ネブラスカレーシングは、日本中央競馬会(JRA)に登録された馬主名義の一つです。2025年の競走馬市場「セレクトセール」に突如現れた新名義で、「聞き慣れない名前」として話題になりました。運営者について公式な発表はありませんが、一部報道では大手アミューズメント施設「ラウンドワン」社長の杉野公彦氏(すぎの・まさひこ)がこの名義の正体ではないかと囁かれています。杉野氏は2018年にJRA馬主登録し、現在は「エムズレーシング」という法人名義で活動する馬主で、その勝負服(黒、赤袖、白一文字)で知られています。エムズレーシング代表の杉野氏は京都馬主協会に所属しており、地元である京都競馬場で活躍馬(例:ハーパー)を走らせるなど地域に根ざした馬主活動を行っています。ネブラスカレーシング自体も法人格の名義とみられ、所在地は明らかではないものの、前述の経緯から杉野氏(エムズレーシング)による新たな馬主名義である可能性が高いとされています。
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2025年セレクトセールでの購買馬一覧
ネブラスカレーシングは、2025年のセレクトセールにおいて破格の高額取引を連発し、初参加ながら大きな存在感を示しました。特に注目されたのは1日目の当歳馬セッションと2日目の当歳馬セッション双方で最高額馬を落札した点で、国内外の競馬ファンやメディアを驚かせました。ネブラスカレーシングが2025年セールで購買した主な馬は以下の通りです(いずれも税別価格)。表中の「上場名」は母馬名に西暦出生年を付した仮の馬名です。
上場名(母の年) | 性別 | 父(Sire) | 母(Dam) | 落札価格(税別) |
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モシーンの2024 | 牡 | キタサンブラック | モシーン | 4億2000万円 |
ミッドナイトビズーの2025 | 牡 | イクイノックス | ミッドナイトビズー | 5億8000万円 |
- モシーンの2024(牡、父キタサンブラック×母モシーン): オーストラリアG1を4勝した名牝モシーンの仔で、2025年セレクトセール1日目(1歳馬部門)の最高価格馬として 4億2000万円(税別)で落札されました。生産者はノーザンレーシングで、母の仔には日本でマイル重賞3勝を挙げたプリモシーン(半姉)や、同セールで高額取引されたダノンエアズロック(半兄)がいます。落札者がネブラスカレーシングと発表され、この時点で「一体誰か?」と大きな注目を集めました。
- ミッドナイトビズーの2025(牡、父イクイノックス×母ミッドナイトビズー): アメリカの名牝ミッドナイトビズー(GI5勝、2019年エクリプス賞最優秀古馬牝馬)の初仔で、2025年セレクトセール2日目(当歳馬部門)に上場。競りでは史上3位タイとなる5億8000万円(税別)の高値で競り落とされ、本セール全体の最高額取引馬となりました。父イクイノックスは当歳(初年度産駒)セッションの新種牡馬で、同馬はその産駒中でも注目度No.1の存在でした。購買者はネブラスカレーシングで、1日目に続く連日の超高額落札となり、会場内でも落札後に大きな拍手が起こったと報じられています。
過去の主なセリ購買実績と所有馬の成績
ネブラスカレーシングの実態とされる杉野公彦オーナー(エムズレーシング名義)は、2018年の馬主登録以降、毎年セリ市で1億円超の高額馬を多数購買してきた新興馬主として知られます。特にノーザンファーム生産馬を中心に高額取引を重ねており、過去の主な購買馬には以下のような例があります。
- 2019年セレクトセール1歳では、サンデーアーサー(牡、父ハーツクライ)が2億9160万円、フィデル(牡、父ハーツクライ)が2億0900万円など、複数の馬を2億円超で落札しています。また同年にはサンデージャック(牡、父ダイワメジャー)を1億8360万円で購買するなど、落札額1億円超の馬だけで7頭以上を所有するに至っています。これらの多くは「サンデー~」といった馬名が付けられ、杉野オーナーの購買意欲の高さが競馬専門誌などで特筆されました。
- 2024年セレクトセールでも、エムズレーシング名義で高額馬を購買しています。例えば当歳馬部門ではキタサンブラック産駒の牡馬(母デルフィニウムII)を5億9000万円で落札し、この馬は後に「エムズビギン」と命名されました。同馬の価格は日本の競走馬セリ史上2位の高値記録となっており、ネブラスカレーシングとして参入する前年から既に巨額投資を行っていたことがわかります。
