2025年中山記念(GII)有力馬詳細予想
レース概要
**第99回中山記念(GII)**は2025年3月2日(日)に中山競馬場芝1800m(内回り)で行われます。4歳以上の古馬による春の中距離重賞で、優勝馬には大阪杯への優先出走権が与えられる重要な一戦です。中山芝1800mはスタートから第1コーナーまでの距離が短く先行争いが激化しやすいコース形態で、最後の直線は短いものの急坂が待ち受けるため、スピードとパワーのバランスが要求されます。過去の中山記念では、先行力のある馬が粘り込むケースもあれば、坂を利して差し馬が台頭する場面も見られ、展開次第で結果が大きく左右される傾向です。近年の勝ち馬には、逃げ切り勝ちのパンサラッサ(2022年)や、差し切りを決めたヒシイグアス(2023年)など多彩なタイプが名を連ねています。伝統の一戦を制するのはどの馬か、出走予定の有力馬を以下に詳しく分析します。
有力馬分析
シックスペンス(牡4)
昨年の春にスプリングステークスを無傷の3連勝で制し、秋には古馬との初対戦となった毎日王冠も勝利した実力馬です。ディープインパクト産駒のキズナを父に持ち、母フィンレイズラッキーチャーム譲りの切れ味が武器。クラシック戦線ではスプリングS制覇後に皐月賞を見送り日本ダービーに直行しましたが、ダービーは折り合いを欠き9着と初黒星を喫しました。その後は夏場を休養に充て、秋初戦の毎日王冠で古馬を相手に勝利し重賞2勝目をマーク。蹄の不安で年末は自重しましたが、明け4歳の始動戦としてここを選択。中山芝1800mは昨春に重賞勝ちを収めた舞台で適性は証明済みです。先行しても良し差しても良しの自在性があり、休み明けでも仕上がりは良好と伝えられています。鞍上は主戦のC.ルメール騎手が予定されており、陣営もここは負けられない一戦と位置付けているでしょう。
リフレーミング(牡7)
昨年夏の小倉記念で待望の重賞初制覇を果たした上がり馬です。父キングヘイロー譲りの先行力と渋太さが持ち味で、古馬になって力をつけてきました。2歳時に萩ステークスを勝つなど早くから頭角を現しましたが、その後は勝ちきれない競馬が続き、本格化は6歳を過ぎてから。昨年は小倉記念優勝のほか、新潟記念でも0.2秒差の4着に健闘し、GII戦線でも通用する下地を見せました。通算戦績は豊富で、折り合いにも進境がありタフな展開は望むところ。調教師の鮫島一歩師は今週末で定年引退を迎えるため、管理馬として最後の重賞参戦となる本馬に期するところも大きいはずです。スタミナを要する展開になれば浮上の余地があり、侮れない存在です。
ボーンディスウェイ(牡6)
クラシックでは一昨年の皐月賞や日本ダービーにも出走した素質馬。父ハーツクライ譲りの持久力が武器で、中距離戦線で渋太い競馬を続けています。重賞制覇こそまだありませんが、オープン入り後は各重賞で善戦を重ねており、昨年は福島民報杯2着、目黒記念6着、鳴尾記念7着と掲示板に顔を出しました。今年は年明けの中山金杯から始動し、勝ち馬と0.2秒差の僅差4着とまずまずの滑り出しを見せています。近走は行きっぷりが良くなっており、レースでは先手を主張する場面も増えています。今回も同型との兼ね合いは課題ですが、自分のペースで運べればしぶとさを発揮するでしょう。鞍上は木幡巧也騎手が予定され、思い切った逃げや早めスパートで新味を引き出す可能性もあります。展開利を得られれば一発の魅力があります。
エコロヴァルツ(牡4)
昨年のクラシック戦線を皆勤した上昇株。父ブラックタイド×母プティプランセスという血統で、半兄に重賞勝ち馬エコロアレスがいる良血です。3歳時は皐月賞(13着)、日本ダービー(凡走)と大舞台では結果を残せなかったものの、秋初戦のセントライト記念で3着に入り菊花賞への優先出走権を獲得。長距離の菊花賞本番でも見せ場十分の8着と健闘しました。その後は条件を芝1800〜2000m前後に戻し、年末のディセンバーS(L)では古馬相手に見事1着切れよりも持久力タイプで、中山芝1800mのタフな流れは歓迎材料です。今回はM.デムーロ騎手との新コンビで挑む予定。折り合い面に課題は残るものの、自分の形に持ち込めればしぶとく粘り込む可能性があります。古馬相手の重賞でも十分戦えるだけの下地が整ってきた印象で、要注意の存在です。
タイムトゥヘヴン(牡7)
