2025年 赤レンガ記念(H3) – 北の古馬王道路線の重要戦
初夏の夜を彩るホッカイドウ競馬の風物詩、「赤レンガ記念」。その正式名称を「テーオーケインズ賞」とし、今年もまた北の大地の猛者たちが覇を競う 。この一戦は、単なる重賞競走に留まらない。年末のグランプリ「道営記念」へと続く古馬中距離路線の試金石であり、ここで見せる走りはシーズンの勢力図を占う上で極めて重要な意味を持つ 。
舞台となる門別競馬場のダート2000mは、真の力が問われるチャンピオンコースとして知られる。スタートしてから第1コーナーまで約470mという長い直線が続くレイアウトは、単なるスピードだけでは押し切れず、2000mを走り切るスタミナと底力が不可欠だ 。まさに、スピードとスタミナを兼ね備えた総合力が試される、過酷な舞台設定である。
全国から実力馬が集う地方全国交流競走として、今年も好メンバーが顔を揃えた。昨年の覇者、現役道営最強馬、そして中央からの移籍馬など、多彩な経歴を持つ馬たちが、北の夜空の下で激しい火花を散らす。本稿では、過去の膨大なレースデータに基づき、この難解な一戦を解き明かすための3つの核心的なポイントを徹底分析する。
表1: 2025年 赤レンガ記念(テーオーケインズ賞) 開催概要
項目 | 詳細 |
開催日時 | 2025年6月19日(木) 20:35発走 |
競馬場 | 門別競馬場 |
コース | ダート2000m (右回り) |
グレード | H3 |
競走条件 | サラブレッド系3歳以上、地方全国交流 |
負担重量 | 別定 (3歳馬2kg減、牝馬2kg減) |
1着賞金 | 500万円 |
副賞 | テーオーケインズの次年度配合権利(優勝馬生産牧場へ) |
赤レンガ記念 徹底分析!過去傾向から読む「馬券になる」3大ポイント
複雑に見えるレースも、過去の傾向を丹念に紐解くことで、その本質が見えてくる。ここでは、血統、コース適性、そして馬齢という3つの異なる角度から、赤レンガ記念を攻略するための「3大ポイント」を提示する。
ポイント1:血統は嘘をつかない!門別2000mを支配する「パイロ」の血
競馬予想において血統は重要なファクターだが、この赤レンガ記念ほど特定の種牡馬の支配力が色濃く表れるレースは珍しい。その種牡馬とは、米国産の名馬「パイロ」である。
過去のレース結果を振り返ると、その傾向は一目瞭然だ。2024年の覇者ベルピット、そして2023年に5番人気の伏兵評価を覆して勝利したハセノパイロ。この2頭の勝ち馬に共通するのは、父がパイロであるという事実だ 。さらに遡れば、2021年の2着馬クインズサターンもパイロ産駒であり、近年の当レースがパイロ産駒の独壇場となっていることがわかる 。
あるデータ分析では「このレースは、どの種牡馬と比肩してもパイロの好走率が群を抜いています。連対6割はかなり良好な数値。べた買いというのもありです」とまで言及されており、その圧倒的な適性は偶然の産物ではない 。
では、なぜパイロの血がこれほどまでに門別2000mで輝きを放つのか。その答えは、コースの特性とパイロ産駒が受け継ぐ能力の合致にある。前述の通り、門別2000mは長い直線が2回あり、スピードの持続力が問われるタフなコースだ 。パイロ自身は現役時代、パワフルなスピードを武器に米国のマイルG1を制した馬だが、その産駒は父のスピードを受け継ぎつつ、日本のダート競馬、特に力の要る馬場において、そのスピードを中距離でも持続させる能力に長けている。
2024年の勝ち馬ベルピット(父: パイロ, 母父: ダイワメジャー)の血統構成は、その典型例と言える 。父から受け継いだ力強いスピードに、母父ダイワメジャー(クラシックディスタンスでのG1勝利経験を持つ)からスタミナの要素が加わることで、まさに門別2000mという「スピードとスタミナ双方を持たないと好走は難しい」コースを攻略するための理想的な能力プロファイルが形成される。
この「持続するパワー」こそが、パイロ産駒が赤レンガ記念を支配する根源的な理由である。したがって、2025年のレースを予想する上で、出走馬の中にパイロ産駒がいるかどうかを確認することは、全ての分析の出発点となるだろう。