一方、これまでの所有馬の競走成績に目を向けると、まだGIタイトルは獲得していないものの重賞で活躍馬を輩出しています。代表的な所有馬と戦績の例を挙げます。
- ハーパー(牝、父ハーツクライ) – 2023年のGIIIクイーンカップに優勝し、エムズレーシング(杉野オーナー)にとって初の重賞制覇をもたらした馬です。ハーパーは2020年のセレクトセール当歳市場において9460万円で取引された経緯があり、オーナーの高額投資が初めて結実した形となりました。その後、同年の秋華賞やエリザベス女王杯(ともにGⅠ)でも3着に入る活躍を見せ、馬主の地元・京都で存在感を示しています。
- フィデル(牡、父ハーツクライ) – 2歳時にホープフルステークス(GI)で4着に入線した実績があり、デビュー当初から期待されていた1頭です。セレクトセールでの購入額は約2億円に上る高額馬でした。重賞タイトルこそありませんが、現時点でのオーナーにとって最も健闘したGI級レース出走馬といえます。
このほかエムズレーシング名義の所有馬には、サンデーアーサー(落札価格約2.9億円ながら未勝利)、サンデージャック(後に地方1勝)、ジェンヌ(牝馬、ディープインパクト産駒で1億5950万円の高額馬)などがいます。だし高額取引馬が多い割に勝ち星との釣り合いが取れていない点も指摘されており、2023年時点で「購買価格と馬の強さが全く見合っていない」と評される状況でした。ネブラスカレーシング(=杉野オーナー)の今後の課題は、こうした高額馬からどれだけクラシックやGI戦線で結果を出せるかにあると言えるでしょう。現状ではハーパーに次ぐ新たな活躍馬の登場が期待されています。
関連ニュース・トピックまとめ
- セレクトセール2025での衝撃的デビュー: ネブラスカレーシングは2025年セール初日にいきなり**当日最高額馬(4億2000万円)を落札しトップバイヤーとなったことで、大手メディアでも報じられました。さらに翌日の当歳馬セッションでも史上屈指の超高額馬(5億8000万円)**を手にしており、2日間合計で約10億円超を費やした計算になります。この破格の購買活動は「新記録続々のセレクトセール2025」を象徴する出来事として各種ニュースサイトに取り上げられ、競馬ファンの間でも「ネブラスカレーシングとは何者か?」という話題で持ちきりとなりました。
- 名義の正体に関する憶測: 上記の通り、セール直後からネブラスカレーシングの背後人物について様々な憶測が飛び交いました。一部の競馬メディアは「聞き慣れない名前だったが、実はエムズレーシング(杉野公彦氏)の別名義ではないか」と報道しています。また、SNS上でも「落札者はラウンドワンの社長らしい」「エムズの名義変更か?」といった書き込みが多数見られました。現時点で公式な発表はありませんが、この噂について関係者から直接のコメントは出ておらず、ネブラスカレーシング=杉野公彦氏(エムズレーシング)説が有力視されつつも確証は得られていない状況です。
- インタビューや本人コメント: 2025年セール会場では、ネブラスカレーシング名義で落札した人物への直接取材は確認されていません。Idol Horseなど海外志向の競馬メディアは他の大物馬主(例:藤田晋オーナー)や調教師へのインタビュー記事を掲載しましたが、ネブラスカレーシングについては「謎の新名義」として触れるに留まっています。落札直後の会場でも、氏名の公表は無く企業名的な呼称のみだったため正体は伏せられたままでした。しかし、このミステリアスな演出自体が話題性を呼び、国内の競馬ニュースだけでなく海外競馬メディアでも取り上げられる結果となっています(米BloodHorse誌などもミッドナイトビズーの仔の高額落札に注目)。杉野氏本人はメディア露出の多いタイプではなく、セール後も沈黙を貫いているため、今後何らかの形で公式に語られる機会が待たれます。
以上のように、ネブラスカレーシングはセール市場を席巻する爆発力と、その正体を巡るミステリーで2025年の競馬界に新風を巻き起こしました。今後、当名義で購買された競走馬がデビューし、重賞・GI戦線で活躍するようになれば、ネブラスカレーシングの実像も自ずと明らかになっていくことでしょう。その動向に引き続き注目が集まっています。
参考資料: セレクトセール公式結果www4.jrha.or.jphochi.news、JBIS・競馬ラボ各種データkeibalab.jpumanarok.net、スポーツ報知・東スポ競馬など競馬ニュースhochi.newsidolhorse.com、馬主プロフィール関連記事
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