 。しかし、前走のジェベルハッタ (G1) では、香港の強豪ロマンティックウォリアーに次ぐ3着と好走しており、今回も上位進出が期待されていました 。
Holloway Boyは、今回も勝利こそ逃したものの、2着と健闘しました。彼はG1競走で常に上位争いを演じており、その実力は疑いようがありません 。
First Conquest (4番)
イギリス産の4歳牡馬で、チャーリー・アップルビー厩舎に所属しています 。父はTeofilo、母はPatronessです。前走のドバイミレニアムステークス (G3) で優勝しており、3連勝中と勢いに乗っています 。しかし、重賞での実績は少なく、G2のシングスピールステークスでは試金石となるレースでした 。
First Conquestは、3着と健闘しました。彼はまだ若い馬であり、今回のレースでさらなる成長を遂げることが期待されます 。
Sean (8番)
ドイツ産の8歳牡馬で、ジェイミー・オズボーン厩舎に所属しています 。父はExcelebration、母はSharinです。2023年以降は勝ち星から遠ざかっていますが、前走のハンデキャップ競走では2着と好走しており、復調の兆しを見せていました 。前年のシングスピールステークスでは13着に敗れています 。
Seanは、近走好調を維持しており、ハンデキャップ競走では2着に入るなど、力をつけてきています 。
Galen (5番)
イギリス産の4歳牡馬で、ジョセフ・オブライエン厩舎に所属しています 。父はGleneagles、母はApache Stormです。2024年には2勝を挙げていますが、ドバイワールドカップカーニバルでは苦戦しており、ハンデキャップ競走でも良い成績を残せていません 。このレースでも上位進出は難しいと見られていました 。
Cairo (1番)
アイルランド産の5歳牡馬で、アリス・ヘインズ厩舎に所属しています 。父はQuality Road、母はCuffです。前走のドバイミレニアムステークス (G3) では2着と好走しており、重賞でも通用する力を見せていました 。前年のシングスピールステークスでは6着に敗れています 。
Elnajmm (3番)
イギリス産の5歳牡馬で、ウィリアム・ハガス厩舎からマイケル・コスタ厩舎に移籍しました 。父はSea The Stars、母はMuneyraです。前走のハンデキャップ競走では5着と敗れていますが、今回は距離が延長されるため、巻き返しが期待されていました 。前年のバルモラルハンデキャップでは9着に敗れています 。
Stormy Ocean (9番)
イギリス産の6歳牡馬で、アーメド・ビン・ハルマッシュ厩舎に所属しています 。父はFrankel、母はAs Good As Goldです。前走のハンデキャップ競走では3着と好走しており、このレースでも穴馬として注目されていました 。前年のジェベルアリステークスでは7着に敗れています 。また、昨年12月にアブダビで勝利を収めています 。
騎手分析
William Buick
イギリスを拠点とする騎手で、ジョン・ゴスデン厩舎の主戦騎手を務めています 。2022年と2023年にはイギリスの平地競走でリーディングジョッキーに輝いています 。メイダン競馬場では多くの勝利を収めており、その中にはドバイシーマクラシックでの5勝も含まれます 。
Daniel Tudhope
スコットランド出身の騎手で、デービッド・オメーラ厩舎の主戦騎手を務めています 。2014年にはG1競走を2勝しています。メイダン競馬場では、過去12ヶ月で1勝を挙げています 。
Mickael Barzalona
フランス出身の騎手で、2011年のエプソムダービーをPour Moiで制しています 。メイダン競馬場では、最近G2競走で勝利を収めています 。
Saffie Osborne
イギリス出身の女性騎手で、2022年のレーシングリーグでリーディングジョッキーに輝いています 。彼女は、メイダン競馬場で勝利した初の女性騎手となりました 。最近では、リングフィールド競馬場で勝利を収めています 。
Dylan McMonagle
アイルランド出身の騎手で、2021年のアイルランドの見習騎手チャンピオンに輝いています 。彼は、ポニーレースで218勝を挙げ、2度の全国チャンピオンに輝いた経験を持つ実力派です 。最近ではG3競走で勝利を収めています 。
Silvestre De Sousa
ブラジル出身の騎手で、イギリスを拠点に活躍しています 。2015年、2017年、2018年にはイギリスの平地競走でリーディングジョッキーに輝いています。最近では、ケンプトン競馬場で勝利を収めています 。
Ray Dawson
イギリス出身の騎手です 。彼は、最近G1競走で初勝利を挙げました 。また、ウルヴァーハンプトン競馬場での成績が良好です 。
Connor Beasley
イギリス出身の騎手です 。彼は、リヤド競馬場でG1競走を制しています 。
レース展開と結果
レースは、Cairoが先頭に立ち、Nations Prideが2番手、Galenが3番手という展開で進みました 。Holloway Boyは中団、First Conquestは後方からレースを進めました。最後の直線に入ると、Nations PrideがCairoを交わして先頭に立ち、そのまま押し切りました。2着にはHolloway Boy、3着にはFirst Conquestが入りました。
Nations Prideは、道中2番手追走から、最後の直線で力強く抜け出し、見事な勝利を飾りました。彼は、近走の不振を払拭し、ドバイターフに向けて弾みをつけました。
専門家の意見と予想
レース前には、Nations Prideが有力視されていました 。Charlie Appleby調教師は、「Nations Prideは状態が良く、このレースを勝つ自信がある」と語っていました 。William Buick騎手も、「Nations Prideは非常に安定しており、 uncomplicatedな馬だ。彼を愛しているし、彼はいつも期待に応えてくれる」と語っていました 。
専門家の中には、Nations Prideの復活に懐疑的な意見もありましたが 、彼は見事なパフォーマンスで doubterたちを silenceさせました。
また、First Conquestは、まだ若い馬ながら、今後の成長が期待されるという意見もありました 。
予想
予想では、First Conquestが1番人気、Nations Prideが2番人気、Holloway Boyが3番人気とされていました 。
結論
2025年のシングスピールステークスは、Nations Prideが優勝しました。彼はドバイワールドカップカーニバルでの強さを改めて証明し、ドバイターフに向けても期待が高まります。Holloway BoyとFirst Conquestも好走し、今後の活躍が期待されます。
今後の展望
シングスピールステークスは、ドバイターフ (G1) への重要な前哨戦であるため、このレースの結果は、ドバイワールドカップデーでのレース展開に大きな影響を与える可能性があります。Nations Prideは、ドバイターフでも有力候補の一角となるでしょう。
また、シングスピールステークスは、ドバイワールドカップカーニバルの盛り上がりをさらに高める重要なレースの一つです。今後も、世界中から有力馬が集結し、エキサイティングなレースが繰り広げられることが期待されます。