ポイント2:コース巧者を侮るな!好走を繰り返す「リピーター」の法則
赤レンガ記念のもう一つの顕著な特徴は、「リピーター」、すなわち同レースで過去に好走した経験を持つ馬が、翌年以降も再び上位に食い込んでくる傾向が非常に強いことだ。これは、門別2000mという舞台がいかに特殊で、一度その攻略法を体得した馬が大きなアドバンテージを持つかを示唆している。
2020年のレースプレビューにおいても「リピーターも多いレースですから」との指摘があり、この傾向は長年にわたって観測されている 。具体的な事例を挙げれば、枚挙にいとまがない。
- スーパーステションは2018年、2019年と連覇を達成 。
- オヤコダカも2016年、2017年に連覇を果たしている 。
- ステージインパクトは2019年に2着に入ると、翌2020年には見事優勝を飾った 。
近年に目を向けても、この法則は健在だ。2024年の覇者ベルピットは連覇を狙う立場であり、同レースで2着だったシルトプレは2023年にも3着に入線しており、2年連続で馬券圏内を確保する抜群のコース適性を見せつけている 。
このリピーター傾向を視覚的に理解するために、過去5年間のレース結果と上位馬の血統を以下の表にまとめた。
表2: 赤レンガ記念 過去5年 結果・血統一覧 (2020-2024)
年 (Year) | 1着 (1st) [人気] | 2着 (2nd) [人気] | 3着 (3rd) [人気] | |
2024 | ベルピット (父:パイロ) | シルトプレ (父:スクリーンヒーロー) | ケイアイパープル (父:パイロ) | |
2023 | ハセノパイロ (父:パイロ) | サンビュート (父:ジャングルポケット) | ドテライヤツ (父:バトルプラン) | |
2022 | フローリン (父:スクリーンヒーロー) | トレイントレイン (父:ディスクリートキャット) | バンカブルスター (父:トーセンホマレボシ) | |
2021 | リンノレジェンド (父:ディープインパクト) | クインズサターン (父:パイロ) | テーオーフォース (父:リヤンドファミユ) | |
2020 | ステージインパクト (父:ディープインパクト) | クインズプルート (父:ダンカーク) | モズオトコマエ (父:グランデッツァ) | |
(データ出典: ) |
この表からは、特定の馬名が複数年にわたって登場する「リピーターの法則」と、父馬の欄に「パイロ」の名が頻出する「血統の法則」が明確に読み取れる。
このリピーター現象は、門別2000mが単なる実力比べの場ではなく、コースの特性を知り尽くした「スペシャリスト」が輝く舞台であることを物語っている。スタート後の長い直線でいかに脚を溜め、勝負どころの3〜4コーナーでスムーズに加速し、そして最後の長い直線で末脚を爆発させるか。この一連の流れには、コースを知り尽くした馬と騎手ならではの絶妙なペース配分と仕掛けのタイミングが求められる。他場での実績だけでは通用しない、このコース特有の「走り方」をマスターした馬が、繰り返し好走を演じるのである。
ポイント3:ベテランの取捨が勝負の分かれ目!「9歳の壁」と有利な外枠データ
血統とコース適性に加えて、馬券戦略を組み立てる上で避けて通れないのが「年齢」のファクターだ。特にこの赤レンガ記念では、ベテラン馬の扱いが極めて重要な鍵を握る。
過去10年のデータを分析すると、非常に興味深く、そして残酷な事実が浮かび上がる。それは「9歳の壁」の存在だ。4歳から8歳までの馬の好走率に大きな差は見られない一方で、9歳以上の馬は過去10年間で[0-0-0-9]と、一度も馬券に絡んでいない 。かつてJRAの重賞を制したシルクメビウスやルールソヴァールといった実績馬でさえ、この壁に跳ね返されてきた歴史がある 。このデータは、9歳以上の高齢馬を評価する際には、極めて慎重になるべきことを示している。
しかし、今年の出走予定馬リストには、この厳しいデータに真っ向から挑む実力派のベテランが存在する。11歳のアナザートゥルースとヒストリーメイカーだ 。特にアナザートゥルースは、中央競馬でG2ダイオライト記念を制した実績を持ち、近年も門別で安定した走りを見せているトップクラスの実力馬である 。この馬を年齢だけで切り捨てるのは早計かもしれない。