一昨年の**ダービー卿チャレンジトロフィー(GIII)**を制した実力馬です。父ロードカナロア譲りのスピードに、母キストゥヘヴン(2006年桜花賞馬)の血統背景から末脚の切れも備えています。マイル戦を中心にキャリアを積み重ね、2022年の重賞勝利以降も京成杯AH2着(2022年)など安定してオープンクラスで活躍してきました。近走は勝ち星から遠ざかっていますが、前走のキャピタルSでは上がり最速の脚で追い込み僅差の5着と復調気配を見せました。今回は得意の中山コースとはいえ初の芝1800m挑戦で距離克服がテーマとなります。田辺裕信騎手とのコンビで道中リズム良く立ち回れれば、持ち味の末脚を生かせるはず。展開が嵌まれば一気の差し切りシーンも期待できます。
カラテ(牡9)
キャリア豊富なベテランの実力馬で、重賞3勝を誇ります。2016年生まれの9歳となりましたが衰えは見られず、昨年は新潟大賞典を斤量59kgながら制するなど健在ぶりを発揮しました。中山コースとの相性も抜群で、オープン特別のニューイヤーステークスを勝ち、2022年の中山記念ではパンサラッサの2着と好走しています。父トゥザグローリー譲りのパワーと勝負根性が持ち味で、道悪やタフな流れでも崩れません。ただし近走は斤量や展開に苦しみ、前走の東京新聞杯(GIII)は見せ場なく16着と大敗。今回は定量戦で斤量が57kgに減る点は好材料ですが、高齢馬ゆえ大きな上積みは見込みづらいところです。それでも近年の実績上位は明らかで、侮れない存在感があります。菅原明良騎手とのコンビで得意の中山で一変を狙います。
メイショウチタン(牡8)
芝1400〜1600mで堅実な走りを続けるスピード型の馬。父ロードカナロア×母父マイネルラヴという配合どおり、生粋のマイラーです。昨秋のキャピタルステークス(L)で2着に入ると、今年に入ってからは京都金杯(中京開催)7着、続く東京新聞杯では勝ち馬と0.2秒差の3着と健闘しており、8歳でも衰えを感じさせません。直線平坦コースでの好走歴が多く、小回りの中山コース1800mへの距離延長が課題となります。同型の先行馬との兼ね合いも鍵になりますが、吉田豊騎手の手綱で折り合って運べれば粘り込みも可能です。重賞タイトルこそありませんが実績ある古馬の底力に期待がかかります。
ソウルラッシュ(牡7)
昨年の**マイルチャンピオンシップ(GI)**覇者であり、現役屈指のマイラーです。他にも2022年と2024年のマイラーズカップを制し、重賞3勝を挙げています。父ルーラーシップ譲りのパワーと、母エターナルブーケ(母父マンハッタンカフェ)のスタミナ血統を併せ持ち、マイル戦では豪快な差し脚を武器にトップクラスの地位を築きました。昨秋のマイルCS制覇後は放牧に出され、この中山記念が始動戦となります。芝1800mへの距離延長は未知数ですが、重賞初挑戦だった昨年の中山記念(1600mからの延長)で0.3秒差4着に善戦しており、コースへの適性自体は示しています(※参考:同舞台の2023年中山記念)。今回は実績最上位でトップハンデもなく、能力全開なら一気の突き抜けも十分。ただし開幕週の内回りコースや久々の実戦がどう出るかがカギです。主戦のJ.モレイラ騎手が騎乗予定で、仕上がり次第では格の違いを見せる可能性があります。
マテンロウスカイ(セ6)
昨年の中山記念を制したディフェンディングチャンピオンです。父モーリス×母レッドラヴィータ(母父スペシャルウィーク)という血統背景で、3歳時には毎日杯3着など素質を示しつつも去勢手術を経て心身の成長を促しました。セン馬となって以降、本格化し始めた昨年のこのレースでは、道中中団から鋭い差し脚を繰り出して重賞初制覇を飾っています。以降は大阪杯や札幌記念など格上のGII・GIに挑戦し善戦。特に昨夏の札幌記念では3着と健闘しており、GIIなら力は見劣りしません。今年は東京新聞杯(GIII)5着からのローテーションで、一度使われて状態は上向き。中山記念連覇が懸かる今回は美浦・松永幹夫厩舎も仕上げに力が入るでしょう。昨年と同じ三浦皇成騎手とのコンビで、舞台適性を武器にタイトル防衛を狙います。
アルナシーム(牡6)
