2025年1月24日、メイダン競馬場で行われたG1アルマクトゥームチャレンジ(ダート1900m)は、T・オシェア騎手騎乗のウォークオブスターズが優勝。ダート初挑戦のファクテュールシェヴァルは3着に敗れる。
ドバイワールドカップ(G1)の前哨戦として注目を集めるG1アルマクトゥームチャレンジ。2025年は、ウォークオブスターズが帝王ダバウィ産駒のワンツーフィニッシュを決め、主役の座を奪いました。ダート初挑戦で芝ダート両G1制覇の期待がかかったファクテュールシェヴァルは3着に敗れ、波乱の展開となりました。
レースの概要
アルマクトゥームチャレンジとは?
アルマクトゥームチャレンジは、毎年1月にメイダン競馬場で開催される国際的なG1レースです。ドバイワールドカップ(G1)の前哨戦として重要な位置づけにあり、 世界中から有力馬が集結します。
1994年に創設されたこのレースは、当初はナドアルシバ競馬場で開催されていましたが、2010年にメイダン競馬場に移設されました。 2012年にG1に昇格し、ドバイワールドカップを目指す有力馬が集結するレースとして、国際的な注目度も高まっています。
サウジカップ(G1)とドバイワールドカップ(G1)のどちらに出走するかを判断する試金石となるレースという点でも、重要な意味を持つレースです。
レースの格付け: G1 距離: ダート1900m コース: 左回り 開催地: メイダン競馬場(UAE・ドバイ) 開催日時: 2025年1月24日
賞金: 1着: 2,208,000.00 AED 2着: 736,000.00 AED 3着: 368,000.00 AED 4着: 184,000.00 AED 5着: 110,400.00 AED
過去の優勝馬
年 | 優勝馬 | 騎手 | 調教師 |
---|---|---|---|
2024 | カビールカーン | P・ドブス | ダグ・ワトソン |
2023 | サルートザソルジャー | A・デフリース | ファウジ・アブドゥラ・ナス |
2022 | ハイポセティカル | M・バルザローナ | サレム・ビン・ガデイヤー |
2021 | サルートザソルジャー | A・デフリース | ファウジ・アブドゥラ・ナス |
2020 | マッターホルン | M・バルザローナ | サレム・ビン・ガデイヤー |
2019 | ケープッザーノ | M・バルザローナ | サレム・ビン・ガデイヤー |
2018 | ノースアメリカ | R・マレン | サティシュ・シーマー |
2017 | ロングリバー | M・バルザローナ | サレム・ビン・ガデイヤー |
2016 | スペシャルファイター | F・ハラ | ムサバハ・アル・ムハイリ |
2015 | アフリカンストーリー | J・ドイル | サード・ビン・スルール |
2014 | プリンスビショップ | K・ファロン | サード・ビン・スルール |
2013 | ハンターズライト | S・デソウサ | サード・ビン・スルール |
2012 | カッポーニ | A・アジュテビ | マフムード・アル・ザルーニ |
2011 | トワイスオーバー | T・クアリー | ヘンリー・セシル |
2010 | レッドデザイアー | O・ペリエ | 松永幹夫 |
2009 | アジアティックボーイ | J・ムルタ | マイク・デ kock |
2008 | ジャリル | F・デットーリ | サード・ビン・スルール |
2007 | エウタンベム | K・マカヴォイ | イスマイル・モハメド |
2006 | エレクトロキューショニスト | F・デットーリ | サード・ビン・スルール |
2005 | チキティン | M・キネーン | ジェリー・バートン |
2004 | ヴィクトリームーン | W・マーウィング | マイク・デ kock |
2003 | グランデラ | F・デットーリ | サード・ビン・スルール |
2002 | ストリートクライ | F・デットーリ | サード・ビン・スルール |
2001 | ハイトーリ | O・ペリエ | フィリップ・デメルカステル |
2000 | ドバイミレニアム | F・デットーリ | サード・ビン・スルール |
1999 | スピンドリフト | G・ハインド | サード・ビン・スルール |
1998 | ナブハン | R・ヒルズ | デビッド・モーリー |
1997 | カムタラ | F・デットーリ | サード・ビン・スルール |
1996 | タマヤズ | F・デットーリ | サード・ビン・スルール |
1995 | ドーバーストレイト | J・キャロル | ヒラル・イブラヒム |
