カーインライジングは、香港競馬界で圧倒的な強さを見せつけている4歳牡馬です。2025年1月19日に行われたセンテナリースプリントカップ(G1)で、自身の持つシャティン競馬場1200mのトラックレコードを更新する1分07秒20を記録し、G1レース2連勝、通算9連勝を達成しました。 デビッド・ヘイズ調教師は「ブラックキャビアと似た資質を持っている」と、その能力の高さを称賛しています。 本記事では、この新星の軌跡、血統、強さの秘密に迫ります。
驚異的なスピードで駆け上がったサクセスストーリー
カーインライジングは、2023年12月3日にシャティン競馬場で行われた未勝利戦でデビュー。ザック・パートン騎手を背に、2着馬に2馬身3/4差をつける圧勝で初勝利を飾りました。 そこから破竹の勢いで勝利を重ね、2024年2月12日にはクラス3のレースを制覇。 そして、同年5月5日にはクラス2のレースも勝利し、重賞レースへの挑戦権を獲得しました。
2024年6月2日、カーインライジングはシャティン競馬場で行われたライオンロックチャンピオンチャレンジ(G3)で重賞初挑戦。ここでも1着となり、その実力を証明しました。 続く9月8日のナショナルデーカップ(G3)も制し、G1レースへの切符を手にします。 そして、10月20日のプレミアボウル(G2)でG2初制覇。 11月17日のジョッキークラブスプリント(G2)では、セイクレッドキングダムが17年間保持していたトラックレコードを破る驚異的なタイムで優勝し、G1香港スプリントへと駒を進めました。
迎えた12月8日のG1香港スプリント。カーインライジングは、世界中から集結した強豪を相手に、堂々の走りを見せ、見事優勝。G1初制覇を成し遂げました。 そして、年が明けて2025年1月19日、センテナリースプリントカップ(G1)でも圧勝。G1レース2連勝を達成し、香港競馬界の頂点に立ちました。
スピードの源泉:血統と調教
カーインライジングは、父シャメックスプレス、母ミッシー・ムーという血統のニュージーランド産馬です。 父シャメックスプレスは、オーストラリアのニューマーケットハンデキャップを制したスプリンターで、カーインライジングは彼の3頭目のG1優勝馬となります。 母ミッシー・ムーは、ニュージーランドで未勝利のまま引退した馬ですが、その血統は優秀で、名牝タイオナを祖先に持ちます。 タイオナは、オーストラリアのメルボルンカップ優勝馬ガーナーズレーンや、近年の活躍馬ミスターブライトサイドなど、多くの名馬を輩出している名牝です。
カーインライジングは、ニュージーランドのフレーザー・オーレット氏によって生産されました。 オーレット氏の牧場で育成された後、レビンで行われた調教で素晴らしい走りを見せ、リンジーパークに購入されました。 そして、香港のデビッド・ヘイズ厩舎に移籍し、現在に至ります。
ヘイズ調教師は、カーインライジングの能力を最大限に引き出すために、様々な工夫を凝らした調教を行っています。 特に、坂路調教とプール調教を重視しており、これによりカーインライジングは、スピードとスタミナを兼ね備えた馬に成長しました。 また、ヘイズ調教師は、カーインライジングの精神面にも気を配り、常にリラックスした状態でレースに臨めるよう、環境を整えています。
強さの秘密:圧倒的なスピードとレースセンス
カーインライジングの強さの秘密は、何と言ってもその圧倒的なスピードです。 これは、血統、調教、そして馬自身の能力が合わさった結果と言えるでしょう。 また、カーインライジングは、レースセンスも抜群です。 スタートが速く、すぐに先頭に立つことができます。 そして、そのままレースを支配し、後続馬を寄せ付けません。
さらに、カーインライジングは、どんな馬場状態にも対応できる器用さも持ち合わせています。 良馬場はもちろんのこと、稍重馬場でも力を発揮することができます。 これらの要素が、カーインライジングを無敗の快速馬へと押し上げているのです。
今後の展望:世界への挑戦
カーインライジングは、香港スプリントを制したことで、世界のスプリント界の頂点に立ちました。 今後は、海外のレースにも挑戦する可能性があります。 オーストラリアのジ・エベレストや、イギリスのロイヤルアスコット開催のスプリントレースなどが、今後の目標として挙げられます。 世界を舞台に、カーインライジングの快進撃はまだまだ続きそうです。