ここにきて充実一途の上がり馬です。2歳時には朝日杯FSで4着に食い込むなど早くから才能を見せていましたが、本格化したのは古馬になってから。昨年夏の中京記念で重賞初制覇を飾り、今年初戦の中山金杯も差し切り勝ちで重賞2連勝を達成しました。父モーリス譲りのパワフルな走りが持ち味で、母ジュベルアリ(父ディープインパクト)はGI馬アルアインの全妹という良血。切れる脚というより長くいい脚を使うタイプで、中山の急坂も苦にしません。前走の中山金杯では鋭い末脚で一気に差し切っており、藤岡佑介騎手も「いい状態で臨めそう」と手応えを掴んでいます。重賞連勝中の勢いは無視できず、ここでも有力な存在です。勝てばGI大阪杯への視界も開けるだけに、メンバー中唯一の重賞連勝馬として注目が集まります。
グランディア(セ6)
重賞タイトルこそありませんが、オープンクラスで堅実な走りを見せるノーザンファーム生産の良血馬です。父ハービンジャー譲りの持久力を武器に、昨夏の函館記念では勝ち馬に肉薄する2着と健闘しました。その後もオープン特別戦で安定した走りを続け、前走のオクトーバーステークス(L)でも4着と崩れません。母ディアデラノビアは重賞3勝の名牝で半兄に重賞馬ディアデラマドレがいる血統背景から、元々素質は高く評価されていました。長く良い脚を使える反面、決め手勝負ではあと一押し足りない面が課題でしたが、去勢効果もあって精神面で成長が窺えます。三浦皇成騎手とのコンビで末脚を生かす競馬に徹すれば、展開次第で馬券圏内を狙える存在です。人気薄でも侮れないダークホースでしょう。
ボッケリーニ(牡9)
本レース史上最高齢Vに挑むベテラン実力馬です。重賞はこれまでに中日新聞杯(2020年)、目黒記念(2022年)、鳴尾記念(2023年)と3勝を挙げています。全31戦中27戦で掲示板内という安定感を誇り、常に堅実に力を発揮してきました。父キングカメハメハ譲りの万能型で距離融通が利き、昨年も札幌記念3着、AJCC2着とGII戦線で健闘しています。中山芝1800mはやや忙しい印象もありますが、3走前のチャレンジカップ(阪神芝1800m)でも4着と大崩れせず走っており対応可能でしょう。むしろ平均ペース以上に流れて持久戦になれば持ち前の底力が活きて浮上してきます。池江泰寿厩舎にとっては同世代のカラテと並ぶ9歳馬で、「史上最高齢制覇」の記録がかかる点も話題です。近走の内容からまだ衰えは感じられず、横山和生騎手との新コンビで悲願の重賞4勝目を狙います。
グラティアス(牡7)
3歳時に**京成杯(GIII)**を制した実力馬です。その後のクラシックでは皐月賞7着、日本ダービー13着と思うような結果を残せませんでしたが、古馬になってからも重賞戦線で奮闘しています。昨年は新潟記念やチャレンジCなどで見せ場を作り、オープン特別の小倉日経OPでは2番人気に支持されるなど評価は高いままです。父ハーツクライ譲りの持続力に優れた末脚が武器で、速い上がりの勝負になると分が悪いものの、スタミナを要する流れになれば浮上します。前走の小倉日経賞は7着に終わりましたが、展開がハマらなかった印象です。中山1800mは京成杯を制した舞台であり、コース適性は証明済み。安田翔伍調教師の管理馬として初年度から期待を背負ってきた一頭だけに、ここで復活の走りを見せたいところです。今回は石橋脩騎手との新たなコンビで臨み、かつての輝きを取り戻す走りに期待がかかります。
パラレルヴィジョン(牡6)
昨年の**ダービー卿チャレンジトロフィー(GIII)**の勝ち馬で、重賞ウイナーの仲間入りを果たした良血馬です。父キズナ、母アールブリュット(その父Makfi)という血統で、馬主はキャロットファーム。デビューから2連勝で注目を集め、一時はクラシック候補とも目されました。右前脚の不安で長期休養も経験しましたが、復帰後は順調に使われ昨春に重賞初制覇。続く関屋記念や富士Sでは結果を出せなかったものの、年明け初戦の中山金杯では6着とまずまずの走り。中山コースは重賞制覇の舞台で適性が高く、緩急のある展開も得意です。切れるというよりは長くいい脚を使うタイプで、先行勢がばらけるような展開なら浮上してくるでしょう。国枝栄調教師にとって思い入れの強い一頭であり、引退を見据えたローテーションの中でここも勝負気配。引き続き大野拓弥騎手が手綱を取り、再度の重賞制覇を狙います。
サイルーン(セ6)
名牝ノースフライトを祖母に持つ良血馬で、戦績15戦4勝の堀宣行厩舎の期待馬です。父ディープインパクト×母ハウオリ(その父キングカメハメハ)という配合から切れ味とパワーを兼備し、去勢を経て精神面の成長も伺えます。重賞勝ちはまだありませんが、昨夏のエプソムカップ(GIII)では4着と健闘し、重賞でも通用する素質を示しました。その後は軽い脚元の不安もあってか実戦から遠ざかっていましたが、しっかり立て直されて今回が久々のレースとなります。仕上がり途上でも能力の高さはメンバー随一との評価もあり、調教では破格の時計を記録したとの情報もあります。金子真人オーナーゆかりの血統で、中山記念制覇となれば祖母ノースフライト以来の「一族悲願の重賞制覇」となります。当日の気配には要注意です。