1994 | セザンヌ | G・ハインド | ヒラル・イブラヒム |
レース結果
馬番 | 馬名 | 騎手 | 斤量 | 着差(馬身) | 単勝倍率 |
---|---|---|---|---|---|
10 | Walk of Stars(ウォークオブスターズ) | T・オシェア | 57.5キロ | – | 7/2 |
5 | Imperial Emperor(インペリアルエンペラー) | R・マレン | 57.5キロ | 2.75 | 4/1 |
3 | Facteur Cheval(ファクテュールシェヴァル) | M・バルザローナ | 57.5キロ | 4.5 | 9/2 |
8 | Qareeb(カリーブ) | S・デソウサ | 57.5キロ | 1.25 | 28/1 |
7 | Local Dynasty(ローカルダイナスティ) | W・ビュイック | 57.5キロ | 1 | 11/1 |
12 | Generous Tipper(ジェネラスティッパー) | J・ドイル | 57キロ | アタマ | 16/1 |
6 | Kabirkhan(カビールカーン) | C・デムーロ | 57.5キロ | 6.5 | 11/4f |
4 | Global Hit(グローバルヒット) | H・キム | 57.5キロ | 2.25 | 66/1 |
1 | Clapton(クラプトン) | P・ドブス | 57.5キロ | 0.5 | 28/1 |
2 | Dhahabi(ダハビ) | S・ヒッチコット | 57.5キロ | 10 | 100/1 |
9 | Saayedd(サーイード) | R・ドーソン | 57キロ | 2.75 | 40/1 |
11 | Gaassid(ガーシード) | B・コーエン | 57キロ | 中止 | 10/1 |
タイム: 1:56.21
レース展開
スタートでサーイードが勢いよく飛び出し、先頭に立ちます。ウォークオブスターズは、そのすぐ後ろの2番手につけ、好位をキープ。 一方、昨年の覇者カビールカーンは後方からの競馬を選択しました。
道中は、サーイードがハイペースでレースを引っ張り、ウォークオブスターズがそれを追走する展開が続きます。 ファクテュールシェヴァルは中団に位置取り、様子を伺っていました。
最後の直線に入ると、ウォークオブスターズが力強く抜け出し、後続を突き放しにかかります。 インペリアルエンペラーが2番手に浮上し、ファクテュールシェヴァルも追い上げてきますが、ウォークオブスターズとの差は詰まりません。
最後は、ウォークオブスターズが2馬身3/4差でインペリアルエンペラーを退け、見事な勝利を飾りました。 ファクテュールシェヴァルは、さらに2馬身1/4差遅れの3着となりました。
個別解説
1着: ウォークオブスターズ
6歳牡馬。父ダバウィ、母サウンドリフレクション、母父ストリートクライ。 昨年はゴドルフィンマイルで2着と惜敗しましたが、前走のエンティサー(L)では後続に12馬身差をつける圧勝。 今回は逃げるサーイードを見ながら2番手追走から、直線で力強く抜け出してG1初制覇を飾りました。
ウォークオブスターズは、これまで惜敗続きでしたが、前走から逃げる戦法に転換したことが功を奏しました。 今回のレースでも、持ち前のスピードを活かした先行策で、見事な勝利を収めました。
騎乗したオシェア騎手は「彼は大きく力強い馬です。素晴らしいパフォーマンスでした」とコメント。 陣営は、次走としてサウジカップ(G1)を視野に入れているようです。
2着: インペリアルエンペラー
5歳牡馬。父ダバウィ、母ズーコヴァ、母父ファストネットロック。馬主はDeva Racing。 チャーリー・アップルビー厩舎から転厩初戦。 前走はハンデ戦を勝利しており、今回はG1で2着と好走しました。
インペリアルエンペラーは、アップルビー厩舎時代は芝のレースを使われていましたが、目立った成績を残せていませんでした。しかし、シーマー厩舎に移籍してダートに転向後、2連勝。ダート適性の高さを示し、今回のアルマクトゥームチャレンジでも2着と好走しました。
3着: ファクテュールシェヴァル
6歳牡馬。父リブチェスター、母ジャウラート、母父シャマルダル。 昨年のドバイターフ(G1)の覇者。 今回はダート初挑戦でしたが、3着と健闘しました。
ファクテュールシェヴァルは、ドバイで芝とダートのG1レースを制覇した初の馬となる可能性がありましたが、 今回はダートの壁に阻まれました。芝ダート両G1制覇の期待がかかりましたが、今回は叶いませんでした。 今後は、得意の芝路線に戻ってドバイターフ連覇を目指すことになるでしょう。
4着: カリーブ