この「高齢馬は割引」というセオリーに、さらなる複雑さをもたらすのが「枠順」のデータだ。過去10年間で、8枠(大外枠)が群を抜く好成績を収めている。勝率28%、複勝率57%という数字は驚異的であり、他の枠を圧倒している 。門別2000mはスタート直後の有利不利が少ないため、レース全体の流れを最も見やすい大外枠が、戦術的に大きなアドバンテージとなるのだ 。
ここに、予想の妙味が生まれる。もし、アナザートゥルースのような実績ある高齢馬が、この有利な8枠を引いた場合、どう評価すべきか。年齢というマイナス材料を、枠順というプラス材料がどこまで相殺できるのか。この判断こそが、馬券の成否を分ける重要な分岐点となる。
単純に「9歳以上は消し」と考えるのではなく、個々の馬が持つ実績や近走の気配、そして当日の枠順という要素を総合的に勘案し、例外となりうる馬を見極める。それこそが、このレースを攻略するための高度な分析眼と言えるだろう。
2025年 赤レンガ記念 有力馬考察
これまでに解説した3つのポイントを踏まえ、今年の主役候補となる有力馬たちを個別に考察する。
ベルピット
- 評価: 全ての好走データを満たす、現役道営最強馬。
- ポイント1 (血統): 父は当レースと相性抜群のパイロ。血統的な裏付けは完璧だ 。 (✓)
- ポイント2 (リピーター): 2024年の圧勝劇は記憶に新しく、コース適性は疑いようがない。連覇の資格は十分 。 (✓)
- ポイント3 (年齢): 今年で5歳。競走馬として最も充実する時期を迎えている 。 (✓)
- 総評: まさに死角なし。ホッカイドウ競馬三冠など輝かしい実績を誇り、管理する角川秀樹調教師はこのレース最多タイの5勝を挙げる名伯楽でもある 。不動の中心として、レースの主導権を握る存在だ。
アナザートゥルース
- 評価: 統計データに挑む、百戦錬磨のベテラン。
- ポイント1 (血統): 父はアイルハヴアナザー。パイロ産駒ではない 。 (✗)
- ポイント2 (リピーター): 当レースの勝ち鞍はないが、昨年の道営記念2着など、門別2000mでの高いパフォーマンスは証明済み 。コース巧者の一頭と評価できる。 (?)
- ポイント3 (年齢): 11歳という年齢は、過去10年のデータでは絶望的とも言える「9歳の壁」に直面する 。 (✗)
- 総評: 「実績」と「データ」が真っ向から対立する、予想家泣かせの一頭。中央G2勝ちの実力はメンバー中随一であり、軽視は禁物。当日の枠順が、この馬の評価を最終的に決定づけることになるだろう。
ニシケンボブ
- 評価: 打倒ベルピットを狙う、世代のライバル。
- ポイント1 (血統): 父はアジアエクスプレス。パイロ産駒ではない 。 (✗)
- ポイント2 (リピーター): 北海優駿や王冠賞などで常にベルピットとしのぎを削ってきた。コース経験は豊富だが、あと一歩及ばないレースが続いている 。 (?)
- ポイント3 (年齢): ベルピットと同じ5歳。充実期にある 。 (✓)
- 総評: 常に上位争いに加わる安定感が魅力。鞍上には門別のトップジョッキー石川倭騎手を配し、逆転への執念を燃やす 。連軸候補としては非常に信頼性が高いが、ベルピットを打ち破るには、展開の助けや自身のもう一段の成長が求められる。
その他、同じく11歳のヒストリーメイカーや、2kgの斤量減が魅力的な4歳牝馬シンメルーブスなど、伏兵陣も虎視眈々と上位を狙っており、一筋縄ではいかない混戦模様を呈している 。
最終結論と買い目は下記で公開中!
この記事で解説した「パイロの血」「リピーターの法則」「9歳の壁と外枠」という3つのポイントを基にレースを展望することで、馬券の的中に向けた確かな道筋が見えてきたはずだ。
これらの詳細なデータ分析に、当日の馬場状態や各馬のパドックでの気配といった最終的な要素まで加味した専門家の最終結論は、以下のリンク先で独占公開している。ホッカイドウ競馬を知り尽くしたプロの印と買い目を、ぜひあなたの馬券戦略の最後のピースとして役立ててほしい。
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