クルゼイロドスル(牡5)
ポルトガル語で「南十字星」を意味する名を持つゴドルフィン所有馬。父はスプリントGI馬ファインニードル、母スタリア(母父アルカセット)という血統です。デビュー当初はダート戦も経験しましたが、その後芝マイル路線で頭角を現し、昨年夏の関越ステークス(3勝クラス・芝1800m)を快勝。初重賞挑戦となった富士ステークスでは8着に敗れましたが、距離延長となった前々走の関越ステークスで結果を残しているように、マイルより長めの距離の方が持ち味を活かせる印象です。前走の中日新聞杯(芝2000m)は初の2000m戦でしたが、道中行きたがる面を見せつつも直線健闘の5着(※参考)と一定の適性を示しました。気性面に課題があり折り合いが鍵となりますが、能力そのものは高く、高橋義忠調教師も重賞でも通用すると太鼓判を押しています。今回は距離経験のある芝1800mに短縮される点はプラス材料で、自分のリズムで運べれば一発を秘める存在です。
予想と展望
今年の中山記念はフルゲート16頭と混戦模様で、展開の読みが重要になります。逃げ候補は近走積極策が目立つボーンディスウェイですが、エコロヴァルツも先手を主張しそうで、他にもタイムトゥヘヴンやメイショウチタンが好位につけたいクチです。序盤からある程度流れるミドルペースを想定し、淀みない展開になりそうです
展開利を見込めるのは、やはり先行力と持続力を兼ね備えたシックスペンスです。好位追走から早めに抜け出す競馬で重賞2勝の実績はメンバー随一で、舞台適性の高さも折り紙付き。休み明けでも仕上がりは十分で大崩れしないタイプだけに軸馬として信頼できます。一方、ソウルラッシュはGI馬の格がありますが、久々の分の仕上がりと初距離が課題です。終い確実な末脚は魅力で侮れませんが、開幕週の馬場とペース次第では届かない可能性も念頭に入れたいところです。
勢いならアルナシームも有力です。重賞連勝中の充実ぶりで展開不問の差し脚を身につけてきました
。ペースが流れれば直線外から豪快に差し切る場面も十分でしょう。同じく差し勢からは昨年の覇者マテンロウスカイにも注意が必要です。前走一叩きされて状態が上向いており、得意の舞台で復調すれば連覇の可能性もあります。
穴馬候補として浮上するのは9歳馬ボッケリーニです。近走着順こそ冴えませんが内容は悪くなく、今回のメンバー相手でも地力は引けを取りません。速めの流れでスタミナ比べになれば台頭する余地があります。また、クルゼイロドスルも未知の魅力があります。気性面の難しさはありますがハマった時の末脚は強烈で、展開が紛れれば一発を狙える存在です。
馬券戦略としては、実績上位かつ安定感のあるシックスペンスを軸に、距離克服が鍵のソウルラッシュや勢いあるアルナシームを相手本線に据えるのが妥当でしょう。さらに中山適性高いマテンロウスカイや復調気配のボッケリーニまで押さえておきたいところです。展開によって波乱の可能性もあるため、中穴勢まで広く目を配るのが得策です。
結論とまとめ
混戦模様の中山記念ですが、総合力で勝るシックスペンスを本命候補とします。前走から間隔は空いたものの調整は順調で、展開も味方しそうです。対抗には末脚堅実なアルナシームを挙げます。勢いに乗る明け6歳馬が、更なる飛躍を遂げるシーンに期待します。ソウルラッシュは実績最上位で当然有力ですが、仕上がりと距離適性を見極めつつ押さえ評価が妥当と判断しました。連下には中山巧者のマテンロウスカイと古豪ボッケリーニ、そして一発の魅力あるクルゼイロドスルを加え、計6頭を中心に馬券を組み立てます。
推奨買い目:
- 馬連: ◎シックスペンス-○アルナシーム
- 三連複: ◎シックスペンスを1頭軸に相手○アルナシーム、▲ソウルラッシュ、☆マテンロウスカイ、☆ボッケリーニ、☆クルゼイロドスルの計5頭へ流し
レース当日の馬場状態や各馬の気配にも注意し、春の中山開幕を告げる伝統の一戦を存分に楽しみましょう。各有力馬の持ち味が発揮された白熱のレース展開に期待します。参考データや血統背景も踏まえた予想を糧に、的中を目指してください。