7歳牡馬。父スペイツタウン、母フリップフロップ、母父ジエテン。 後方からレースを進め、直線で追い上げて4着に入りました。 距離延長がプラスに働いたようです。
5着: ローカルダイナスティ
5歳牡馬。父ダバウィ、母リアリースペシャル、母父シャマルダル。調教師はSimon & Ed Crisford。 中団追走から粘り込みを図りましたが、最後は5着まで。 距離が長かったのかもしれません。
6着: ジェネラスティッパー
4歳牡馬。父ストリートセンス、母ストップショッピングデビー、母父カーリン。馬主はWathnan Racing。 アメリカから移籍初戦。 後方から追い上げて6着に入りました。 ドバイのダートに適応できれば、今後さらに上位を目指せるでしょう。
7着: カビールカーン
5歳牡馬。父カリフォルニアクローム、母リトルエミリー、母父キャッスルデール。 昨年このレースを制したディフェンディングチャンピオン。 今回は後方からの競馬となりましたが、伸びを欠いて7着に敗れました。 カザフスタンからドバイの競馬に参戦し、国際的なG1レースを制したという点で、競馬界で大きな話題を呼んだ馬でしたが、 前走のドバイワールドカップに続き、G1レースで2戦連続の凡走となりました。
8着: グローバルヒット
5歳牡馬。父トゥオナーアンドサーヴ、母タミーズヴィクトレス、母父ヤンキーヴィクター。 韓国の年度代表馬であり、前走で高額賞金のグランプリを制覇。 今回は大外枠からの競馬となり、厳しい展開でした。
9着: クラプトン
6歳牡馬。父ブレザレン、母アレクサンドラライリー、母父アフリートアレックス。 中団からレースを進めましたが、最後は9着まで。
10着: ダハビ
7歳牡馬。父フランケル、母フレッシュドール、母父ドバイデスティネーション。 後方追走から伸びを欠き、10着に沈みました。
11着: サーイード
7歳牡馬。父マリブムーン、母ブロッサムド、母父デピュティミニスター。 逃げ粘りを図りましたが、最後は11着まで。
中止: ガーシード
4歳牡馬。父メンデルスゾーン、母オールトゥメニー。 レース中に右前脚を負傷し、競走中止となりました。
レース分析
今回のアルマクトゥームチャレンジは、ウォークオブスターズが完勝しました。 2走前の敗戦から見事に立ち直り、G1馬としての貫禄を示しました。 逃げたサーイードを楽に捉え、直線では後続を突き放す強い競馬。
2着のインペリアルエンペラーは、転厩初戦でダート適性の高さを改めて示しました。
一方、ダート初挑戦のファクテュールシェヴァルは3着に敗れました。 芝のG1馬である同馬ですが、ダートでは力を発揮しきれませんでした。 芝とダートでは求められる能力が異なるということが、改めて浮き彫りになった結果と言えるでしょう。
カビールカーンは、前走のドバイワールドカップで8着に敗れており、今回は7着と、G1レースで2戦連続で凡走しています。力負けというよりは、展開が向かなかった印象ですが、今後の巻き返しが期待されます。
関係者のコメント
T・オシェア騎手(ウォークオブスターズ騎手)
「彼は大きく力強い馬です。素晴らしいパフォーマンスでした。G1を勝てて嬉しいです。彼は逃げ馬ではありませんが、前に行く競馬が合っているようです。今日はサーイードがいたので、その後ろでレースを進めることができました。直線では素晴らしい手応えで、勝利を確信しました。」
ブパット・シーマー調教師(ウォークオブスターズ調教師)
「ウォークオブスターズは素晴らしい馬です。彼はいつも惜しいレースをしていましたが、ついにG1を勝つことができました。今日の勝利は、彼にとって大きな自信になるでしょう。次走はサウジカップを検討しています。馬主はサウジアラビアの方なので、サウジカップに出走させたいと考えていると思います。」
まとめ
アルマクトゥームチャレンジは、ウォークオブスターズが帝王ダバウィ産駒のワンツーフィニッシュを決めました。 ドバイワールドカップの前哨戦として、各馬の力関係が明らかになる重要なレースとなりました。
ウォークオブスターズは、前走に続き先行策で勝利。次走のサウジカップ、そしてドバイワールドカップでの活躍が期待されます。 インペリアルエンペラーもダートで好走しており、今後のレース次第ではドバイワールドカップ出走の可能性も出てきました。
一方、ファクテュールシェヴァルは芝路線に戻って、ドバイターフ連覇を目指すことになりそうです。 カビールカーンは、今回の敗戦を糧に巻き返しを図るでしょう。
今回のアルマクトゥームチャレンジは、ドバイワールドカップ、そして世界の競馬シーンを占う上でも、注目すべきレースとなりました。今後の各馬の動向に注目が集まります。